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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
第十章 地の力 爆散!

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186 新しい受容体、でも、それは……

ソルがれーちゃんを特別だと思っていることには理由があるようです……

「ソル! 待ってって言ったのにどうして勝手に攻撃するの? だめだよ!」


 私がそう言って怒ると、勝手に思念波がソルに向けて放たれてしまった。


『ぐっ』


 それはソルに直撃し、ソルの身体が折れ曲がる。


「ごめんなさい! ソル、大丈夫?」


 あわてて船のヘリに駆け寄りながら声をかけると、


『効いたー。けど、大、丈夫だよ。俺がレナの命令を聞かなかったばつだからな、仕方ねーよ』

「ソルを傷つけるつもりはなかったの、本当だよ」

『わかってるよ、俺も悪かった。けどレナ、こいつらのことあんまり信用するな。この世界ではできねーはずのことを簡単にヤッちまうヤバい奴らなんだからな!』


 するとレイアーナさんが言った。


『我らは我らの利のためにしている。それがこの世界の理から外れたものであっても、我らには必要だからな。だが、協力者イルラには相応の見返りをしているつもりだ』

『それが、この世界にない力を渡すこと、か? だがそれはこの世界では必要なかったものだぞ』

『その力がなければそなたも顕現けんげんできなかっただろう?』

『チッ、俺のことはいいんだよ。だが、あんたらはこの世界のことわりを乱す存在だ。そろそろタイムリミットなんじゃないか?』

『ああ、それについても承知している。問題ない。我らはこの爆散を最後にこの世界を去ることになるだろう。それに、そなたの言う『この世界への影響』についても最小限で済むように調整しているところだ。後の問題はここにいる者たちのことだけだ。とんでもない規格外がいるからな』


 そう言ってレイアーナさんが大きなため息を吐いた。


『まさかこれほどの精霊の加護を受けるとは』

『お前、レナを見くびってるな? レナはすごいんだぞ? 俺との親和性がめちゃくちゃ高いんだ、俺にとっても誤算だったけどな!』

『それゆえ我らも計画を変更せざるを得なかったのだ。これほどの器がこの世界に存在するとはな』

『なんだよ、お前らレナが欲しくて仲間にしたんじゃないのか。だけど、計算違いだったな! ……ま、それは俺にとってもだけどな。この世界にこれほどの使い手が存在するなんて思いもしなかったぜ』


 その時、突然レイアーナさんが右手で拳を作ると口元に持っていった。


 ── レイアーナさん、驚いてる?


『ソル、そなたまさか……』


 その時、突然ソルが指をはじいた。すると、レイアーナさんの姿が一瞬ブレる。


「ソル!」

『御姉様!』

『っ……問題ない。ソル、承知した。気分を害させたならすまない』


 ソルはムスッとした態度のまま言った。


『で、お前ら何しに来たんだよ? その格好じゃ爆散なんてできねーだろ』

『その通りだ。我らは直接関わることは出来ぬ。思念体が霧散してしまうからな。だが、協力することなら出来る。レナ、これを使え』


 そう言うとレイアーナさんは私の側に来て、手を差し出した。私が同じように手を出すと、その上に二つの水色の光が置かれる。受容体が手の平に触れた瞬間、映像が浮かんだ。


 ── え? これって!


『シイナ、あなたにもこれを渡しましょう』


 しーちゃんも同じようにシュリーアさんから受け取っている。


「あれ? これって受容体だよね? ……わっ!」


 しーちゃんも同じように感じたみたいだ。


『気付いたか。それは、他のイルラに渡していた受容体だ』

「それって……」

『他のイルラは役目を終えた。それゆえ受容体を回収したのだ。だが、彼らの手元には思念石がある。これまで通りにはいかぬだろうが、ある程度は今までと同じ使い方ができるだろう』


 ── 記憶が残っていれば、だかな。


 私は手の平の上の受容体を見つめた。受け取った瞬間にわかった。この受容体は、サイードさんとディエゴさんが持っていたものだ。夢で見たのと同じサイードさんとディエゴさんの映像が記憶されていた。


 ── さっき伝わってきたレイアーナさんの思念波……きっと、二人とも記憶を消されたんだろう。私も、そうなるの? でも、そうなったらソルはどうなるの? 私、ソルのことも忘れちゃうの?


 一気に不安が襲ってきた。


『レナ、落ち着け! 思念波が……! チッ、『風の護り』!』

『レナ、大丈夫か!?』


 ソルが私に近づこうとして弾かれる。


『おい、レナに何をした!』


 ソルがレイアーナさんをにらみつける。


 ── あ! このままじゃ、またソルが暴走しちゃう。


「だめだよ!ソル!」


 思わず叫ぶと、ソルは悔しそうな顔をしながらもその場で止まっている。


 ── 良かった。間に合った……。


 声を出したことで少し冷静になれた。気づくと、私の周りで思念波が渦を巻いている。


 ── なに、これ?


『少し落ち着いたようだな。レナ、そなたの思念波が暴走しそうだったゆえ、緊急措置でそなたの周囲に『風の護り』を発動させたのだ。そなたの疑問には後程答えるゆえ、まずはその思念波をなんとかしろ』

「わかりました」


 私は何度か深呼吸して気持ちを落ち着けると、溢れ出した思念波を回収した。


『解除』


 私が落ち着いたのを見計らって、レイアーナさんが風の護りを解く。途端にソルが飛び込んできた。


「わっ、ソル?」

『レナ、大丈夫か!? どこもなんともないか?』


 私の周りを飛び回って確認するソルに、笑って答えた。


「私は大丈夫だよ、ソル。心配かけてごめんね。少し不安になっただけなの。レイアーナさん、止めてくれてありがとうございます」

『そなたの思念波は強い。複数の受容体がさらに増幅させたのだろう。これからは今まで以上に気をつけるのだな……さて、約束通りそなたの疑問に答えよう』  


 私は、ごくりとつばみ込んだ。 


 挿絵(By みてみん)

てぃえむ様から、ソルのイラストいただきました!

ありがとうございます!


イルラは役目を終えると記憶を消されるようです。

れーちゃんにはソルがいますから、ソルのことが不安になりました。

さて、どうなるのでしょう?


続きが気になる!と思われたら、2週間後また読みに来てくださいね!


皆様に、風の守りがともにあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
イルラたちは記憶を消され、受容体も回収されたんですね。思念石があれば力を使えるとは言え、姫様たちの記憶がなければすごく不思議な感じになりそうです。 そしてソルのことを忘れたくないれーちゃんは不安です…
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