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まるでアリシアに対して土下座をしているような姿勢になっており、その姿勢を強制している本人はいい笑顔だった。
「さて。とりあえず小会議でも始めましょうか。」
もう夜なんですけど。もしかしてアリシアは仕事をしていないと死ぬタイプなんだろうか。
「何?返事がないんだけれど。」
お前に黙らされてるんだよ!と大声を出したかったが、首輪から発される謎の魔法により体は全然動かなかった。
別に自分には特別な力は無い。屋敷での戦いだってグレコから借りた武器による効果があるのだから。
「私、本当の所これまでの旅路でちょっと疲れたから。適当に癒せる方法を探したいのだけれど。」
急にこの人はどうしちゃったんだろうか。あ、でも極寒の湖に入るぐらいだから別に意外でもないか。
「今失礼な事を考えなかったかしら?」
突然被害妄想気味になったアリシアに、靴を脱いだ状態の足で肩を踏まれる。
15歳の時点でこういう事をしでかすのは正直困るのだが、性癖なんだろうか。
「七つの大罪の内、高慢と暴食は回収済み。残りの五つはギルド協会が勝手に捜索してくれるらしいけれど、その武器は今はもう使わせてくれないのよね。」
そんなにあの武器が彼女は欲しいのだろうか。
「本当なら、私が七つの大罪を悪用しようとする教団に対して行動してあげてもいいけれど。ユリス・・ユリスティナは明らかに私を避けてるし。どうして数年前に仲良くしていた人はすぐに離れるのかしらね。」
多分、人の居ない所でこういう事をしている所を誰かに見られたんじゃないだろうか。
そのユリスティナさんが誰かは知らないけど、僕でも今のアリシアを見たら避けると思う。
「依頼を達成した後は数日は休ませられているけど。とりあえずその日の間貴方がどうしてそんなにモニカやエクレールの事を気にしているのか聞いておこうかしら。」
何とか口元が軽くなってきた。
「これ、お前の趣味なのか?」
「私の全裸を見た不埒な男に対する刑罰の一環ね。口には注意しなさい、つい間違えて貴方を消し炭にしてしまっても文句はないのよ。」
「全裸はともかく、今更その事を持ち出して何が目的なんだ?」
「その首輪、実は奴隷が見ていない場所で不貞をしないように声の録音機能がついているのよ。それを念話で帰り道で聞いたのだけれど。」
ちょっと怖すぎる機能がついていたようだけど、多分アリシアは今はギャグでやってるんだろう。
肩が猛烈に痛いのだけど、それも多分気のせいだ。
「別にエクレールとちょっと仲良くなってつい私の悪口を言ったところで、所詮奴隷にそこまで感情をむき出しにするような事はないわ。」
痛い痛い痛い痛い!!明らかに足の力が強くなってるし、何より僕は普通の人間だから間違えたら死ぬ!?
「ま、待て。明らかにただの嫉妬だろそれ!?」
「まさか。エクレールに対してそんな感情があるわけないでしょう?」
「じゃぁ何で踏むんだ。いくら相手が奴隷だからってやっていいことと悪い事があるだろ!?」
「勘違いしないでくれる?別に私は嫉妬しているんじゃないし、どちらかというと八つ当たりに近いもの。」
もはやただの暴力だった。
その理不尽すぎる彼女は一体なんなのか分からないけど、もしかしたら本気で怒って居るだけかもしれない。
「でも、エクレールとは別にそこまで仲が良かったわけじゃないだろ。同じ任務で働いた事があるだけで、別々のチームだったんじゃないか?」
「そうね。でも、問題はそこではなくて貴方が本気で誰に対しても鞍替えしてしまうんじゃないかっていう事よ。貴方、奴隷の自覚が本当にあるのかしら?」
あったら拙いだろと言いたいのだけど、とりあえず僕は何か別の言い方を模索しないといけない。
明らかに欠点だらけの会話の中で、彼女が何故そこまで怒っているのかを考えないと。
「分かった、お前の趣味が奴隷をいじめる事だってぐらい承知したからとりあえずよすんだ。」
「この状況をあまり理解していない貴方が凄いわね。言っておくけど、貴方好みの変なプレイは期待しない方がいいわよ。消し炭にされたくなかったら、二度と私を変態みたいに言うのを止めなさい。」
「・・・・。」
いや、この状態を維持できている時点で明らかに変態だと思う。
と、そう考えた瞬間突然体全身に電撃が走った。死にはしないけど、電気をまさか流されるとは思ってもいなかった。
「ど、奴隷、虐待・・・。」
「もし、次に他の誰かに対して気を許し過ぎるような反応があれば貴方を今以上に調教してあげるわ。」
「いや、本気で何考えてるのか分からない・・。」
「私は誰かに対して自分の物を触られたくないのよ。それだけでも、名誉の損害に価するわ。」
「・・・。」
「何か言ったかしら?」
「えっと、実は寝不足なんだろ?」
「まず貴方を先に寝かしてあげようかしら。」
本気で何でこんな行動を起こしているのかよく分からないのだけれど、もしかしてストレスが溜まって居るんだろうか。
次があったらとりあえずどうしたらいいのか分からないけど。
「奴隷を奪われる事で何がそんなに損害になるんだ。」
「それは知らなくていいのよ。特にエクレールには負けられないのだから仕方が無いでしょう?」
その仕方が無いで奴隷に暴力をふるうヒロインもどうかと思うのだが。
「いいわ。シャワーを浴びてくるからそこでじっとしてなさい。」
踏み台から解放されたが、体の自由は無かった。
「ちょっと?体が動かないんだけど!?」
「私をのぞき見する可能性あるじゃない。」
一瞬どきっとするほどの赤面だけど、申し訳ないけど自意識過剰過ぎてエクレールがまだマシに見えるレベルだった。
せめて体の自由ぐらい解放してほしいのだが、首輪は今も光輝いている。




