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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
ロワール
61/131

〇61


教団により囚われた人質が居るとされる建物に、剣士たちが集まる。

傭兵、あるいはギルドのメンバーなど多数が、各地に居ると思われる人質を救出しようとしていた。

「中に誰かが居るらしいけど、見た限り人質から離れようとしない。先ほど司令から入って来た伝達の通り、今から突入をしかけるが、人質の救出を最優先にしろ。」

剣士たちは隊長の命令に従い、時間通りに建物の中へ突入していった。

雪崩れ込むようにその建物の中へ入っていき、人質の居る場所へ入った。

「何だ・・こいつ?」

しかし、その目の前には人質と思われる人間の他に、赤く光って居る人間が立って居る。

一瞬、彼らは嫌な予感をした直後。その人間は大きな爆発を引き起こした。

同じ時間帯・・連続的にロワールの広い範囲で次々と爆発が発生。人質を巻き込んで教団と思われる人間たちが爆発したのだろう。

魔法による自爆・・それは強制されたものか、それとも自発的なものなのか。

それを理解するよりも、町の中での混乱は大きく広がっていた。

その爆発をモニカは見ていた。屋根の上で、ただその少女は目の前の惨状を眺めている。

「まさか、教団がこんな事をすると思わなかったけど。嫌な人でもいたのかしら。」

「これでは、ますます彼らが悪い人間になりましたけど。私たちには関係のないことですね。」

「そうね。七つの大罪の方は、どうなったところで私には関係ないけど。この町でやっていける?」

「私もサポートしますよ。」

「最初から、あの暴食は捨てて置くべきだったかな。」

「それはどうでしょう。もし他の人間に渡るのも危険でしたし。全て、協会の人に押し付ければいいんじゃないかと。」

「そう。」

「別に、過去の事で気に病む必要性なんて無いんですよ。モニカはモニカらしく生きていけばいいのに。」

「私は、前は獣として生きていたけど。これからは人間として生きていくのもありなのかもしれない。けど、グレコ。恐らく私はそれでも普通からは程遠いと思う。」

「いいんですよ。別に、貴方だけが特別ではないんですから。」

確かに、自分だけが別に特別な力を持った存在ではない。もしかしたら、自分にかけられた呪いを全て取り除く方法もあるはずだ。

モニカは後日も適当にしていくと決めた時だった。

一筋の光が、協会支部の方から飛んでロワールの外へ出て行くのを確認した。

「謎の、飛行物体・・。」

「あれは・・噂のアレですね。」

ギルド協会には、多種多様の遺跡から発掘した強力な魔法のアイテムを収集している。

その中で七つの大罪以上の、経歴不詳且つ高濃度の魔力を安定してコントロールする事ができるアイテムが存在するらしい。

そのアイテムを活用できる魔法使いは限られているけれど・・。

「綺麗・・。」

何処か、自分からは遠く感じられる存在にも感じていた。


戦闘からかなり時間が経った気がするが、アリシアとナガトは三人を倒すには至って居ない。

「ナガト!ちゃんと戦いなさい・・!」

「いや、相手が悪いっていうか・・君こそ大丈夫か?」

「さっきので、少し魔力を使ったみたい。」

「後先考えてないのか!?」

「あれで倒せると思っていたんだけど、意外とやるわねあの子たち。」

もう少し何とかならないのか、とりあえず今の状況を脱しなければ意味は無い。

「いい加減諦めてお兄ちゃん・・私だって貴方を傷つけたくないのに。」

「あの子、ずっとお兄ちゃんって言ってるけど。妹?」

「いや、赤の他人・・。」

「キスまでしたのに!」

「え?」

「意味不明な事を言ってないで、ミーアこそ戦うのを止めろ!」

「そんな事できるわけないじゃない!」

ミーアはそのまま魔法の矢を放つ。さっきまでよりも威力の強い矢が放たれ、それを何とか二人は回避する。二人はその掃射により大きく引き離されてしまい、続いてアリシアの方にリノンが突撃して攻撃してきた。

