ヤモリの排泄哲学 第1話 天井の哲学者、神乳と遭遇する
プロローグ:神の雫と、排泄の哲学者
東京・北千住。
築四十年の古い下宿。その二階、奥の角部屋。
深夜二時。部屋の主、ロジャリ・R・ロヒト博士は白衣のまま机に向かっていた。
ハーバード卒の天才医師。しかし今、彼の肩書きは「違法研究者」だった。
目の前の飼育ケースの中、一匹のヤモリが眠っている。
普通のヤモリではない。博士が三年かけ、脳を改造した『被検体M-01』だ。
「……起きろ、ミコ」
博士がケースを叩くと、ヤモリはゆっくり目を開けた。
博士は白衣のポケットから、小さな四角い装置を取り出した。コード付きのイヤホンを片耳に嵌め、スイッチを入れる。
「よし、動物言語翻訳機、起動……君の声、聞こえるか?」
『……ここは、地獄か?』
それが、知性を得た彼の第一声だった。装置を通し、ミコの思考が直接博士の脳内に響く。
博士は満足げに笑った。「成功だ。お前は喋れる。考えることもできる。お前は世界初の『糞哲学者』になるんだ、ミコ」
『糞哲学者?』ヤモリは首を傾げた。『なんだそれ。ダサい』
北千住商店街、午前六時。
まだシャッターが半分閉まった八百屋の天井に、一匹のヤモリがいた。
名前はミコ。種族はヤモリ。職業は、たぶん哲学者だ。
なぜ哲学者かって?
それはな、人間という生き物を一日中、天井から観察していると、嫌でも世界の真理に気づいてしまうからだ。
そして私が出した結論は、一つ。
「この世の全ての真理は、排泄に集約される」
食べる。出す。生きる。出す。死ぬ。出す。
なんと美しく、平等なシステムだろうか。金持ちも貧乏人も、イケメンもハゲも、皆トイレでは無力だ。
そう、排泄こそが唯一の平等。唯一の真実。
私は今日も、そう思って天井のシミを眺めていた。
だが、その日は違った。
――ゴゴゴゴゴ……。
市場の空気が、変わった。
朝靄の中から、眩い光が現れた。
それは、女だった。
いや、女神だった。
全身が黄金の光でできていて、顔は見えない。しかし、その胸部だけが、やけに具体的だった。
豊満。荘厳。神々しい。
下では、三人の男が固まった。
八百屋のアグス。
駐車場のドヨク。
そして、魚屋の老人スギオノ。
次の瞬間。
「ブッッッッ!!!」
三人の鼻から、赤い噴水が上がった。
手に持っていたスイカを落とし、白目を剥いて、その場に崩れ落ちる。
アグス「あ……神乳……」
ドヨク「ち、違う……宇宙の真理だ……!」
老人スギオノ「わしゃ……会社辞めて……出家するかの……」
天井の私は、哲学の危機を感じた。
私の長年かけて築いた「排泄=真理」理論が、根底から揺らいでいる。
まさか……真理は、二つあったのか?
排泄と……神乳。
天井の賢者、ミコ。生まれて初めて、己の哲学に疑問を持った瞬間であった。
「……で、結局ウンコとおっぱい、どっちが偉いんだ?」
答えはまだ、出ない。
初めて読んでくれた方も、いつも読んでくれてる方も、本当にありがとうございます。
『ゲコ哲学』の作者、Trowy-Sanです。
この作品は、家で飼ってるヤモリと「排泄哲学」から編み出した、ふざけたコメディです。
「は?」と思った方、正解です。書いてる本人も「は?」と思いながら書いてます。
日本の読者さんと繋がりたくて、この物語を始めました。
キャラや文章が少し変だったらごめんなさい。私は日本人ではなく、インドネシア人です。
でも、物心ついた頃から日本の漫画とアニメが大好きでした。
幼少期を彩ってくれたアニメは、『聖闘士星矢』『ドラゴンボール』『るろうに剣心』『セーラームーン』『Dr.スランプ』『ドラえもん』……まだまだたくさんあります。
思春期は『NARUTO』『ONE PIECE』『BLEACH』……数えきれない程の少年漫画に育てられました。
大人になってからは『転スラ』や『リゼロ』という化け物作品に出会い、この二つの大作がここから生まれたことを知りました。
あんな偉大な作者になるなんて望んでいません。もし同じ運命を辿れたら、それはもう宝くじに当たったようなものです。私より面白い作品を書く人は、世界にごまんといます。
それから普段の私ですが、毎晩執筆した後、朝は日給25,000ルピア(約250円)のフリーの仕事をしています。
主食はカップ麺。嗜好品は一本のタバコだけです。へへへへ。
この作品、最後まで完結させたいんです。
そのために、「ブックマーク」「★評価」「コメント」が、作者にとって一番のエナジードリンクです。
第1話を読んで「何だこいつ」と思いつつ、少しでも興味を持ってくれた方。
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第2話は明日の18:00〜00:00に更新予定です。
ヤモリのミコと仲間たちの冒険が始まります。
それから、作者のTwitter/XとThreadsはこちらです。
@trowysan
更新情報や、ミコのどうでもいい落書きを呟いてます。暇つぶしにどうぞ。
では、第2話でお会いしましょう。
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Trowy-San




