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183  ミシェルさんの受容体

「ミシェルさん、受容体作ってみませんか?」

『え? 僕が?』


 途端に嫌そうな顔をするミシェルさん。


「今持ってる受容体は分割したくないんですよね? だったら、しーちゃんの受容体ならどうですか?」

「あ、なるー。あたしのはシュリーアさんからもらったものだもん、レイアーナさん関係ないよね。けどなんで?」

「しーちゃんの受容体が入ってからの方が『風の護り』が強くなったの。だから、ミシェルさんの受容体もあったらもっと強くなると思う」

「つまり、もっとたくさん爆散できるってことかー!」

「うん。ただ、他の人のものだと少し使いづらいとは思うんだけど」

「それはそうだねー、自分のに比べるとちょっと使いにくいけど、そんなの大したことないもん」

『え? なんでシイナがそんなにくわしいわけ?』


 最初は私が作った受容体使ってたもんね。ミシェルさんはしーちゃんの説明を食い入るように聞いていた。


『なるほど。受容体は分割だけじゃなくて合成もできるんだ……くっ、だけど僕は姫様のモノに手を出すのは! 僕が汚してしまうのは耐えられない! ……わかった。シイナの受容体で試してみればいいんだね?』

「そうこなくっちゃ! じゃあご飯食べ終わったら早速やってみようよ!」

『了解。そうだ、ここからは休憩しながら爆散することにするよ。あせる気持ちはわかるけど、これだけ暑いと熱中症の危険があるからね。それに、危険だと感じたら、途中でも船を戻すよ』


 私たちは黙ってうなずいた。


 その後しばらく休憩している間に、ミシェルさんはしーちゃんの受容体から新しい受容体を分割しようと苦戦していた。


「そう、そこでギューッて押しつぶすんだよ」

『わかった、ギューッだね……うーん……』

「ギューッてして、プチッて切り離す!」

『え? プチッ? いや、そもそもギューッて?』


 ── 思ったより苦戦してるね。あれってイメージが大事なんだよね。


 ミシェルさんの前の受容体はふわふわと左へ動いたり右へ動いたり。なかなか形を変えられずにいる。


「いや、だからどうして動かしちゃうの? その場でギューッてしないと」

『え、ええー? これ、難しいよ。君たちどうしてあんなに簡単にできちゃうの? 僕には無理なのかなあ』

「ミシェルさん、受容体の周りの思念波はわかりますか?」

『え? あの周りにフワフワしてるやつだよね?』

「受容体を分割するには、周りの思念波を使うんです。受容体を動かそうとするんじゃなくて、周りの思念波に自分のイメージを流してみてください」

『思念波にイメージを投影とうえいすればいいってこと? やってみるよ』


 ミシェルさんがじっと受容体を見つめると、周りの思念波の動きが変わってきた。


『うん、ちょっとイメージできたかも。……こうかな?』


 それから何度か挑戦して、ついにミシェルさんも受容体の分割に成功した。


『やった! これが僕の受容体になるのかな?』

「ふう、やっとできたねー。れーちゃん、ナイスアドバイスだったよ」

「ミシェルさん、今度はその受容体を分割してみてください」

『え、これを? だけど、今のままじゃ思念波が足りないんじゃないかな』

「足りないなら、足せばいいじゃない。何言ってんの?」

『え? 足す?』

「こっから思念波足せばいいじゃない」


 しーちゃんはそう言ってミシェルさんの思念石を指さした。


『ここから?』

「この辺思念波がそんなにないし、自分の思念波の方が使いやすいからそっちを使った方がいいよ」

『なるほど。わかった、やってみるよ』


 ミシェルさんは受容体を動かして思念石の近くに寄せると、思念石の中の思念波を出して受容体を包んだ。


『ほんとだ、この方が使いやすい。よし、やるよ』


 こうしてミシェルさんも複数の受容体を作ることができた。


『君たちはすごいね。こんなことを当たり前にやってるなんて』


 受容体を三個に増やしたところでミシェルさんがバテてしまった。


「あたしも最初の一個作った時はめちゃくちゃ疲れたよー。異常なのはれーちゃんだから」

「え? わたし?」


 いきなり飛んできた言葉にびっくりしていると、しーちゃんが大きなため息を吐いた。


「れーちゃん自分がおかしいって思わない?」

「私、おかしいかな……」


 不安になりかけた時、ミシェルさんが言った。


『シイナが言いたいのは、レナが特別だということじゃないかな。僕とシイナも思念波を使えるけれど、レナは僕たち以上のことができるよね。微精霊のわずかな力も感知できているし、レナが作る規模の『風の護り』は僕には作れないと思う。それに、レナにはソルがいるだろう?』

「考えたこともなかったです。毎日どんどんできることや見えるものが増えて、自分の力がどんどん強くなってるのがわかって……それに、考えるとこわくなるんです。私、どうなっちゃうんだろうって」


 私はぎゅっと両腕をつかんだ。


「思念波を使うと、周りの人の思念を操作できてしまう。命令したら何でもしてしまいそうで……こわいです。ソルのことも……これからどうなるんだろうって」



 

ミシェルも受容体を手に入れました。

これで爆散もはかどる……はず!


そして怜奈がまた不安になっているようです。

続きは2週間後に!


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
地震を小さくしようと頑張っている最中に地震が起きたら怖いですね(;´д`) れーちゃんの言うことを聞いて頑張ってくれるソルが可愛かったです✨ でも、れーちゃん、小学生なのに、こんな大きな力は怖いですよ…
なんとミシェルも受容体ゲット!! でも何かが起こりそう!? 続きも楽しみです°・*:.。.☆
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