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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
ロワール
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55/131

〇55

そのままミーアは僕から離れようとせずに居るが、彼女がモニカよりも少し体格が小さいため体重で殺される事はまずなさそうだ。

しかし、問題は彼女がそもそも本気で少女らしかぬ性欲を持っているかどうかだが。

このまま彼女が本気を出してしまえば明らかに表現できなくなるだろうし、僕自身あまりそういう冗談は得意ではない。

「妹が兄を好きになるのはこの世界では普通なのか?」

「普通だよ。」

「そうか・・。」

「普通にあり得ないよ。」

そんな事を言われても僕がしてあげられる事はないし、そもそも縛られているから逃げる事もできない。

いっその事、あの場所で勇気を出して逃げるべきだっただろうか。

しかし丸腰の状態で武器を持っていた僕が、普通とはいえ刃物を所持していたミーアに勝てる要素は無い。

「本当ならここで愛の契りを交わしたいのだけれど、それを実行する余裕も無いのは残念。」

「あまりにも早すぎるだろう。少しは貞操を守れ。」

「貞操って言葉がすでに嫌らしいね。お兄ちゃんこそ私に欲情しているんじゃない?」

「揚げ足をとるな。君の兄だって自分の妹が他の男に劣情を持って居たら悲しむぞ。」

「兄が生きていたらそもそもこんな事しない。でも、その近似する存在が居れば私は私で居られるの。これは愛の奴隷ともいえるけど、私は別に彼を傷つけたくて行動しているわけじゃないし。この戦いの中で貴方がもう少し冷静になってくれれば生きていられると思うけど。無能力者である以上、この状況はあまりにも危険だという意識を持った方がいいんじゃない?」

彼女の言う通りではあるけれど、彼女がべったりくっついているためあまり内容が頭に入ってこない。

「大丈夫だよお兄ちゃん。時間はまだたっぷりあるから。適当に協会への犯行声明を出して、その後はゆっくりと私たちは七つの大罪の真価を見極めていく。この武器を使っていけば、教団の偉い人たちからご褒美をもらえるから。」

「そんな事を僕に漏らして平気なのか?」

「漏らす?」

「そこに反応するな。僕が言いたいのは、そこは秘密にしていなくて大丈夫なのか?だよ。」

「それは平気だと思う。別に、お兄ちゃんなんて今すぐにでも殺されそうだから。」

「だ、誰に・・?」

「外に居る二人なら、私よりも簡単に貴方の生死を判断してしまいそうだし。それにモニカという子だって、本当に貴方の事を生かしてくれるとも思わない。あの騎士だって、貴方をいつまでも安全に奴隷として雇用してくれるだなんて私は思わない。あのエクレールというアホな子だってただの友達みたいなものじゃない?」

「今更、別にアリシアたちを疑う気持ちなんて持っていないよ。」

確かにいきなり会った日から人を奴隷にするような人と一緒に居るのは変だろうけど、しかしだからってこの世界が何も知らず一人で生きていける構成にはなっていない。

働いて生きていくのは可能かもしれないけど、問題は生きていけるかどうかじゃなくて安全かどうかだろうか。

適当に飯を食って生きていくだけならだれでもできるけど、この世界には危険が多いのは事実ではある。

目の前にその証拠が存在する限り、この世界で無能力者と呼ばれる普通の人間が殺される確率はどの程度なんだろうか。

交通事故の確率よりも正直高いかもしれないけど、、もっと考えれば奴隷だからというだけで自分の生き方を自由に選択する事はできない。

他人に強制されているのではなく、環境がそもそも自由を制限している以上この世界での無能力者の人生は万全ではない。

「お兄ちゃんが一体何処から来た生き物で、一体どうやってこの国にやってきて、一体どんな理由でこんな場所に居るのかなんて私は興味は無いけど。とりあえず私たちが全て七つの大罪を集めるまではここで大人しくしていることね。もし、寂しくなったら私がいつでも相手をしてあげるから。性的に。」

「最後は無茶苦茶余計すぎるぞ・・・。」

「いらないの?」

「君はまだ若いんだからもう少し大人しくしていろ。」

「その表現変だよね。若いから大人しくって、大人の部分からしてみればむしろ今の私こそ十分大人しい部類だもの。」

「言葉の使い方で揚げ足を取るな・・。」

かなりゲンナリしてきたが、恐らく彼女はこの調子でずっと話しかけてくる可能性はあった。

早くエクレールかアリシアは来ないのか、それとも今作戦会議中かは彼女たちを信頼するしかない。



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