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再度、僕は協会から事情聴取された。
一体どういう人物に拉致されたのかをユリナに対し丁寧に説明しつつ、いいかげんそろそろ休みたいという気持ちを発生させていた。
「ナガトさんから聞いた限り、最初のアリシアが放った一手は一歩間違えれば死んでいましたわね。」
ギリギリの所をかすめていったため、自分を拘束していた縄は解けたが。当たったら僕はどうなっていたか。
「人体に命中させたことがないから、私もよく分からないわね。試してみる?」
「止めなさい。」
あの黒い魔力の渦、ナガトも無名から感じる限りでは自分が受けたら即死する自信はある。
自分が持った力を自分に向けるような事なんて多分無いだろうけど。
「その三人の少女たちの身元については私たちが調査しますが、これからこの武器をどうするかが問題になりますわね。」
「協会の地下牢屋で突然爆発が起きたみたいだけど。あれも人が自爆したものなのよね。」
「はい。魔法石の暴走による爆発ですが、意図的に威力を倍加させるような魔術を使っていた可能性はあります。生存者の魔術師から聞いた限りでは、テロリスト当然の行為であり人道的ではないとか。過去に同じ方法で自爆した人の記録もありますが、当時からそのような魔法は禁じられていますし。」
「昔から血生臭いわね。もう少し何とかならないの?」
「そうですね。教団の目的がテロそのものなのか、もっと別の理由があるかは分かりません。ただ、地下を爆破された事によりモニカとフェリペの両名が脱獄してしまった事は痛い所です。」
その自爆行為が二人を助けるためなのかは、実際にはよく分からない。
衛兵から聞いた限り、仲間の一人が突然赤色に発光してすぐに爆発したという事だけだ。
「やっぱり、教団は私たちの敵なんですね。」
「だからといってこれは渡せません。」
ユリナが持っている大き目の何かのアイテム。それをエクレールはただ見ていた。
「でも、今何とかしないと・・。」
「先ほど貴方に依頼したのは緊急事態だったからです。貴方はもう協会の人間ではないのですから。それとも、今から入りたいとか言い出すのですか?」
「は、入りたいとは言わないけど・・。一気に教団を倒した方がいいんじゃない?」
「私もそう思いますが、また次に同じような行為が起こる危険性がありますので。自爆行為を止めるための対策を考えなければいけません。」
人手不足故に、全ての人間を動員して教団を倒すわけにもいかない。
しかし、それならエクレールに何か頼んでもいいのではないか。何か駄目な理由があるのか分からないけど、数が少ないのならエクレールをすぐに協会に引き入れても悪くない気はしていた。
協会の会議室の中で、とりあえずナガトは背伸びをしてみた。
「とにかく、この武器は一度貴方たちに預けてみたいと思います。」
「え?何で?」
つい、ナガトは口に出してしまった。
「あら、要らないのですか?」
「いや、物凄くほしいけれど。でも一応証拠品だろう?」
「そうですが。教団がこの武器を狙っている事は分かって居る事ですし。ナガトさんがまた何も持っていない状態で彼女たちに襲われる危険性もありますから。」
そう言われて、僕は無名を手渡された。
別に協会の中にあってもすぐに奪われないとは思うけれど。
「待って、もしかして囮にする気なの?」
「あら?どうしてそんな事を?アリシアさんも少しは休んだ方がよろしいかと。私は色々と仕事が増えてかなり忙しいので、この話はここで終了しますわね。」
そう言って彼女はアリシアを無視してそのまま会議室を出て行ってしまった。




