○23
牢屋に閉じ込められた後数分は経った。
二人は大丈夫だと思うが、むしろ一番危険なのは自分ではないか、
「ところで、君は何をやってるんだ?」
黒い物体は適当に飛ぶなり本を読んでいて緊迫感が無かった。
「長い間この場所に居ると、暇を弄ぶ癖がついてしまって。」
「人質を前に余裕な奴だな。」
「まあ、空気が薄そうであまり活躍できなさそうな人ですから、別に見張らなくても問題ないですけどね。あいた。」
近くにあった小さな本でそいつを牢屋から叩き出した。
「いきなり暴力を働くだなんて、やはり人間は見た目以上の情けなさですね。」
「やかましい!いいからここから出せ!」
「出すわけないじゃないですか。それともなんです?怖いんですか?地下室に閉じ込められて怖いんですか?」
モニカは既に何処かに行ってしまったが、まさかまた何かしようとしているのだろうか。
明らかに異常事態なのに、目の前に居る物体のせいで真面目に集中できなかった。
「お前が不条理なことするからだろ!いいから出せ!」
「嫌です。大体私はこの地下室で何年やってきたと思ってるんですか?10年以上モニカの面倒を見ていたらそろそろ別の夢を見させて下さい。私、この小説で乙女の危険な日々を堪能しないと。」
「この状況でよくそんなの読んでるな。お前、結局なんなんだ?」
「答える気はありません。」
「名前くらい教えろ変な生き物。」
「面倒ですね貴方は。そうやって貴重な空気を無駄遣いしてどうするんです?やめて下さい、もし貴方のせいで地球温暖化したらどうするつもりですか。」
「お前喧嘩売ってるんだな!?」
「はあ、これだから人間は五月蝿い。私のことは敬意を込めてグレゴリウスと呼びなさい。いいですね?」
「って、お前男だったのか?」
「私に男女の概念はありせん。下等な人間の判断力でこの私を喋らせるだなんて、全くこの世の中は腐ってますね。」
「いや、明らかに腐ってるのはお前だけど。それでモニカは。」
「さっきから何なんですか貴方は。モニカという名前は教えましたが、言っていいとは言ってません。敬意と畏怖を込めて下さいな。」
「さっきからかなり馬鹿にした口振りだな。それで、屋敷にあんな死骸を溜め込むんだから。明らかに野蛮なのはお前たちじゃなあたか?」
「失礼な。あれも私たちは魔の手から逃れるためにしたこと。本来なら王族の食事をフルコース用意しなければ。」
「お前、それギャグで言ってるのか?」
「本気です。私は悪魔であり、ある力のために用意された存在ですから。」
さっきまでの言動が本気だとすると、かなり目の前に浮いている物体は駄目なタイプなのだろう。
悪魔というよりは、マスコット的な見た目だが。