「はぁ・・!!」

「あんたもしつこい!」

つばぜり合いになるが、更にリノンは魔弾を放つためすぐに回避しなければならなかった。

更に遠方から何度もミーアが魔法の矢を主にアリシアに対して撃ってくるため、リノンをすぐに撃破できない。

「一撃必殺!」

「うわぁぁぁ!?」

僕の方には、テレジアが斧を一直線に振り下ろして攻撃してきた。

地面が爆砕されるが、屋敷の時よりは威力が低くなっている。

「ちっ、魔力が出ない・・!」

「えっと。とりあえず戦うのを止めてくれ!」

「あんたが止めなさいよ!」

そのままテレジアが攻撃してくるが、その斧を受け止めようとしても力が強いため反撃ができない。

「くそ、このままじゃどうしようもない・・!」

続いてミーアは弓を上に向けた。

魔法陣が大きく広がり、更に多数の魔法の矢が形成される。

その矢が放たれ、散らばった無数の矢が一気に降り注いできた。

ナガト、アリシアはその矢を回避し後退する。

「二人とも、フォーメーションCで!」

次の掃射、ミーアはより純度の高い魔力を形成し、その矢をアリシアに向けて放った。

大きく光るその矢を、アリシアは回避しようとせずその魔法を弾き返した。

その次にリノンによる多数の魔弾が一斉射撃された。

アリシアは急いでその攻撃を回避していったが、その隙をテレジアは猛追する。

「貰った!!」

「この・・!!」

上空から飛んできたテレジアの一撃をアリシアは高慢の柄を両手で握り、受け止める。

その一撃による衝撃で地面が大きく破壊され、流石に体にもダメージが入っていった。

「はぁ・・!!」

更にもう一撃、追撃を止めずテレジアはアリシアに対し横に薙ぎ払った。

「っ、ぁあ!!」

それを防いだものの、衝撃は相殺されずアリシアは吹き飛ばされて行ってしまう。

「アリシア・・!?」

ナガトはアリシアを助けようとしたが、その彼の目の前にまた無数の魔法の矢が放たれ爆砕される。

視界が防がれてしまい、アリシアの位置が分からなくなった。

「しまった・・!?」

「お兄ちゃんには悪いけど、悪い虫は駆除しないとね・・!!!」

流石にミーアも疲弊してきたが、ここで攻撃を止めるわけにはいかない。

今まであまり行っていなかったのに、三人によるフォーメーションがここまで成功したのだから。

「さぁ、これで終わり!!」

数分前から溜めていた魔力、この一撃をアリシアに対し放てば終わる。

ミーアは渾身の一撃を総動員し、魔法の矢を形成した。これほどまで強い魔力を形成したのは初めてだが、これならあのアリシアを十分倒せる。

矢が放たれ、強い風が吹き荒れた。明らかに最初にアリシアが放った力と同等の魔力、アリシアの方はまだ吹き飛ばされた時のダメージが治って居ないため彼女の矢に気づくのが遅かった。

「あ・・・・。」

目の前に信じられないほどの大きな光があった。

まさか、これほど大きな光が自分に向かってくるとなると、流石に自分の自慢のパリィでも対処できない。

さすがに駄目だったのかもしれない。

そう、諦めてしまった。

「っ・・!?」

空の上から、一つの閃光が起きてその魔法の矢が相殺されてしまう事は全く予想にしていなかった。

一瞬何が起きたのか、ミーアもまた理解できていなかった。

「結界の中に、私たち以外居ないはず・・!?」

テレジアはそう言ったが、更に空の上から複数の閃光が追加されて彼女たちを攻撃していく。

その攻撃を回避する事は成功したが、今はもう戦う力は残って居ない。

「さすがに、魔力が残ってないのに・・!」

「流石に嫌だけど撤退!!リノン、テレジア早く来て!!」

「結界の外から撃ってくるなんて・・!」

その砲撃から逃げるように三人は逃げて去って行った。

砲撃が止んだ所を見ると、多分味方のはずだろう。すぐにアリシアが居る所へ走っていった。

「大丈夫か・・?」

「えぇ。油断していたわ。この武器、意外と魔力食うのね。」

倒れていたアリシアは、とりあえず致命的なダメージは無かったようだ。

「まさか・・助けられるなんて思わなかったけど。」

そのアリシアは空を見る。

そこに、ゆっくりと上空から降りてくる少女を見るまで。

大きく、長い特徴的な杖を持つ人の影が地面に降り立ち、二人と対面した。

「え、エクレール・・?」

明らかに、そのエクレールだった。

その格好は前の物とは別もので、その雰囲気も戦闘向きといっていいけど。

「ナガトさん、それにアリシアも・・私、とても心配していたんですけど。大丈夫ですか?」

「えぇ。とりあえず、よく協会が許可してくれたわね。それ。」

「つい、先ほどロワールで・・教団の人たちが人質ごと自爆しました。」

「え・・?」

「なので、特例として私は任務を与えられちゃいましたけど。」

色々とおかしい事が起き過ぎだとは思うけれど、人質ごと自爆するとは流石に落ち着けない。

「すぐに二人は協会まで来てくださいと、ユリナからの伝言です。」

「それはいいけど・・。まぁいいわ、すぐに戻りましょう。」

ひとまず戦闘終了という形になったが、アリシアはさすがに疲れている様子だった。



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