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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
ロワール
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〇67


ロワールの街並みを歩き、適当に自分が仕事できそうな場所を探してみる。

アルバイトでもいいけれど、ギルド関係は個人的には気まずくなるだろうから止めておこう。

夜まで歩いていたが、とりあえずまた明日には仕事を探す用意はある。

アリシアから借りた金はあともう少し、ロワールの寒い空気がまた厳しくなる頃合いだ。

「はぁ・・。」

何をやって居るんだろうか。私は。

エクレールは本来こんな事をしていてはいけない筈だけれど、しかしここまで逃げてきてしまった以上は引き返せない。

自分の持ち物が協会の物になってから、私はただ普通のエクレールとなった。

そのまま私は普通の少女で居るべきなのだろうか、それは私には分からない。

「んー。とりあえず、もう戻ろうかな。」

やる気すら感じられない。ずるずると引き延ばして、結果的には自分は何もしないまま終わってしまいたい。

人間として生まれた事を恨めばいいのか、あるいは今の社会を不条理だと叫べばいいのか。

そんな甘い考えさえ出てきてしまうけれど、エクレールはもう過去など自分から忘れているのだから。

「適当に生きる方法はあるけど、それを何十年もかけるのは辛いな。」

人間の人生は50年とプラスアルファ。50を過ぎればその人間はそこまで重宝されるわけではない。

経験や知識を要求するような仕事はともかく、それ以外の事に関しては明らかに居ない方がいいのだ。

新しさを生まない老いた人間になるまで、ずっと生きている事が苦痛なのだとしたらそれは地獄だろう。

エクレールでさえ、別にこの世界のことはあまり好きではないのだから。

「はぁ・・めんどうくさい。」

生きているのが面倒くさいのか、それとも自分が面倒くさいのか。

エクレールはそのまま通路を歩いて、自分の居場所へ戻ろうとしていた時だった。

ルーン石によって照らされている街灯の下に、見知った少女が居た。

最初は誰か分からなかったが、体格や雰囲気からして彼女はモニカだというのが分かった。

まさか、こんな場所でまた会えるとは思っていなかったけれど。

「こ、こんばんは。」

近づいて、とりあえず挨拶してみる。

モニカは、エクレールを見ていた。もしかして忘れられてしまったのだろうか。エクレールじゃあるまいし。

「貴方・・ここに住んでいたの?」

「いや、ただここに便利な仮住まいがあるだけで・・・。モニカこそ何してるの?」

「そうね。ナンパ待ち?」

「・・・は?」

一瞬エクレールは何事かと思ったが、とりあえす話は聞いておこう。

「適当に話しかけて来た人間を倒して金銭入手。気絶させればとりあえず上等だけど。この町って結構広いからすぐに衛兵から逃げられるのよね。」

「それただの犯罪者じゃない。なんでそういう事するの!?」

「ロリコンなんてみんな死ねばいい。」

「貴方の場合明らかに金銭目的でしょう!?」

「夜に大声を出さないでくれる?」

脱力したエクレールは、とりあえずモニカを反面教師として受け取っておいた。

駄目な人間の駄目な行動により、ロワールの治安は悪化していくのは止めておいた方がいいけど。

とりあえず、前みたいな血まみれのワンピースで歩いているよりはマシだろう。


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