〇82
普通に食事をしている途中にアリシアは適当に任務の事を話していた。
「ロワールから出た後、北上して港町へ向かうわ。そこに行って、協会の船を借りてそのまま極東へ行くの。」
「・・・極東も随分遠いけれど、そこは大丈夫なの?」
「他の遠征ギルドに比べれば、極東はむしろ近い方よ。それよりも船で戦闘になる可能性もあるから。そこは注意したほうがいいわね。」
「戦闘って、海賊と?」
「えぇ。最近、ミズーリで襲撃事件が起きていたし。教団が海賊と接触している可能性もあるから。ナガト、海は泳げる?」
「いや。服を着たまま泳いだことは無いから分からないよ。」
それに、今の季節で海に飛び込んでしまったら確実に死ねるような気がする。
「あの三人がまた襲ってくる可能性もあるから。今回はモニカにも協力してもらいたいのよ。」
「本当なら嫌だけれど、仕方が無いわね。」
「別に、貴方には暴食を渡しているし。」
「グレコは今何処に居るの?」
「それは教えられないわね。」
「あのゴブリン用の檻、趣味が悪いから黙っていたけれどどうして持っているのかしら。」
「貴方が屋敷の所で会った金髪の軍人居たでしょう?あの子のお兄さんから貰ったのよ。」
「少し意味がよく分からないんだけど。どうしてそんなものを・・?」
「ん?あぁ、モニカは知らないのね。最近軍人や貴族の間で、銃器がブームになっているのは知って居るでしょう?」
「あの武器、一回しか撃てないけど割と強力なのよね。プレートメイル貫通できるなんて、改良すれば凄い兵器になるんじゃない?」
「えぇ。何とか連射できるように試行錯誤されているみたいだけど、その銃器の試し撃ちにゴブリンを使っている人が居たのよね。」
「ん?」
つまり、新しく出来上がった銃器の試し撃ちにゴブリンを檻に閉じ込めて射殺しているのだろうか。
まさか、そんな物騒な人がいるとは思わなかったけれど。
「流石にゴブリンだからって、銃器の実験に使うのは少し野蛮過ぎるんじゃないかしら。」
「軍や協会では一応止めるように言っているんだけれど。害の無いゴブリンじゃなければ問題ないからって、一部の人たちの中では行われているみたい。」
「貴方、もしかして・・。」
「私はやってないわよ。一体どういう目で見ているの貴方は。」
「そう。ならいいけど。でもあの金髪にお兄さん居たのね。そのお兄さんがやってたの?」
「むしろ止める側よ。害が極めて低いタイプの魔物は殺さない主義だもの。」
そういう人間が居るのは安心したけれど、この世界でも新しい武器の実験のために酷い事をする人は居るようだ。
というか、そういう話を朝食にするのはどうかと思うのだが・・。




