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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
始まり、森から屋敷へ
9/131

○9

「ここまで来たのはいいけれど。結局何があったんだ?」

「えっと。その、できれば聞かないでください。」

「君にも事情はあるかもしれないけど。何も言わないのは流石に困るぞ。」

「私にだって事情はあるんです。もし言ってしまえば貴方にも多大な危害を加えるかもしれないし、そもそもあんな所でぶつかって恋に落ちるだなんて嫌ですから。」

「明確に今酷い事言ったな・・。それで、これから先何処に行くんだ?」

「考えてません。」

「えっと。他に住める場所はあるのか?」

「ギルド協会の本部に行けば、それなりのことはしてくれると思います。」

「そこに行けばいいんだな。」

「一週間ぐらいかかりますけど。ナガトさんも行きますか?」

「いや、こっちには連れが居るから。」

「つれ?」

「この先は一人でも大丈夫なのか?」

「うーん。もしナガトさんが来てくれたら、多少は何とかなりそうですけど。」

「何でだ。僕は別に何も頼りにならないと思うけど。」

「旅人とかじゃないんですか?」

「どちらかというと、行先が分からなくなったところに助けられたって感じかな。」

「そういえば、その首輪・・。貴方、誰かの奴隷なんですね。」

「あぁ。だから、自由に行動はできないんだ。」

「うーん。このままナガトさんを連れて行った方が正解かもしれないけど。」

「別に酷い事は今の所されていないよ。」

「今の所は、ですよね。奴隷である以上、騎士に絶対服従を誓っているのは当然なんだから。下手をすればナガトさんが凌辱される可能性だってあるの。」

「凌辱・・?いや、流石に考えすぎだろ。」

「いっその事、私が貴方を救った方がいいのかもしれません。」

「ん?いや、本当に大丈夫だから。エクレールが心配しているような事は何もないよ。」

「なら、その首輪をここで外させてもらいます。」

「な、何でそうなるんだ!?」

「そんな卑しい物を身に着けていたら、貴方は騎士にいいようにされるからです。それを外して私と一緒に行けば、それなりに貴方は自由になれると思いますけど。」

「僕はまだ大丈夫だって。別にそんな嫌な人じゃないだろうし。だからこの先は一人で頑張ってくれ。」

「自分から奴隷になる事を望むだなんて、もしかして変態さんなんですか!?」

「何でそうなる・・!?」

「そうじゃないなら、でも・・。分かりました、私が責任を持って貴方を捕まえます!」

「何の責任を感じたんだよ!?待て、早まるな!」

「早まってるのは貴方です!大体、私だって一人で心細いのに、こんな私を助けようとしない人が悪いんですから!」

「大丈夫だって。お前なら魔王ぐらい頑張れば倒せるだろ。」

「いきなり意味不明な事言わないでください!さぁ、私と一緒に行きましょう!」

「だからそれはそれで困るって。大体、僕が後で待っている奴と再会したら殺されるだろ!?」

「そんな凶悪な人なんですね。そんな人と一緒に居たら可哀そう。」

多分アリシアが居たら確実に怒りそうだけれど、エクレールは僕の腕を掴んで離さなかった。

「私は村に戻れない、貴方は不自由な奴隷。私と一緒に行く理由は殆どあるじゃないですか?」

「不自由だけど別に危害は無いって言ってるだろ・・?」

「そもそも私が誰かに襲われたらどうするんですか?」

「大丈夫だって、その剣で相手を殺せばいいだろ?」

「私がそんな酷い事するわけないじゃないですか。この剣を使う時はいつも牛肉をスライスする時だけなんです!」

「普通に包丁を使えないのか?!」

「貴方は私の事嫌いなんですか!?奴隷で居続ける方が幸せだなんて、そんなのただの変態です!」

確かにエクレールの言っている通りだけれど、もしそれで自由になったとしてもあまり意味は無い。

「分かりました。この私が貴方を自由にします。さぁ、大人しくしてください。」

突然剣を抜いたエクレール、というか明らかに僕はただの被害者に成り果てている気がする。

「その首輪を外すには少し時間がかかりますので、貴方は抵抗しないようにしてください。」

「それ殆ど脅迫じゃないか?そんな事をしてお前になんのメリットがあるんだ?」

「貴方がやっている事だってメリット皆無じゃないですか。首輪を外さない限り、貴方はずっと奴隷のままなんですよ?」

確かにその通りではあるけれど、自由になればアリシアとは縁が切れる可能性はあった。

別にアリシアが好きというわけじゃないけれど、だからって突然会った奴の方を信じれるわけがない。

そもそもエクレールは誰かから追われているんじゃなかったか。僕なんかを気にしている時点で少し怪しい気はしていた。

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