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私は楽しく生きたくて  作者: めのおび
3章 北の国ガレオン
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4話 私は今突入する

 小夜世 黒(さよせ くろ)は今、北の国ガレオンの西門の前に立っている。門の全長は10mほどだろうか。入る者も出る者も、この門の前では赤子に等しいかのような重厚さである。


 そんな門を目の前にし、黒はここに来るまでにザイ達と話したことを思い出す。




 黒が作戦会議とは名ばかりのふざけた場所を抜け出した後、『そういえばガレオンまでの道分からないな...』と思い、回りに聞ける人がいないか探し初めたとき、走り出すザイ達の姿を捉え、後を追いかけた。


 黒がザイ達に追いつくと、ザイはそんな黒のことを横目で確認した後、話しかけてきた。


 「お前は、あいつらとは、違うようだな」


 「えっ?、えぇ、まぁ...」


 あの場での会話を聞いていた限り、自分から話しかけてくるタイプには見えなかったので、黒は驚き適当な返事を返してしまう。共感覚から得た情報からも、ザイはかなりのめんどくさがり屋なタイプなのは間違いない。


 「お、(かしら)が自分から話かけるとは珍しい」


 やはりそうなのか、ザイのパーティーメンバーの一人が声をあげると、その他のメンバーからも『だな』、『確かに』などの声が上がる。


 「まぁ確かにあいつらはひっどいからなぁ...クロさんみたいなまともな人がいてくれて頭も嬉しかったんでしょ」


 と、いうことらしい。一応あの人達もAランクパーティーのはずだが、そんなにひどいものなのだろうか...と黒は顔をしかめる。


 「クロさんはあんまり他のパーティーとかは気にしない感じですか?」


 そんな黒の顔を見てか、またザイのパーティーメンバーが話しかけてくる。ザイを除いて、最初に声をあげるのは先ほどからこの人なので、副隊長的な立ち位置なのだろうか。見た目だけで言うと、休日にDIYをやっていそうな眼鏡をかけたお父さんキャラである。


 「えぇ、まぁ...」


 よくよく考えればこれまで他のパーティーを気にしたことがなかったな、と黒は思った。今回のようなことがまたあるだろうから、これからはAランク以上のパーティーには気を配ったほうがいいかもしれない。

 

 その後、オルアと名乗ったお父さんキャラは色々と教えてくれた。


 本来であれば、作戦会議の場では偵察の情報を含めた話し合いをするべきだが、今回のパーティーリーダーとなったグイはそれをしなかったこと、あの金髪はこの界隈では有名ないわゆる自己中心的な人物の代表格であることなどだ。


 そんな話の中でも、黒の興味を引いたのは次の話であった。


 「Aランクと言っても、能力さえあれば割と簡単に到達できてしまうものなんだよ。そのいい例がグイだ。彼は能力値に恵まれているタイプだから、Aランクに上がるのが早かった。そのせいで技術や経験に関してはまだまだだ。特に対人の経験についてはほぼ皆無だろう。だから今回だって相手を舐めてかかってる。じゃんけんで頭が負けたのが運の尽きだったなぁ」


 であれば、じゃんけんではなく立候補すればよかったのではと聞いてみたが、そもそもザイはそんなことをするタイプではないし、いらぬ話し合いが増えるため、基本的にリーダー決めはじゃんけんが主流らしい。


 なんとも酷い話だと黒は冒険者社会の闇を感じた。


 その後も色々話を聞いているうちに、ガレオンが視界に入り、それぞれの持ち場へ向かうため解散となった。その別れ際、最初の一言以来、言葉を発することがなかったザイが『嫌な感じだ、気を付けろ』と言い残した。


 


 そして、現在に戻る。生物探知で感じられる場内の反応はかなり少ない。ここが東の国イルミールと同等の規模を持つ、北の国ガレオンであることが間違いないのであれば、この反応の少なさは異常だ。


 ザイの言葉のせいか、それとも雨が降り出しそうな空模様のせいか、嫌な想像ばかりしてしまう。ベストはみんな避難しており、この反応は兵士の者であること。その反対は...


 そこまで考え、黒は頭を振る。


 「よし、行くか」


 黒は意を決して、飛行魔法を行使した。




○●○●


 一方その頃のグイとサハラン達はというと、あともう少しでガレオンに着くというところまで来ていた。


 一応Aランクパーティーであり、その移動速度は高レベルのものであった。

読んで下さりありがとうございます。

ブックマーク、感想を下さり有難うございます。励みになっております。


風邪にかかってしまい、熱が出て大変でした。皆さまもお気をつけください。

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