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雑文よっぱらい「空飛ぶおちゃけ。神様はウイスキーがお好き?~巫女というお仕事~」  作者: ぽっち先生/監修俺
雑文よっぱらい「空飛ぶおちゃけ。神様はウイスキーがお好き?~巫女というお仕事~」
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べろんべろん祭

あらら、なんか興が乗ったのか長くなっちやった。なので連載形式で投稿します。

くっ、チアーズに参加していればPVが倍になったのにっ!

いや、倍でもアマギフ500円分には程遠いんだろうけどね・・。

その地方には信じる者たちにとっては神聖な守護足る神様『べろんべろん神』に感謝して6年毎にお神酒を奉納する神事があった。その名を『べろんべろん祭』と言う。

この神事は歴史があり、なんと3千300年以上前から行なわれていると言い伝えられていた。

そしてその奉納方法とは手作りのロケットにて酒で満たされた樽を天に向けて打ち上げるというものだった。


手作りのロケットっ!

確か文献に残っている一番古いロケットの記述は、13世紀頃に現在の中国(当時は宋という国名だった)にて『飛火槍』と言う名の火薬を推進剤とした兵器が使われていたという記録があるが、それとて800年前くらいだ。


まぁ、神話とは大抵記述されている数字が大きくなる傾向にあるので真に受けてはいけないのだが、そもそも3千300年以上前とは時代的にこの国はまだ縄文時代であり、当時の文化的先進国であった中国でさえ現在の河南省付近を拠点にした『いん王朝』の時代だ。


と言うか、最初の天皇とされる神武天皇ですら記録に現われるのは紀元前660年、つまり2千400年くらい前でしかないのだ。

その存在がまだ確定されていない邪馬台国の卑弥呼に至っては3世紀の前半なので比較にもならない。


そんな時代にロケット?まぁ、この手の言い伝えは言ったもん勝ち的な要素があるのでそこら辺は深く追求するだけヤボなのだろう。

ただ、似たような神事は他にもあり、埼玉県秩父市の椋神社 (むくじんじゃ)にて毎年行なわれているらしい『龍勢祭 (りゅうせいまつり)』が有名だ。


ただ、こちらの歴史は400年ほど前からなので歴史としてはまだまだ新しい。いや、そもそもこの国に火薬が普及したのがその頃からなので、考証的にはこちらの方が由緒正しいのだろうが、これまたそんな事を比べてもやはりヤボであろう。


で、『べろんべろん祭』のメインイベントであるおちゃけの打ち上げ奉納はロケットの能力向上により、現在ではその搭載重量は333kgにもなっている。

もっともこの重量は容器込みの重量なのでおちゃけ自体はもう少し少ない。しかし昨今は容器を強化ペットボトルにするなどの軽量化により300kgくらいのおちゃけが打ち上げられるらしい。


そして大抵のおちゃけは水よりも比重が小さいアルコールが主成分なので打ち上げられるお神酒の容量としては400リットル近くとなる。

そして祭りでは、その400リットル近いおちゃけが高度333mくらいの上空で容器が破裂し中身が甘露となって地上に降り注ぐのである。


これを尊ばない酒飲みがいるであろうか?しかも打ち上げられる本数は地元の33の地区がそれぞれ3本づつ打ち上げるので総数99本。容量にして4万リットル近くになるのだ。

しかも最近は打ち上げるおちゃけの種類もバラエティに豊かになり、今まではどぶろくなどの密造酒や日本酒、または焼酎くらいだったのが、ウイスキーやワイン、キテーラやウオッカなども打ち上げられるようになった。


まぁ、密造酒に関してはある時期、中央から途任して来た神事の成り立ちを知らない警察の若手キャリアが、地元の古参からの諫言に耳も貸さずに取り締まったらしいのだが、あっという間に神罰が下ったらしい。


