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青いカエルの貯金箱




『大きくなったら 結婚しよう』

そう言ってた君は、きっと私にそう言ったことなんて覚えてないんだろうな。

私は今でも覚えているのに。

本当、君は残酷な人ね。



君とは幼馴染兼腐れ縁。生まれたときからずっと一緒。

幼稚園、小学校、中学校はもちろん一緒だし、高校だって一緒。

どうしても君と同じ高校へ行きたかったから、先生に何を言われてもレベルは上げなかった。

お母さんは、大学はそんなことで決めたらダメよ、と呆れ顔。

それでも私は君と一緒が良かった。



私はずっと君が好きだったって言ったら君は驚くだろうね。

ううん、過去形じゃない。進行形。

好き。大好き。

どうしたら私は君の隣にいられるんだろう、とずっと考えてた。



君はいつも計ったように彼女を作る。

私が告白しようとした日に他の子に告白されていたのを見た日には夜も眠れなかった。

その上次の日にはその子は君の隣にいるし。

わざとかと思うぐらい、私は告白するタイミングを逃していた。



君に彼女ができる度、君に彼女ができたっておばさんが嬉しそうに話すから、

この恋は諦めようと思ったのに。

一週間ももたなかったのよっておばさんが呆れたように話すから、

ずるずるここまで引きずってしまった。

漫画のように、私が君を好きなように君も私のことが好きならいいのにって

何度思ったか、君は知らないでしょう?



友達に、告白されて断る度もったいないと言われた。

もったいなくないよ、と笑えばモテる女は違うねとからかわれた。

好きな人に好きになってもらわなきゃ意味がないのにね。

君は私を好きにはなってくれない。



彼氏いるのかって聞かれて私はどきっとした。

もしかしてって期待したのに、理想が高すぎるんじゃねぇのはひどくない?

私はどうしようもなく君が好きなのに。

どうしようもない人に片思いしてるからねって笑ったら、君はおろおろとしはじめた。

別に気にしなくていいのに。優しい君。

私は君の背を叩いて、気にしないでと言った。

そして、決意を一つ。

いつか、玉砕覚悟で告白するんだ。

……君に。



青いカエルの貯金箱。

こつこつと貯めていっぱいになった百円玉。

まだまだ先と思っていたのに、もう一枚も入らない。

貯め始めた日にした決意。

これがいっぱいになったら、君に告白しよう。

それを実行する日が来た。



君と私の誕生日。

青いカエルの貯金箱にキスをすると、私は隣の家に急いだ。

まずは普通に挨拶からかな、とかいろいろ考えてたのに。

君の顔を見たら全部ふっとんだ。

顔が熱い。それでも、言わなきゃいけないことがある。



「ずっと、好きでした」


「君は私のこと、ただの幼馴染としか思ってないかもしれないけど」


「私は、ずっと好きでした」


「小さい頃の約束は、もう無効ですか?」



いまだに小さい頃の約束を覚えているなんて、引かれるだろうか?

気持ち悪いなんて、君には思ってもらいたくないのに。

どうしてもっといい言葉が言えなかったんだろう。

ただ、好きって言うだけでやめとけばよかった。

じんわりとゆがむ視界。

でも、私は君を見つめ続けた。



「……俺で、いいのか?」



俺以上にかっこいいやつはいるぞ?

俺以上に優しいやつはいるぞ?

俺以上に頭のいいやつはいるぞ?

世界には俺以上がたくさん存在するのに。



「それでも、俺でいいのか?」



初めて見た、君の真剣な目。

違う、君でいいなんて一度も思ったことはない。

私は震える唇を気にしないで、馬鹿、と呟いた。



「君でいい、わけないじゃない」


「君がいい。君じゃなきゃダメなのっ」



そうじゃなきゃ、ここまでずるずる引きずらない。

さっきよりも震えだした唇を噛みしめる。

涙が一滴、零れ落ちた。



「……言ったよな?」


「俺じゃなきゃダメって言ったよな?」


「聞き間違いじゃないよな?」



彼の問いに、私は頷く。

すると突然、君は私を引きよせて、私を強く抱きしめた。



「俺も、お前がいい」


「……俺の彼女になってください」



青いカエルの貯金箱。

その中身は、今では五百円玉ばかり。

いつか、貯金箱の中に五百円玉が入らなくなるほどいっぱいになったら。

君からプロポーズされるかな、なんてね。


幸運を呼ぶ、青いカエルの貯金箱。

その隣に赤いカエルが来る日は、きっと遠くない。




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