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私の家の壺の中から、時折『転生者』が出てきます。  作者: 溝端翔
リョクが出てきた!

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魔法使いになれるの?

「お前、名前なんだっけ。お前私の胸触ったんだから責任取れよ! 逃げんなよ! よそ見すんなよ!」

「え、えっと……」

「マジで触られた……。初めて触られた……。こんな女みたいなやつに……。ありえない……。子供できちゃう……。お嫁に行くしかない……」


 ヴェルミヨンは誰にも聞こえない声量でぶつぶつと呟いた。


「ヴェル何してるの?」

「う、うるせえ! そ、そうだ。お前ら何しにきたんだ? 私の胸を触りにきたのか?」

「違うよー。今日はねー魔法を教えてもらいにきたの」

「魔法? お前回復魔法使えるだろうが。っていうか他の魔法は何回教えてもダメだったろ」

「私じゃなくてシオウくんに教えて欲しいの。もしかしたらシオウくんには才能があるかもしれないから」

「こ、このガキにか?」

「が、ガキじゃなくてシオウです」

「し、シオウね。ちょっと待ってろ」


 ヴェルミヨンは体勢を低くして、シオウの顔をじっと見た。ヴェルミヨンは自分の顔が赤くなるのがわかる。


「ふ、ふん。悪くはねえな? 魔力の流れに澱みがない。しかも意外といい顔……」

「なんか言いましたか?」

「何も言ってねえよ! お前と離してると調子狂うな! ったく。でもまあ、確かに魔法が使えるかもしれないな」

「じゃあ!」

「シオウのためじゃねえ。私が暇だからだ! わかったな? よし、いいぜ。魔法について教えてやるよ。どうせラズには教えられないだろうしな。ていうか回復魔法のこと何回聞いても意味わかんねえし」

「だってー。ぽわーって感じなんだもん」

「はあ。感覚派はこれだから困るわ」

「じゃ、じゃあ教えていただけるんでしょうか!」


 シオウは目をキラキラさせてヴェルミヨンを見つめた。


「あ、ああ。特別だ。教えてやるよ。そのかわりおまえにはちゃんと責任ってものを取ってもらうからな?」

「責任ですか? はい! 僕にできることなら何だってやります! ヴェルミヨンさん、よろしくお願いします!」


 シオウは深々と頭を下げた。


 こんな気持ちになったのは初めてだ。それがこんな男なんて。

 女みたいで、でもちょっとかっこよくて。くそ、調子狂うな。


 これが恋ってやつなのか?


 私の胸を触るなんて。絶対絶対シオウには責任をとってもらわねえと。


「じゃ、じゃあ表へ出ようか。家の中でっ魔法なんか使ったら大変なことになるからな」


 ヴェルミヨンに連れられて、二人は家の横にある人場に出た。


「ふう。じゃあまずは魔法ってやつを見せてやろうか」

「はい! お願いします!」


 広場の真ん中で、ヴェルミヨンは右手を突き上げ手のひらを上に向けた。


 落ち着け、落ち着け私。


 風が、というよりも、ヴェルミヨンの周囲の空気がヴェルミヨンを中心に円を描くように手のひらに集まっていく。巻き上げられた風で、ラズのスカートがひらひらと捲れ上がりパンツがチラチラ見える。シオウはヴェルミヨンにもラズにも目を惹きつけられてしまう。


 ヴェルミヨンの手のひらの上に小さな火球が出来始めた。

 どんどんお火球は大きくなり、ヴェルミヨンの家ほどのサイズになった。


「どうだ、これが魔法ってやつだ!」


 にかっと笑うとヴェルミヨンの上にあった火球はどんどん小さくなり、最後にはぽんと消えてしまった。


「ちなみに私の属性は炎属性だ。属性ってのは生まれつきのもんで変えることはできねえ。覚えとけ」


 よかった。ちゃんとできた……。


「はい!」


 シオウの手にはヴェルミヨンのパンツが握られていた。さっきの風で洗濯物が飛んできて、顔に引っ付いたのだ。


「で、お、お前は何で顔を赤くして私のパンツを握りしめてるんだ? ちゃんと見てたか?」

「は、はい! 見てました! すごかったです! それと……これは、違うんです。飛んできたんです」

「とりあえずそのパンツは返せ!」

「ヴェルミヨンはシオウからパンツを引ったくってスカートのポケットに突っ込んだ。

「じゃあ次はシオウが魔法を使う番だ!」

「え。えええ? 僕魔法なんて使えないですよ!」

「大丈夫。私が手取り足取り教えてやるからよ。まずはそうだな。足を肩幅に開いて、肩の力を抜いて深呼吸をする」


 足を肩幅に開いて、肩の力を抜いて。


「すうー、はあー」

「じゃあ次は自分に流れている魔力の流れを捉えるんだ。人には必ず微量でも魔力が流れている。血流とは逆方向に流れているんだ。その流れを掴む。そして手のひらから出すように意識を持っていく。基本魔法は手のひらから放出するんだ。手のひら、そして指には魔力を出す穴が存在している。普段その穴から魔力が少しずつ魔力が漏れ出てるんだが、意識して意図的に放出するんだ。放出ができれば、あとはその放出する意識をしっかり体に刻み込むんだ」

「えっと、血流とは逆で……。ヴェルミヨンさん。血流ってどっち向け回ってるんですか?」

「なんだ、そんなことも知らないのか? 血流ってのはな、えーっと、魔力がこっち向けだから……。いや。うーん。わからん! 多分なんやかんやいろんな方向に流れてる。血流のことは忘れてくれ。とにかく魔力の流れを掴むんだ。初めは目を閉じて意識するとやりやすいぞ」

「は、はい!」


 ヴェルミヨンの説明はよくわからないところも多かったけれど、シオウは黙って目を閉じて集中した。

 体の中に流れる魔力を感じる気がする。初めてなのになぜだか何となく分かる気がする。

 血と同じ魔力が頭の先からつま先まで満ちているのを感じる。


 手のひらと指から放出するイメージ。


 魔力が流れて、手から……。


 ぱりっ!


「わっ!」


 指先に少し強めの静電気のようなものを感じた。

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