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生産スキルを甘く見るなよ?  作者: グラウンド・オーシャン
第1章 召喚and夢幻列島編
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9話 ドラゴン……強い筈なんだけどなあ

「……うわぁ」


「……これは酷い」


 クラウディア毒殺事件の現場で俺達が見たのは、新たに毒殺されたクラウディア×3、その肉を食ったからかついでに毒殺されたサーベルスパイダー×1、そして蜘蛛と同じく毒に侵された肉を食って死亡したウィンドドラゴンだった。 なお、死体になってしまっている所為て扱いがアイテム化したみたいで、鑑定してもステータスは見れなかった。名前だけでも分かったのが唯一の救いか。


 後々になって知ったことだけど、このドラゴンはドラゴン系の中じゃ中の中、夢幻列島にいる中じゃ最弱クラスだったらしい。レベルにして大体150位くらいか。地上での最弱クラスでもレベル60前後位はあるみたいだから、夢幻列島のがどれほど恐ろしいか分かるな。


「レベル上がったのって、やっぱりこれが原因か……?」


「……一体何したの?」


「……毒ばら撒いた」


「……食べれない。もったいない」


 確かに勿体無い。やろうと思えば家にある超強力ポーション (解毒版)を飲めば食っても大丈夫だとは思うけど、そんな事はしたくない。


 まあ、取り敢えずクラウディアの素材も、ドラゴンの素材も有って損はないので回収しようとする。が……


「グルルォォォォォォオオオン!!!!!」


 死体の匂いを嗅ぎつけて来たと思われるドラゴンが姿を現した。さっきのとは違い色が水色だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイスドラゴン

種族 ドラゴン

レベル150


体力 2464

魔力 1540

筋力 2464

敏捷 1848

物防 2464

魔防 1848


スキル

飛行レベル6 氷耐性レベル5 龍魔法レベル5


 中位ドラゴンの氷属性担当。ドラゴン系の例に違わず高い身体能力を持った上で遠距離のブレスも吐ける隙のない存在。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

飛行

分類 スキル

説明

 空を自由に飛びたいか?それを可能にするスキル。レベルが上がると消費魔力が軽減され、飛行精度も上昇する。なお、翼はいらない。

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○○耐性

分類 スキル

説明

 ○○属性のダメージを スキルレベル×10パーセント 軽減する。レベル10で無効化出来る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

龍魔法

分類 スキル

説明

 ブレスとかが使えるようになるスキル。レベルが上がると威力もバリエーションが増える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 はっはっは。強すぎるわ!勝てるか!


「フィール!逃げるぞ!」


 俺は、フィールに逃げようと提案するが、フィールがそれを否定する。


「……このくらいなら、大丈夫。私の力を見せるのに、丁度いい」


 フィールがそう言うと、フィールの体、腕と背中あたりに黒い靄のような物が集まっていく。フィールの魔力だ。


 そして、その魔力は次第に形を変えていき、フィールの腕は堅牢な鱗と鋭い爪が備えられた龍のそれに、背中からは全てを飲み込みそうな位黒い、立派な翼が姿を現した。かっこいい。


 仮にもフィールは龍人、人間形態ではブレスも出せないし飛ぶことも出来ないが、部分的に龍化すればそれも可能になる。ステータスも上昇する。基本的に龍化していると魔力を消費するのでいつもは人間形態だが。


「グルルォォォォォォオオオ!!!!」


 アイスドラゴンがフィールを引き裂こうと腕を振り下ろす。しかし、それをフィールは危なげもなく回避すると、声を紡ぐ。


「稲妻よ 敵を貫く槍となれ 『ライト二ングランス』」


 フィールの詠唱により、電気の槍が現れ、アイスドラゴンに向かって飛んで行く。後で聞いたところ、雷魔法レベル4で使えるようになる魔法らしい。


 一点集中型の、それもフィールの持つ高い魔力を込めた高威力の一撃だ。魔法のレベルが低くても、魔力の量によっては高レベルモンスターでも唯では済まない威力となる。たとえドラゴンでも無事では済まない。


 そして、その槍はドラゴンの右翼を貫き大ダメージを負わせた。当たった所の周辺は黒く焦げており、飛ぶことは困難そうだ。


 飛行スキルは翼が無くても使えるみたいなのだが……多分、スキルを使う際にバランスを取ったりとかするのに使っていたのだろう。現に、飛ぼうとしているが上手く飛べないでいるし。


 そして、翼を貫かれて怯んでいるドラゴンに容赦のない攻撃が続く。


「吹き荒れる風よ 鎌となりて 敵を引き裂け 『ウィンドサイズ』」

 

 その詠唱によって放たれた、土煙を巻き込みながら放たれた風の刃は、左翼を切り落とすまではいかなくてもそれに深い傷を負わせ、やはり大ダメージを与える。これも後で聞いたのだが、風魔法レベル5の魔法だったらしい。傷跡が焼かれておらず、生々しく血が流れ落ちている。グロい。