そう、なんとその若手キャリアは口にした飲み物全てが体内にてアルコールに変化するという特異体質になってしまったのだ。

なのであっという間にアル中となり職を辞するはめとなった。


これ以降、この地に途任して来る各省庁のトップは事前にこの神事に関しては口出しするなと強く警告されるようになったらしい。

つまり『さわらぬ神に祟り無し』である。


で、話をおちゃけに戻すが、現在日本酒の小売価格は安いものでも1升、つまり1.8リットルで2千円ほどする。なので400リットルでは45万円にもなる。

それを3本打ち上げるとなると酒代だけで135万円。まぁ、それでも地区の人々が6年間神様からの加護を得られるのならば安いものだろう。


実際、この地域では先の戦争中も空襲には一度も遭わなかったし、出兵した兵士たちは全員無傷で生還している。

最近ではちょっと前に世界中を混乱の渦に落とし込んだ世界的パンデミック時も誰一人として罹患した者はいなかった。

もっと言うとこの地方では交通事故の発生件数は、地元民に限れば『0』である。


更に例を挙げると周辺地域が震度5の地震に見舞われた時も、この地域は全く揺れなかったらしい。それどころか災害級の台風や大雪などに見舞われた記録も皆無だ。当然作物は毎年豊作である。

なのでこの地域に住む人々にとって『べろんべろん祭』にかかる費用は惜しんではいけない必要経費と思われているのである。


なので時にその思いが暴走して、打ち上げるおちゃけを高級なものにする地区も出てきたりした。

だが、宮司経由で神様から通達があり、ドンペリなどのシャンパンはどこぞのホストクラブみたいになるので止めろと言われたらしい。


うん、中々リーズナブルな神様である。因みにウイスキーも4リットル入りのお徳用ならば4千円くらいのものもあるので費用は日本酒と大して変わらない。

でも実はリッター当たりの値段でお安いのはワインだったりする。これは720mlで500円くらいのものが結構出回っていて、リッター換算だと680円くらいだ。


更にお安いのが焼酎で、こちらは5リットルっ!入りで2千円を切る場合もあるらしい。つまりリッター換算で400円っ!

またビールも大型容器ならば10リットルで5千円ちょっとというものもあるらしいので、こちらもリッター換算ならば500円である。


因みに祭りでは『直会 (なおらい)』という慣習もあり、これは祭事が終わってから氏子や地域住民たちが神様に奉納したお神酒や供物を下げていただき食す宴会の事なのだが、『べろんべろん祭』では、お神酒はお空にばら撒いてしまうので、直会 (なおらい)では別途に用意した打ち上げたお神酒と同容量のお酒が振舞われる。


なのでひとつの地区が祭りにかける酒代は実質2倍の270万円だ。それでも神事は6年に1回なので年に換算すると45万円。

仮に地区の世帯数が45軒しかなかったとしても1軒当たりの御寄進額は毎年1万円でしかない。90軒ある地区ならば5千円だ。


まぁ、実際にはお祭りでは手製のロケットも造らねばならないのでかかる費用は酒代だけではないのだが、仮に毎年3万円を寄進したとしても、それで無病息災、家内安全、豊作が担保されるのならば安いものだろう。

因みにこれを出し渋った家は没落するらしい。そらもう、その廃れ具合は凄まじく、その家の田畑『だけ』は一切作物が実らず、会社勤めをしていた者は難癖を付けられて懲戒免職を喰らい、家屋はシロアリに食い潰されるなどするらしい。


更には何かにつけて足の小指をぶつけたり、外出先で犬に吠えまくられたり、カラスや鳩の糞を浴びるなどの微妙にダメージの大きい『嫌がらせ』も受けるらしい。

そう、神罰とは無慈悲に襲い掛かるのだ。


さて、それでは次に手製ロケットの製作について述べたいところなのだが、これに関しては地区事に様々な門外不出の工程があるらしく詳しくは言えない。

ただ、ロケットも昔は純度の低いアルコール燃料だったものが、より出力の高い固体燃料に取って代わられ、更に最近では液体水素と液体酸素を燃料とする地区まで現われたらしい。


おかげでたまに実験中に爆発事故が起こるのだが、まぁ、神様の加護なのか死亡事故は起こっていなかった。

とは言え、墜落したロケットが民家を直撃して全焼した時はさすがに消防から注意されたらしい。


だが、直撃を受けた家の者は嘆くどころか、これは吉兆、神様からの手厚い補償を受けられると逆に喜んでいたと言われている。

『災いをもって吉と成す』

まさに物事とは受け取り方次第という事なのだろう。

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