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12、今思えば、またトラブルか

モルテーナ帝国の都に迫る 巨大なクジラモドキの魔物。

魔法も効果が無く このままでは都が壊滅しそうだ。この魔物はクジラと同じように頭の上あたりに空気を吸い込む吸気口がある。そこへ爆破の魔道具を放り込むべく騎士団長のオッサンと乗り込むことにした。


急所の穴に爆弾投げ入れるなんて、宇宙が舞台の有名な映画のラストシーンみたいだ。フォ○スが必要かもしれん。



「あいつが潮を吹いたら飛び乗って、フタが閉まる前に爆弾を放り込む」


「うむ、では 破裂の宝珠の使い方を説明するぞ」


飛び立った後の僅かな時間で打ち合わせをする。ツツルフルに聞こえるように大き目の声で話しても違和感が無くて助かる。魔物は直ぐ近くまで来ていた。





「行くぜ」


クジラ?の後ろから近づき降下する。奴の背中は見た目に反して 岩場のようにデコボコした感じなので、滑り落ちる心配は無いようだ。しかし、俺たちが降り立つと、予想外な攻撃にさらされる。



「うおっ、何だ、これ」


「こいつら、毒が有るかも知れん。気をつけろ」


「ツー、飛び立って上空で待機しててくれ」


デコボコしているように見えていた表面は 寄生する魔物の巣だった。所々から触手が伸びてきて足を取られそうになる。


剣で切り払いながら進むが時間がかかる。くそっ、潮を吹く入り口のフタが閉まってしまう。

しかも 城壁が近づいて来た、時間が無い。



「強行突破する」


「うむ」


騎士団長のコルトスも同じ考えだったらしく、それぞれ並んで 左右からの攻撃を剣で払いながら走り出した。


しかし 苦労して到着すると、すでにフタは閉じる寸前だ。ハラが立つので 八つ当たりぎみにフタを切り付けると3分の1ほどがスパッと切り取られた。さすが、極上の剣というところか。


2人が それぞれ一つの爆弾を放り込むと同時に、切られた痛みが伝わったのかクジラ?が暴れだした。

水を振り払うイヌのような動きで体を震わせたから堪らない。最後に一瞬だけ見えたのは 吸気口から血肉を噴出す場面だった。


その後の事は良く分からない。後で聞いた話では、2人とも転がり回り 空中に投げ出されたところをツツルフルが受け止めてくれたらしい。また、ギリギリで命が助かった。魔物に関わると本当に命がけになるようだ。





目が覚めると知らない天井だった・・いや本当に。

あれから どうなったんだ?。近くには俺の荷物が置かれている。といっても、アイテム袋と剣だけだが。

どうやら この部屋は何処かの宿のものらしい。



[[ レンジーぃぃ助けてー ]]


うあ、何だ?

直接頭に響くような声だ。しかし、この声は・・



「ツツルフルか?何処だ」


[[ 宿の外にいる。心のラインを繋いで有るから 私に向けて考えるだけで聞こえるよ。とにかく助けて ]]


俺は荷物を掴み 急いで部屋を飛び出した。

下に行くと 宿の酒場的な所に騎士団長のコルトスが座っている。




「おおっ、気が付かれたか。心配したぞ」


「話は後だ」


外に飛び出し ツツルフルの居る裏手に走る。居場所は自然と分かるようだ、これも繋がるということだろう。


裏に行くと 数人の柄の悪い男達が 彼女の手綱を引いて連れ出そうとしている。口で抗議する必要は無い、一瞬の迷いも無く 剣を抜いて飛び込む。


俺の嫁に手を出しやがって。


一人目、手綱を持った男の手首を切り飛ばす。

返す剣で隣の男の太ももを切り裂く、二人目。

一瞬であたりに血が撒き散らされる。

ん、やはり、クジラを倒してレベルが上がったのだろう。今まで以上に体が動くのを実感できる。


とっさに剣を抜こうとした男の肘から先を切り飛ばし 三人戦闘不能にしたところで、他の男たちはいったん下がって体勢を整えだした。俺は飛獣姿のツツルフルの前に立ち状況を確認する。


残った男達は4人、すこし離れた場所にも誰か居るようだ。ツツルに聞くと、いきなり男達が来て彼女を連れ出そうとしたらしい。男達の会話から誰かに依頼されたようだ。


まぁ、理由は全く関係ない。体中の血が沸騰しているかのように腹が立っている。その割りに何時も以上に冷えた頭をしているのが不思議だ。



「ガキが、何てことしやがる。俺たちは 憂国旅団だ、生きていられると思うなよ」


「盗賊の名前に興味は無い、口を開くなクソども」


奴らが一斉に切り込んで来る一瞬前に走りこみ、4人目の剣の持ち手を狙い 指を切り落とす。その男を蹴り飛ばす事で方向を変え、振り下ろされる5人目の男の剣を受け止めるべく振り上げると、それだけで相手の剣ごと首まで跳ね飛ばした。


