第2話 世界で1番小さいダンジョン
「……本当に作れるのね。」
エレノアは目の前に浮かぶ《創世迷宮設計書》を見つめた。
そこには建設可能な項目が並んでいる。
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【所持DP:100】
建設可能
・入口 0DP
・土の通路(10m) 20DP
・小部屋 30DP
・スライム 50DP
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「まずは作ってみましょう。」
エレノアが「土の通路」を選択すると、足元が大きく揺れた。
ゴゴゴゴゴ……。
岩壁が左右へ広がり、何もなかった洞窟にまっすぐな通路が生まれる。
「すごい……!」
続いて小部屋を設置。
さらに最後の50DPを使い、スライムを召喚した。
ぽよん。
手のひらほどの青いスライムが現れる。
「ぷる?」
「あなたが、このダンジョン最初の住人ね。」
スライムは嬉しそうに跳ね回った。
設計書を見ると、DPはちょうど0になっていた。
「つまり……ここからは冒険者が来ないと何も作れないってことね。」
ダンジョンは完成した。
……いや、完成と呼ぶにはあまりにも小さい。
入口から十メートル進めば小部屋があり、そこにスライムが一匹いるだけ。
エレノアは思わず苦笑する。
「世界最小のダンジョンね。」
そのとき、設計書に新しい文字が浮かび上がった。
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【クエスト】
初めての来訪者を迎えよう。
報酬:100DP
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「来訪者……?」
こんな辺境に誰か来るのだろうか。
そう思った矢先、洞窟の外から声が聞こえた。
「おい、見ろ!」
「昨日までこんな洞窟、なかったよな?」
エレノアは岩陰から外をのぞく。
革鎧を着た若い冒険者が二人。
採取依頼の帰りらしい。
「新しいダンジョンか?」
「こんな場所に?」
二人は顔を見合わせる。
ダンジョンは宝や素材が眠る場所だ。
未知のダンジョンなら、一攫千金の可能性もある。
「入ってみよう。」
「……そうだな。」
二人は警戒しながら中へ入ってきた。
エレノアは少し離れた場所で様子を見守る。
通路を進み、小部屋へ。
そこで待ち構えていたのは――。
「ぷる!」
スライムが元気よく飛び跳ねた。
「……。」
「……。」
「スライム一匹?」
「それだけ?」
冒険者たちは顔を見合わせ、思わず吹き出した。
「はははっ! なんだこのダンジョン!」
「新人冒険者の訓練にもならないぞ!」
一撃。
スライムはあっさり倒された。
ぽんっと小さな魔石を落とす。
その瞬間、設計書が光った。
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【2名が攻略しました。】
獲得DP:40
初回来訪ボーナス:100DP
現在DP:140
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「増えた……!」
エレノアの瞳が輝く。
攻略されれば終わりではない。
攻略されるほど、新しいダンジョンを作れる。
その仕組みを理解した彼女は、静かに笑った。
「そういうことだったのね。」
もっと面白い迷宮を作れば、もっと多くの冒険者が来る。
もっと冒険者が来れば、もっとDPが増える。
そして、もっと大きなダンジョンを作れる。
まるで経営そのものだ。
設計書には、すでに新たな建設候補が表示されていた。
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【新規解放】
・ゴブリン 100DP
・木の宝箱 50DP
・分かれ道 40DP
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