○24
グレゴリウスという変な生き物は魔法で浮遊させて読んでいた本を戻す。
多少は片付いている場所だが、所詮は地下室だ。
「牢獄に人を入れてよく満喫してるな。」
「この場所は元々ある人間の書斎でしたから。適当な物は揃っています。こうして牢獄の中に居る汚物を見て読書をするのも、本来は彼の役割でし
た」
「あっそう。」
「そうやって貴方は寝そべっていますが、そこは元々人体実験のために使われていたものでして。」
「お前ら10年前に何やってたんだ!?」
「超高度な魔法の実験ですよ。それにより犠牲になった野生動物は150を超えていました。数えるのが面倒になったので、とりあえず私は彼のことは見ていませんでしたが。全く、まさか殺されるとは思いませんでした。」
「誰に殺されたんだ?」
「貴方が知ってどうするんです?」
「あのモニカという子だって、何であんな事してるんだ。明らかに普通じゃないだろ。」
「知りたいのなら条件があります。というか、私ももうそろそろこの場所には居られない可能性は充分あるので。」
「魔の手とかさっき言ってたけど。」
「私の力を奪った人たち、そいつらはいつかはこの場所を襲撃するでしょう。なので、貴方を利用してみたいと思います。まあ、ぶっちゃけモニカが死ぬくらいなら貴方を彼らの標的にした方が生存率は上がります。」
「えっと、一応聞いておくけど。僕はアリシアとい騎士の奴隷だからどこまで出来るかは分からないよ。」
そう言っていると、モニカが戻ってきた。
「奴隷?貴方、誰かの奴隷だったの?」
「あ、ああ。」
「そう。その首輪は利用価値はありそう。」
「そうですね。やっちゃいましょうか。この際略奪は愛です。」
グレゴリウスが突然意味不明な事を言うと、モニカは牢獄の鍵を開けて中に入ってくる。
「男女逆だったら、尚更盛り上がれそうだけど。」
「な、何をする気ですか?」
「貴方のこと、最初見たときからちょっと気になったの。」
「いきなり僕を拉致ったのは、偶然じゃないのか?」
「本能的に私は欲しくなった。それだけだから。」
また、モニカは近づいてくる。
しかし、最初会った時と比べると恐怖心というものはなかった。
「ところで、貴方の主人ってどういう人?」
「君が刺した人だよ。」
その言葉に反応したモニカの目は赤く輝いたように見えた。
体を押さえつけられ、首元に強引に噛み付かれた。
その時、僕は明らかに死んだと思われていたが。
バッドエンドではなく、まだナガトの命はそこに存在している。
モニカが離れると、痛みも急速に消えていった。
「無理やりだけど、血液から通して首輪の拘束対象構造を弄ったわ。これで、貴方は私のものになった。」
「え?」
「貴方の血、物凄く美味しかった。」
「エ?」
「そのままいただきたかったけど。それは一応やめておくわ。」
もしかして、彼女は本気で僕を咬み殺す気だったんじゃないか。
アリシアを問答無用で刺した前科を考えると、この場所で彼女に殺される可能性はあった。
「も、モニカさん?」
「誰が勝手に私を呼び捨てにしていいって言ったの?奴隷のくせに礼儀も知らないのね。丁度いいから、その首輪の性能を確かめてあげる。」
「性能?」
モニカはゆっくりと笑い、近くにあった椅子に座る。
「そこの犬、おすわり。」
その言葉を聞いた瞬間、僕は突然体に謎の力がかかり地面に叩きつけられた。
アリシアもその気になれば、この首輪の機能を使っていたのだろうか。
かなり地面が冷たいが、殺されるよりはマシだと思っておこう。