あと2人。



「ま、待て。俺たちの後ろにはドブロクロ商会が居るんだぞ。意味が分かってるのか」


「分かってる。お前が依頼主の事を教えるバカだという事がな」


「まったくですね」


言葉と同時に2人の男は燃え上がった、その後ろには三人の男女が居る。女2人は魔法使いなのだろう、次の魔法を放つべく準備している。

男が1人前に出てきた。20歳前後と思われるイケメンだ。だが、その顔は何故かウットリと恍惚の表情をしてこちらを見ている。

まさか、腐女子が喜ぶアレか?こいつ・・。



「おおっ、やはり 何と言う美しいその姿。私は遠くから見て気が付きましたよ。その流れるような身のこなし、心に染み渡る その声。どうか私のものになってください」


ぞぞぞぞぞーーーっ。と鳥肌が立ち、俺は2歩ほど後ずさりした。カマ男の後ろでは女の魔法使い達が物凄い恨めしい目で俺を睨んでいる。変な焼きもち焼いてんじゃねぇー。



[[ レンジ、この男 人間じゃないよ。母さんと同じ同族のオスだよ ]]


(こいつ飛獣なのか・・じゃあ今のセリフはツツルフルに求婚してたって事か?!  殺す)


俺は気が付かないうちに 焼きもちを焼くほどツツルフルを気に入ってたんだな。平気で人間切り殺せたのもそのせいか。



「全員、武器を下ろして大人しくしろ。周りは包囲した逃げられんぞ」


ん?。何時の間にか騎士の団体が周りを包囲している。これだけの人数を気付かれずに動かすのか、やるな。



「おおっ、騎士団の皆さん。良いところに参られた。これを見てください、そこの薄汚い冒険者がやったのです。今も 私の飛獣を奪い取ろうとしているのです。早く捕まえていただきたい」


「ほほう、貴方は有名なドブロクロさんですな、そこの飛獣も貴方の持ち物ですか、流石ですな」


「勿論だ、冒険者風情が飛獣を持てるはずが無いではないか、私の物だよ」


何だと、騎士団がこの男の機嫌を取っている。



(ツツル、飛び立つ準備をしてくれ。騎士どもがアイツの言いなりに成るようなら脱出する。俺を捕まえて飛んでくれ)


[[ わかったよー、まかせて♪ ]]




「ふっ、俺は騎士団長のコルトスだ。先ほど そこの冒険者と一緒にその飛獣に乗って都まで来た。何が私のものだ。そいつ等をひっ捕らえろ、飛獣を盗もうとした現行犯だ」


「ドブロクロ、魔物を引きつれ都を危機に落としいれた罪は重いわよ。お前が依頼していた闇ギルドの憂国旅団は既に壊滅させたわ。証拠も揃っているわ、観念するのね」


あの子はあの時の王女様か、なかなかどうして立派な騎士をしている。



「ぐあっ、何をする。私は商人として客の注文通り魔物を手に入れただけだ。商人として当然の行動だ」


「ならば、我は都を守る騎士として当然の行動を取らせてもらうまでだ。かまわん、牢に入れておけ」


「「「「「ははっ」」」」」


尚もギャーギャー喚いている男とは対照的に、女の魔法使い達はうな垂れてトボトボと連行されて行った。あの男の奴隷でもしてたのか、それとも惚れていたのか。子供が出来たらツツルフルと同じようなハーフが出来るかも・・・!!。いいかも。



「剣を教える必要が有ったのかな、強いではないか。レンジ殿」


「生き残る為だけの戦い方だし、カッコ悪いけどね」


「そこの者、レンジというのか。使いが来るまで宿にいなさい。城に登城してもらうから そのつもりで。都を救った事に対して褒章があるでしょう。楽しみにしてるといいわ」


「ワシも一緒に登城いたす。ニニルケルナの件でも陛下に報告せねばならん。宜しくたのむぞ」


このオヤジ、俺が逃げないように一緒に行く気だな。本当なら皆が心配してるだろうし、早く帰りたい。

しかし、ここに来て引っかかる点がある。もう少し我慢することにしよう。
















ゲームをしたり、他の方の作品を読みふけって時間が無くなってしまう。


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