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生産スキルを甘く見るなよ?  作者: グラウンド・オーシャン
第1章 召喚and夢幻列島編
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8話 眠るところは……

「んじゃ、飯も食った事だし、一作業しますか」


「……なにするの?」


 飯を食い終わり、素材 (サーベルスパイダーの甲殻、ピグメタルの甲殻) を用意して作業を開始しようとすると、フィールが不思議そうに見つめてくる。


「何って、これから防具を作るんだよ。必要だろ?」


「……道具は?」


 もっともな質問だが、それは俺には通用しない。


「凄い力を持ってるのはお前だけじゃ無いって事だよ。ファストクリエイト!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 スパイダーガントレット −1

分類 防具

レア度 かなりレア

エンチャント 硬化 (物防+150)

説明

 サーベルスパイダーの甲殻から作られた籠手。軽い、硬い、動きを阻害しない良防具。でも金属に比べたら脆いので注意。

 物防+135 魔防+45 敏捷+45

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ほら」


「す、凄い……」


 俺のスキルによって一瞬で出来た防具を見て驚きを隠せないフィール。でも、俺も性能を確認して驚いていたりもする。何せ、始めて防御以外が上がる防具が出来たのだから。


 そして、俺は悩む事なくそれを装着する。蜘蛛の黒っぽい甲殻の籠手とか、なんか厨二病っぽい雰囲気に見えるかもしれない。


「あとピグメタルの甲殻があるけど……フィールも防具いるか?」


 そう聞くと、フィールは首をふる。


「いい。一応、これでも、この服ドラゴンの皮で作ってあるから」


 ちなみに、海斗は知らないが他人のステータスを見るとき、装備によるステータスの変化は当人以外分からないようになっている。


 ドラゴン皮製のワンピースは、物防+350、魔防+250、筋力+100と明らかにおかしい防具らしい。……確かに、スキルに裁縫ってあったけど、それでドラゴンの皮なんて加工出来るんかねえ……。あと、龍人がドラゴン革の服とか着てていいんですかねえ……。


 あ、でもエンチャントは付いてなかったから硬化を付与させて貰ったよ。いやー、困ったらまずは硬化だよね。質感変わらず、だけど防御力は上がる便利エンチャントだからね。


 ピグメタルの皮は、結局保留になった。もしかしたら、防具以外にも使い道があるかもしれないからな。


「……お前が凄い力を持ってるのは事実だけど、凄い力を持ってるのが自分だけだとは思うなよ?世界は広いんだから。……まあ、俺の力は、戦う為の力じゃ無いんだけどな」


「……うん。私だけが、化け物じゃなくて、安心した」


「お前も俺も化け物じゃ無いと思うんだけどな……」


 しかし、こんな会話をしているうちに大変な事に気づく。そう、寝る所が無いのである。俺一人の寝床なら、適当に作った布団 (草製)があるのだが、フィールの分は用意出来ていない。実は、麻みたいなのが生えてる所が一応あったのだが、クラウディアの毒殺の為に長時間待ち伏せしてたせいでもう日が暮れているのだ。そんな中で取りに行ったら……考えたくもない。


 それに関して、俺はフィールに聞いたのだが、


「……じゃあ、2人でそこに寝ればいい」


 という返答が返ってきた。


 本来、このイベントは男にとってラッキーなイベントだろう。しかし、海斗にとってはそうではない。この男、ヘタレである。普通に幼馴染みの女子2人と話したり、治療のためと服を脱がせたりしたが、ヘタレである。幼馴染み組は昔から過ごしているせいで女子として接しておらず、フィールのあれは必要行為だと完全に割り切った。しかし、今回のは違う。嫌なら、「俺が床で寝るから、フィールが使え」と言って逃げられる状態なのだ。実際そうした。しかし、


「……じゃあ、私も床で寝る」


 と言われ、逃げ場を失った。流石に、怪我している女の子をゴツゴツした岩場に寝かせるほど俺は鬼畜にはなれないのだ。


 なんで!?そんなに俺と寝たいの!?勘弁してくれ!そんな事したら俺の精神が疲労でメルトダウンするんですけど!?