「ガァァァアアアアア!!」


 アイスドラゴンはフィールを只の獲物ではなく敵と判断したからか、ブレスを吐く体制に入る。口の辺りに、青白い光が収束していく。


 そして、遂にアイスドラゴンがブレスを放つ。周囲の物を凍てつかせながらその冷気はフィールに迫っていく。が、


「水よ 我を包みて 我を守る壁となれ 『ウォーターカーテン』」


 フィールの周りに突如現れた水の壁は、アイスドラゴンのブレスにより急速に凍りついている。しかし、その氷が逆にフィールを冷気から守る壁となっていた。


「「「燃え盛る火炎よ 阻まれることのない 光線となれ 『フレイムレーザー』」」」


 今度のフィールの詠唱は何重にも木霊して3本の炎のレーザーを作り出す。多分、並列詠唱という奴だ。


 そしてそのレーザーは氷の壁を物ともせず、1本が頭へ、1本が首へ、1本は心臓へ向けて一直線に進んでいく。


 結果、頭と首へのレーザーは避けきれたが、心臓への一撃は躱すことが出来ず、アイスドラゴンは心臓を貫かれ絶命した。


 強い筈のドラゴンは、たった1人の少女によってあっさりと絶命させられた。


 フィールはそれを確認すると、龍化を解除して俺に微笑んでくる。


「……終わった」


「お、おう」


 微笑んでくるフィールには悪いが、今の俺は割と顔が引きつっていると思う。ちょっと気にしたくなかった事を突きつけられたからな。


 そして、その俺に反応したフィールが聞いてくる。


「……どうしたの?」


「ああ、その、アレだ。正直、俺って無力すぎるなって。普通、男性が女性を守る筈なのに、逆に守られる側だからな。それに、俺の力もフィールには遠く及ばない。足手纏いになりかねないなって……」


 この戦闘を見て俺が思った事だった。本来は勇者の1人として呼ばれてきたのに、そんな俺は今は何の力もなく1人の少女に守られてる状態だ。


 自分が無力だって痛感させられても無理はない。


 そんな俺を、フィールが慰めてくれる。


「……大丈夫。弱いなら、強くなれば良い。それまでは、私が守ってあげるから。だから、必死に頑張って。そして、私を守れる位、強くなって」


 慰めてるようで心を抉ってくる台詞だったが、それはフィールの本心だと確信した。こんなにも真っ直ぐな目で見られたら、誰だってそう思うと思う。


 だからこそ、俺は決意した。


 今は、まだフィールに守られる位の力しかない"人"だ。でも、俺もフィールと同じ"化け物"になれるような特別な力は持っている。戦闘には向いてない?ステータスも普通?そんなことは関係ない。必死に生き足掻いて、フィールを守れる位の"化け物"になって、この島を脱出してやる!


 そう、決意した。


 俺自身、なぜフィールのためにそこまで必死になれるかは分からない。まだ、出会ってから1日しか経っていないからだ。


 ただ、「力を持つがゆえに追い出された少女(フィール)」と、「力を持たないがゆえに追い出された少年()」はどこか感じ合えるところがあったのだろう。


「……ああ。強くなる。今はまだ守られる側でも、いつかお前を守れる位強くなってみせる。だから、それまで、長いかもしれないけど、待っていてくれ」


 そうフィールに告げると、


「うん。いつまででも、待ってる」


 と、絶対にその日が来る、そう信じているような声でフィールは返事をしてくれた。


 ちなみに俺は、しばらく後に辺りでここら辺の発言が完全に告白のそれだったと気付き、しかも思いっきり了承されていた事に盛大に後悔する事になったけれど今更何を思おうと変えられるものではなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フィールさんや。ちょっと重いから少し持ってくれてもいいんですけど?」


「……強くなるんでしょ?鍛えないと」


「……はあ」


 流石に、ドラゴン2体の素材は持ちきれなかった。ドラゴンは牙も爪も鱗も皮も魔石も全てが良質で、捨てるのがもったいない位だった。取り敢えず、今持っているのは牙1匹分、爪1匹分、鱗2匹分、皮2匹分、魔石2匹分、そして肉が1匹分だ。それでもシャレにならない位重いが。


 そして、フィールはそれを見ても持ってくれずただ足元を見ながら何かを探していた。ふと、何かを見つけたと思うとそれを拾い上げる。透明な色をした結晶だった。


「……なんだ?それ。使えるもんなのか?」


 特に意味がなかったら荷物を半分もたせてやろうと思い、問いただす。


「……この石、砕くと魔力を回復してくれる。魔法位しか使えない私には、必需品。……島の主から逃げる時に、全部使っちゃったから」


「お、おおう、そんなに凄い石なのか。それ」


 名称とか知っておいた方が良さそうだな。鑑定。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔晶石

分類 アイテム

レア度 かなりレア

説明

 吸魔石と呼ばれる石に魔力が蓄積され変化した結晶。砕くと蓄えられた魔力が解放され、砕いた者に吸い込まれ魔力を回復させる。結構純度が高い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フィール!頼む!それ集められるだけ集めてくれ!あと吸魔石も!」


 俺がフィールに頼むと、フィールは怪訝そうな顔をして聞き返してくる。


「別にいいけど……吸魔石なんて何に使うの?」

 

「魔物の魔石と、吸魔石と、魔晶石で何か作れるみたいなんだよ。もしかしたら有用な奴かもしれないからな。作れるなら作ってみたい」


「……なるほど。じゃあ、集められるだけ集める」

 

 そうして、フィールはそこら辺に落ちている石とかを全力で確認しながら探し、魔晶石を18個、吸魔石を3つ見つけてくれた。


 この魔力が多く漂っている島では、魔晶石より吸魔石の方が貴重品なのだ。ただ、魔晶石より貴重というだけで実際普通に落ちているが。


 と言うわけで、魔物の魔石、魔晶石、吸魔石の3つを揃えた俺は、洞窟に帰った後、レシピしか分からない謎のアイテムを作る事を決意したのだった。


 しかし、そのアイテムが俺の行く先を大きく変える事になるのは、まだ、この時は誰も知らなかった。

 海斗が美雪の好意に気が付いていないのは、「幼馴染みと恋愛なんてラノベとかアニメの中だけだろ」という思考が無意識に海斗の中にあったからです。今?思いっきりラノベとかアニメみたいな世界にいるので若干その意識が薄れています。よって、フィールの好意に気付くのはそこまで不思議な事ではありません。ヘタレは地球から継続したままですけど。

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