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そのままモニカは突然歩き出し、エクレールはそのままついて行く。
「ねぇ、ちょっと待ってってば。」
「何でついてくるの?」
「貴方、協会に捕まっていたはずだよね。どうやって脱獄してきたの?」
「別に、突然人間が爆発したから。脱獄する手間が省けただけ。何とか拘束具も外せたし・・。」
「そのままずっと逃げるの?この町の中で。」
「衛兵なら大したことないし、町内の治安維持ギルドなんて雑魚しかいないもの。これから先私のする事なんて前と変わらないわね。」
「また、前みたいな事をするのなら私はここで貴方を止める。」
「貴方がそこまで必死になる理由は分からなくも無いけれど。聞いたでしょう?私は貴方みたいな人間とは違うのだから。一緒には居られないの。」
「それは、そうだけれど。」
「むしろ私の存在自体が貴方にとって邪魔なものになるだけじゃないかしら。」
「そんな事はないと思う。大体、貴方ならもう少しいい生活はできると思うけれど。」
「・・・最初はそう思ったけれど。ねぇ、例えばだけれどさ。凡人が殆ど社会スキルも何もないまま暮らしていかなければならないとして、その人はどうやって生きればいいとおもう?」
「どうって、それは本人次第じゃないの?」
「それは強者側の視点ね。凡人であることは確かに自己責任だけれど、人間には限界はあるもの。凡人はずっと凡人のまま、その現実から目を背けられない。」
「でも、貴方は凡人・・ではないよね。」
「特殊だけれど、でも私の場合は似たようなものよ。結局、人間って誰もが出来るわけじゃないし、そもそも彼らだって別に生きたくて生きているわけじゃない。ただ苦しみたくないから生きていただけだもの。この町の貧困層だって、上の人たちは頑張れば何とかできるかもしれない人たちと捉えているけれど。実際には違う、彼らは配給されるパンを食べる事だけ精一杯ならもうその時点で人生が満了している人たちよね。」
「その人たちは、そもそもそんな生活をしているから駄目になったんじゃないの?」
「この世界には地位というものもあるし、そもそも魔法という物を使いこなす人種が居る以上平等論なんて貴方には言えないはずよね。」
「えっと、モニカは、どうしたいの?そこまで言っても、別に何も変わらないじゃない。」
「そうね、もしこの町で原因不明の感染病が発生した場合、何も知らない貧困層からまず死んでしまう。しかし、魔法を使える人ならその感染を自分一人だけでも食い止められるかもしれない。人間という社会も、結局特別な人間と社会的地位の高い人間さえ生きていればいいのだから。地位や能力も凡人の私がどういう言える筋合いはないのよ。」
「地位はともかく、能力は普通じゃないよね・・?」
「私が素直に人に従うと思っているの?その気になれば、私は前みたいに基本肉食だけで生きていけるし。獣人に比べれば私はスイートな女の子のつもりだけど。」
「えぇと。つまり、どういうこと?」
「私なんか放っておいてくれるかしら、貴方だって別に夜更かしをして変な事をしたい人じゃないでしょう?」
「変な事って?」
「・・・・・。」
そのまま歩いていても、結局ついてくるだけだった。
鬱陶しくてたまらないが、エクレールは明らかにモニカを普通の少女として見ている。
「ねぇ、貴方はどうして怖がらないのかしら。」
「え?」
「私みたいな人間を見たら、殆どの人間を失禁させられる自身はあるけれど。」
「失神じゃないの?」
「おもらしさせられる自身はあるけれど。」
直接的に言い返してきたモニカのせいで、普段頭痛をしないエクレールも天を仰ぎたくなった。
「・・怖くは無いよ。それと、モニカは勘違いしているけれど。私はそこまでできる人じゃないから。」
「貴方、結局私をどうしたいの?もしかして実は、エクレールは女の子同士で燃える人なの?」
「燃えるって?」
「・・・・。」
決定的な所で知識が伴っていない彼女の事は段々理解できていたけれど、モニカは結局彼女をどうしたらいいのか分からなくなってきた。
このまま歩いても朝までついてくるかもしれない。一体どうしたらいいのか、何時までもエクレールはモニカに追従していた。