 と思いながら選択肢を必死に探す俺だったが、結局どうにも出来ず、フィールと同じ布団に眠る事になってしまった。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は、まだ暗いうちに目が覚めてしまった。……フィールが急に抱きついてきてしまった所為で。


 数年間も、この魔境で一人ぼっちだったのだ。人が恋しくなるのは当たり前だろう。


 フィールは、俺に抱きつきながら気持ちよさそうに眠っている。しかし、俺は内心パニックになりながらフィールを優しく引き剥がそうとする。このままだと、何とは言わないが柔らかい何かが腕に当たって色々とヤバイのだ。


 しかし、そんな考えは甘かった。フィールは仮にも龍人、更に超高レベルの猛者。優しくどころか、全力で引き剥がそうとしても全然びくともしなかった。むしろ、しがみつく強さがパワーアップした。


 おいおいおいおいおいおいおいおい!?ヘルプ!ヘルプ!待って!ギュッじゃ無くてミシミシって感じなんですけど!?いや本当待って!骨折れちゃうから!だから離れ……


 バキッ


「ぬわーーーーーー!!」


「ん……」


 しかし、俺がそんな悲鳴を上げようとも起きる気配は無く、俺の睡眠時間と体力は猛烈な勢いで削られた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……ごめんなさい」


「……大丈夫だ。ポーションさえ飲めば……グフッ!」


「カイト!」


 フィールが起き、ようやく解放された俺は真っ先にポーションを飲みに行った。しかし、俺は甘く見ていた。特上薬草を使った、超強力ポーションの味というものを……。


 圧倒的苦さ。ゴーヤとかが甘く感じれるレベルの、もはや苦さを超えた名状しがたき味。人の語彙力では、到底表現出来そうにない破壊力。そして、未だかつてないくらい凄まじい青臭さ。


 その全てが、フィールにボロボロにされ、弱っていた俺に襲いかかる。口の中がイカれそうな味だったが、それに反して俺の体の痛みは引いていく。


 フィールと添い寝した時より精神が削られたが、俺の体は完全に完治した。流石の回復量と認めたい気持ちはあったが、もう二度と飲みたくねえという気持ちのほうが大きかった。


「……私のこと、嫌いになった?」


 フィールがそんな事を聞いてくるが、普通に否定する。


「結構痛かったけど、この激マズポーション飲めば治る程度だぞ?何をそんなに心配する必要があるんだよ」


「……そう」


 その返答にフィールは明らかにホッとした顔をする。


 もっとも、たとえフィールが望んだところで多分当分添い寝はしないが。精神的な意味よりも、今の俺の体じゃそもそも耐えきれないのだ。抱きつく力が強すぎて。


 ステータスも、大分差があるからな……ホイッと。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

黒野 海斗

種族 人間

レベル 61


体力 601

魔力 601

筋力 601

敏捷 601+45

物防 601+645

魔防 601+245


スキル

剣術レベル1 鑑定レベル10 隠密レベル10 《創造》レベル7

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あれ、おかしいなあ。なんかレベルが猛烈に上がってるんですけど。あの昨日の三体か?でもそれだけじゃここまで上がらないと思うし……。


 と、ここで1つの可能性に気付く。それは、相手を罠で倒した場合、どうなるかという事だ。もしも、それが経験値に入るとしたら?俺は昨日、あの毒入り特上薬草を結構な量放置してきた。それを、クラウディアとかの魔物が食べたとしたら……。


 非常に気になる案件が出来たのだが、流石に恐ろしいので、折角なのでフィールを連れて行こうとする。


「あー、フィール。もしも悪いと思ってるんだったら、ちょっと一緒に来て欲しい所があるんだ。そこまで危険じゃ……この島はどこも危険か。まあ、ここから近いところなんだが……」


 そうフィールに言うと、


「……行く。どんな所でも、カイトと一緒なら」


 そう言ってきた。……やっぱり、フィールはこの島に長い間一人で居たから、久しぶりに会った俺に依存してしまっているみたいだった。まあ、俺も同じ状態だったらそうなると思うのでそれに関しては何も言えないが。正直、フィールと一緒にいるだけで俺も大分心は落ち着いている。一人でいるよりは、二人でいる方が誰だって安心できると思う。


「そうか。じゃあ、朝飯食ったら一緒に行こう」


「……うん」


 ちなみに、この日の朝食は例のサーベルスパイダーの肉だったのだが、普通にカニみたいな食感で美味しかった。寧ろ、ピグメタルの肉よりも個人的には好きなくらいだった。……創造に料理スキルも入ってるからどんな肉でも旨く調理出来るだけか?焼いてるだけだけど。


 そして、朝食を食べ終わった俺たちは、昨日の例の場所、クラウディア毒殺現場へと足を運んだ。


 

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