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「そもそも貴方が見ていた娯楽ってどういうものかしら。」
「ん?あぁ。映像作品というか、はっきり言えば小説をそのまま映像化したような作品を何時でも見られる感じかな。例えば、今ここで踊って居る女の子の映像がそのまま、あのスマホで見られる感じだけど。」
「あの小さなもので?」
そういえば昔の作品に、ブラウン管テレビを見た事の無いキャラに見せたら、箱の中に人間が居るとみんな言っていたけれど。それを言えば板の中に人が居るということだろうか。
そんなお決まりみたいな台詞を言わせたいわけじゃないけれど、でも今ではスマホの小さな画面で色々な物を見ることができる。
昔のPCは一枚絵を映すのにやたら時間がかかったくせに、今では下品な広告が自分の視聴を邪魔するような時代にすらなっていた。
「そもそも僕、なんでここに居るんだっけ?」
「どうしたの?もしかしてホームシック?」
「いや。疑問が多すぎて・・。大体、冷静に考えたらこの世界の人たちも平均年齢は僕の居た世界とそう変わらないのだとしたら。こんな状態で生き続けるのはわりときついよな。」
「そんな事を突然言うのは貴方が初めてだとおもうけど。もしかしてアリシアに何か酷いことされたの?」
「まさかモニカにそこまで心配されると思ってなかったけど・・。」
「奴隷をしている以上、騎士からはいいようにされるもの。もし男女逆であれば、女性の奴隷はもう・・。」
「何でそういやらしいんだろうな君たちは。モニカってそういう経験あるのか?」
「今度はセクハラ・・?」
「・・・・・。」
「冗談よ。」
「まぁ、少なくともアリシアは悪い奴じゃないと思うけど。ただ変態なだけで。」
「えっと。貴方の中では悪い奴と変態は同義じゃないの?」
「アリシアは変態だけどそこまで悪くないって言いたいんだけど。」
「・・・・・。」
「何で離れるんだ?」
「何だかのろけられている気がして。」
「別に僕とアリシアはそういう関係じゃないよ。言ってみれば、アリシアは僕を犬だと思ってるぐらいだし。」
「そこを真に受けるほど馬鹿なの貴方?やっぱり、そういう趣味持ってるのね。」
「僕の部屋に入ってきていきなり全裸になった奴が言うか・・?」
「裸で寝ないと落ち着かないのよ。」
「・・・・・。」
この世界の人間とのコミュニケーション方法が段々理解できなくなってきた。
「モニカこそ、そういう事ばかり考えているぐらいだから何か変なことするだろうけど。」
「私は清廉潔白だし、貴方みたいに犬と呼ばれて喜ぶほど変態じゃないわ。」
「え?」
「それにハーレム展開を期待しても無駄よ。もし私に男がいて、その男が他の女と近づけばその女を私が先に奪うわ。」
「言ってる意味が分からないよ・・!?」
「想像力が貧富ね。」
「性欲すら暴食してんじゃないか。お前、実は他の大罪もわりと使えるんじゃないか?」
「ん?そういえば試したこと無かったわね・・。」
もしかしたら本当に使えるかもしれないが、だからといって今のモニカの発言を忘れるのは難しい。
というか、モニカは相手が女だろうと性欲に走るのだろうか。




