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適当に歩いていくと、その小さな広場で獣人が踊って居る所をみかけた。
綺麗な服を着たその踊り子が、音楽に合わせて踊って居るため非常に賑やかになって居る。
「人が多いな・・。」
冷静に考えたら、自分が居た世界ではすぐにスマホの映像で見れるようなものだ。
時間と距離を考えれば、少しでもタイミングや日程が悪ければそれだけ質が低下しやすい。
ある意味、僕自身は機械の恩恵を受け過ぎているから気が向いたときにすぐに見れる娯楽しか得ていない。
しかし、今自分が居る場所での公演は日程や存在自体分かって居なかったので、その分その場所での機会の質はあるのだろうか。
「どうしたの?」
「いや、他にやることが無いとどうしてもね。」
「よく分からない事を言うのね。貴方。」
「前に居た場所だとすぐに娯楽を得られたけれど、この世界だと運と人間関係も合わさってくるからな。ああいった娯楽を好きな時に見れないから。僕自身は実はすごく困ってるんだよ。」
「はぁ・・一体どういう生活していたの?もしかして貴方、外国の王様だったりする?」
「いや。普通の一般庶民だよ。貧乏だし、たいした知識も持っていないただの人間。」
「貴方、私をからかっているの?」
「別にそういうつもりじゃないんだけど。」
「今のが事実だと信じられるほど私はいい子でもないから・・。でも、貧乏なのに娯楽をすぐに得られるって変な話よね。」
「うん?」
確かに、彼女の言うことは別に間違っているわけでもないけれど。
「僕がテーブルに放置してある小物あっただろ。」
「うん・・?あの、何故か焦げてるの?」
「そう。あれはもう壊れているけど。色々な映像や音楽を聴くことができたり、情報を引き出せたりするアイテムだ。大抵はタダか少額の賃金で娯楽をすぐに消費できるよ。」
「はぁ・・・。信じられない事を言うのね貴方は。」
「本当だって。」
といっても、僕が生きていた時代よりも100年前になると、娯楽をそこまで楽しめていないのであまり偉そうにはできない。
自分のお爺さんが子供だった時代になると、実際のところあまり良い娯楽はそこまで提供されていない。
「それは貴方が作ったものなの?」
「たいした知識は持ってないって言っただろ?あくまで、僕はただの人間だから。適当に貯めた金を支払って、それで娯楽を得る以上の事はできないよ。」
「そう。つまり、ここに居る人たちと貴方は実際にはそう変わらないということ?」
「多分そうなるよ。」
悪戯に娯楽によって時間を消費し続けることが別にそこまでいい事ではないけれど、だからといって僕にできることが無限にあるわけではない。
だから、実質的にはこの場所で踊り子を見ている観客とはそう変わらない人間であるのは事実だ。
運、機会が全ての人間に等しく提供されるような娯楽が存在したとしても・・恐らくその娯楽を味わったところで僕は突然何かの才能に目覚めることはない。
多くの娯楽をただ見て聴いている凡人は、果たして凡人であることを克服できるのだろうか。




