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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
始まり、森から屋敷へ
14/131

○14

辺りが暗くなってきたので、炎系の妖精を召喚して暗闇を照らしていた。

エクレールは適当に道を歩いている。

正直、道は割とどうでもよく、山を越えれば町へ行ける。

確か、西の方の町は行ってはいけないところだから、東へ行けばいい。

そう思うけれど、エクレールは寒さに震えてしまう。

「うう、熊さんとか出てきませんように。」

そう願って歩いて行く。

暗闇の中を歩くのは慣れているけれど、今日は何処か異質な冷気を感じる。

「え?」

薄暗いけれど、確かに足元には血の跡があった。

恐らく猛獣が鹿を殺したのだろう。

その気になれば山火事も起こせるし、心配は要らない。

いや、そんな事をしてはいけないが。彼女にとっては、今は緊急事態なのだ。

「妖精さん。私に力を貸して。」

妖精が反応する。

「無理!?せめて勇気だけでも!」

妖精にすら呆れられるが、今は進むしかない。

一日中歩けば、町にはつけるはずだ。

そう思っていたが、彼女はふと何かが道を塞いでいるのを見た。

「え?」

女の子が立っている。

綺麗な銀色の髪が見えるが、彼女の服は血のようなもので汚れている。

更に、頭と左手には包帯が握られていた。

怪我でも、しているのだろうか。

「あ、あの。幽霊じゃないですよね。」

少女は振り向く。

片目以外は顔を判別できない。

「あの。一人で何やってるの?」

少女は答えない。

「えっと、お菓子、食べる?」

少女は反応しない。

「えっと。もしかして、邪魔かな。あはは。」

そう、通り過ぎようとした。

「ねえ。」

「え、何?」

「帰り道が分からないから、案内してくれる?」

正直、物凄く嫌だった。

「えっと、どこに住んでるの?」

「旧ペドロ。」

「そ、そこは誰も居ないじゃない?」

「うん。でも、あそこが私の故郷だから。」

「え?故郷?」

故郷を自覚しているには若過ぎる。

エクレールよりも年下に見えるが、実は包帯の下はそうでもないのだろうか。

「そっか。迷子ならしょうがないね。って、妖精さん?」

妖精はエクレールの顔の前に止まった。

「大丈夫だよ。こんな夜なんだから、誰だって怖がるでしょう?」

妖精はエクレールの言う意味不明な事に対し疑問を感じていた。

「君、お名前は?」

「忘れた。」

「そっか。きっと、辛い目に遭ったんだね。可哀想に、私のお菓子あげるね。」

「別に、おなかすいてない。」

妖精は激しく動いてエクレールを止めようとしたが、その努力は虚しくも失敗する。

「甘い。」

「美味しいでしょ?」

少女は適当にエクレールから貰ったお菓子を食べる。

近くに自分が殺したオオカミがあるけれど、今日は回収しないことにした。

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