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その剣は周囲の物を破壊しながら迫ってくる。
本、椅子、牢屋という障害物など全くといっていいほど無視していた。
その凶悪ともいえる暴力に対し、できうる限りの力で跳ね返している。
グレコから貰った、剣・・適当に僕は無名の大罪と呼ぶが。その剣により確かに普通以上の運動能力はついていた。
普通なら見切れずに彼によって首を吹き飛ばされていたかもしれない。
しかし、僕は以前とは全く別の感覚によってその剣を見切り、凌いでいた。
何度も迫ってくるその剣を防いだ後、鍔り合いになった後にすぐに地面に転がって後退。
彼が落ちて来た場所に移動する事に成功した。
「ちっ、待ちやがれ!!」
僕の意図に気が付いたようだが、彼が来る前に1階の通路へ飛び上がった。
そして、すぐに走って彼の追撃から逃れようとする。このまま行けば、モニカに合流できると思っていた。
「え?」
そのモニカにはすぐに合うことができた。
何者かによって吹き飛ばされ、彼女とぶつかって壁に打ち付けられる事になってしまったが。
「くっ、まさか貴方、倒してきたの?」
「いや、逃げて来た。」
「そう。割と残念な状況になるわね。」
ナガトが逃げて来た通路からフェリペが歩いてくる。更に、モニカが吹き飛ばされてきた所からは大きな斧を持った少女が居た。
L字の通路の曲がり角に居る僕とモニカは、あの二人と戦わなければならないのか。
「彼女は?」
「テレジア。とりあえず話しかけない方がいいわよ。」
「え?」
突然、テレジアという少女は何故か壁を破壊してしまっていた。
少女とは思えない力で、大きな斧により外に繋がる穴が出来ている。
「ちっ、死骸の匂いで鼻がおかしくなるじゃない。あんた、掃除ぐらいちゃんとしたらどうなの!?あぁ!?殺すわよ!?」
「あれ、明らかに大罪の一つなのは分かるけどさ。実際は別に性格に影響しないんだよな。」
「えぇ。」
怒る理由は確かに分からなくもないが、少し激情過ぎる感じではあった。
「何だか煩い奴が居るな。そこの女には会いたくないからナガト、ちょっとこっちに来い。」
「使命されてる!?」
「戦いにくいだろうが。」
「この状況でフェアプレー精神を発揮されても困るんだけど。って・・?!」
テレジアの斧が黒い光を発し、轟音を鳴らしていた。
「一・撃・必・殺!!」
その憤怒により強力な魔力を纏った斧を、テレジアは地面に向かって打ち付ける。
それにより彼女が存在する周囲の物を全て破壊する程の爆発を発生させ、僕とモニカを吹き飛ばしていった。
「あの馬、味方ごと巻き込む奴が居るかぁーー!!!!」
円形の広い爆発はフェリペにも及んでおり、彼はまた地下の方へ吹き飛ばされていってしまった。
「ちっ、どこいったあいつ・・!」
テレジアのあまり考えない攻撃により味方を一人失い、結果的には僕とモニカを有利にさせてしまっていた。




