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今日噴水広場でエクレールに会う予定だったが、僕はどうやら寝坊してしまっていたようだ。
「もう一つ部屋を借りていたから、別に何も問題は無かったんですね。よかった、早まらなくて。」
「何が早まらなくて、よ。私とナガトはそういう関係じゃないわ。」
「私、アリシアが心配なんです。」
「何で貴方が私を心配してくれているのかしらね。」
「だって、もし二人の間に何かがあったら。まだアリシアも15何ですから、もしかしたらって。」
「何を言ってるの?あまり適当な事を言わないでくれる?」
「だ、だから。その。ふ、二人とも同じ部屋に寝たら、子供が出来たらどうするんですか!?」
「・・・・」
アリシアは頭痛がしてきたようだが、生憎近くに何も無いためため息をするしかなかった。
水道が無いので、適当に井戸から水を壺に入れてこっちに持ってくるしかないのは割と不便過ぎる。
「エクレール、人はベッドの中に男女が入っただけでは子供は生まれないのよ。」
「そうなの・・!?」
「純真過ぎて涙が出るわね・・。」
「じゃ、じゃぁどうしたら子供ができるの?」
「それはとりあえず数年後に話をしておきましょう。もっとも、どうしてもっていうのなら・・。」
アリシアは妙な笑顔をしていたが、僕にまた危害を加えたりしないだろうか。
最近、彼女は確かに変態だという確信は得ているので、かなり不安ではある。
「全く。朝っぱらからエクレールは変な事を言わせないでくれる?そんなにナガトと一緒に行きたいなら勝手に遊んでなさい。」
「い、いいの?」
「どうせ金なんて持ってないもの。連れて行ったところで別に何も無いだろうし。」
「何も持っていないなんて、そんな可哀そうな人をいじめるのはよくないよ。」
「そんな下品な事はしていないわ。私は教えてあげているのよ。奴隷は奴隷らしく、高貴な騎士の下に生きる事のすばらしさを。」
「うーん。」
「大体、そのナガトと町に出かけようとするのはどういうこと?」
「私、自分探しをしてるだけだからアリシアには関係ないもん!!」
「ちょっと、何でそこで怒るのよ?」
「だから、本当の私を見つけるためにはナガトさんみたいな人も必要なの。それじゃぁ、私たちは出かけるからね。」
突然元気になったエクレールは僕を引っ張ってそのまま部屋から出て行ってしまった。
「変なエクレール・・昔からだけど。まぁ、アレは持ってないから昔みたいにならないだろうけど。」
アリシアにとってはエクレールの過去の事は、ある程度忘れる事にしている。




