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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 第九章 予兆

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158 レベルアップしたしーちゃん

怜奈が精霊と仲良くなっている間に、しーちゃんもレベルアップしていました。

 私としーちゃんは博物館の公開エリアに戻ってきた。しーちゃんはお宝の写真を撮らせてもらえなくてちょっとがっかりしたみたい。夢のような時間の終わりは、いつもならいろんなことを想像してたっぷり楽しめるのに、今日は背中が少しすずしい。


 ── うう、絶対あの子のことだよね。


 だまったまましーちゃんはいつものあまり人気のないベンチに行くと、そのまますとんと腰を下ろし、リュックから水筒すいとうを取り出してごくごく飲み始めた。


 私も何も言わずにそのとなりすわる。そっとしーちゃんの方を見たけれど全然目を合わせてくれない。前を向いたまましーちゃんがぶすりとした顔で言った。


「あたしさ、何かあったら報告してって言ってたよね?」

「うん」

「毎日ラインで書き込みするか、電話で報告しあおうねって」

「うん、言ってた。だから毎日書き込みしてたでしょう?」


 するとしーちゃんが大きなため息をいた。


『じゃあ、なんで報告してくれなかったの?』


 いや、ジト目で見られても……しかたなく答える。


「だって、そんなの書けないよ。見られたら困るし」

「電話で言えばいいじゃん!」

「無理だよ。一人でコソコソしてたらみんなに聞かれるし。()()使いたくなかったし」

「必要なら仕方ないじゃん」

「……だって、こわくなった」

「どーゆーこと?」


 私はしーちゃんに昨日のことを思念波で伝えた。海全体に思念波を使わなければいけなくなったこと。その時、全員が無表情になって口々に約束する様子がものすごく不気味だったこと。


『……レイアーナさんは命令されてしたことだから私が気にする必要はない、って言ってくれたけど後からどんどんこわくなってきたの。私、やっちゃいけないことをしているんじゃないかって』


 しーちゃんは黙って聞いていてくれた。それから真面目な顔を向けると言った。


『れーちゃん、あたしたち覚悟かくごしないといけないんだと思う』

『覚悟?』

『地震を止めたいって気持ちは変わらないよね?』

『うん。だって、止めないとたくさんの人が被害に会うと思うし、その中には父さんや母さんも……』


 しーちゃんはふと顔をそらすと、反対側の壁の方を見ながら両手をぐいと力を入れるようにベンチにつく。


『地震を止めるためにはさ、ものすごくたくさん思念波を使わないといけないよね。それって、あたしたちが強い力を使う必要があるってことでしょ? あたしさ、れーちゃんと離れている間にシュリーアさんに特訓してもらったんだ』

『え? しーちゃん、爆散の特訓してたの?』

『ううん、それはまだ。でも、あたしもできるようになったよ』


「風のたて


 しーちゃんがそう口にすると、しーちゃんの目の前に空気の壁のようなものが一瞬で立ち上がった。


「解除」


 その言葉と同時に何もなかったように壁が消える。


「しーちゃん、すごい!」

「すごくなんかないよ、れーちゃんはもっとできるじゃない」

『あたしはまだ光のつぶみたいなものは見えないし、今みたいに盾を作っても精霊は寄って来ない。さっきれーちゃんの側に精霊がいるってわかったのは、たまたま光が見えたからだよ。だけど、光がついたり消えたりしてるのはわかったけど、精霊さんが話してるなんて全然わかんなかった。ね、ね、ずーっとれーちゃんの側にいるの?』


 ── あ、やばい。しーちゃんのスイッチが入っちゃったみたい。


 ずずい、としーちゃんが顔を寄せてくる。目がキラキラしている。それから肩の辺りに手を持ってきてぐるぐる回す。


『ここにいるんだよね?』

「ちょっと、しーちゃん近いって! 暑いから!」


 私はしーちゃんを押しのけるとしかたなく声をかけた。


「精霊さん、しーちゃんに見えるように出てきてくれる?」

『あまり大きく光っちゃだめだよ。見つかっちゃうかもしれないからね』


 すると、今度は目の前に小さな青い光が一つともった。呼ばれたことがうれしいのか、少しふわふわと動いている。


「しーちゃん、見える?」

「え、いるの? どこどこ?」


 しーちゃんには見えないのかキョロキョロと見回している。


「精霊さん、少しだけ明るくなれる?」 


 すると、少し光が大きくなった。


「あ、見えた!」


 しーちゃんが精霊さんに手を伸ばすと、スッとける。


「あ、逃げられちゃった」


 そのまましーちゃんと反対側の肩の上で止まった。


「ね、お話してみてよ」


 しーちゃんがそう言うとイヤだというように左右にフルフルと動く。


「お話するとつかれるから?」


 すると「そうだ」というように上下に動くと、パッと消えてしまった。


「あーあ、消えちゃったね」

「うん、さっき言ってたんだけどお話すると疲れちゃうんだって」

「どういうこと?」


 私は昨日のことを思い出しながら答えた。


「あの精霊さん『お話したいから大きくなった』って言ってた。小さな光のままだと話せないみたい。小さな光の粒のことをレイアーナさんは微精霊びせいれいって呼んでいたけれど、あの子はね、爆散したときに大きくなったあの時の精霊なの。私が思念波を集めるたびにどこからか現れて、寄ってくる微精霊たちを追いはらったり、思念波にいたずらしようとする子をつかまえて食べてくれたりしてたんだよ」

「えっ、仲間を食べちゃうの? それって共食い……」

『チョット、ムシアツカイ シナイデ ヨ!』

面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。感想もお待ちしています!


コラボ小説も読んでみてくださいね。コラボにはしーちゃんとれーちゃんの人物紹介イラストやかわいいしーちゃんとうさぎの人形ソフィーちゃんとの2ショットイラストもあります!

最新話ではついに怜奈が異世界転移について語っています。ぜひ読んでみてくださいね!

最新話はこちらからどうぞ


https://ncode.syosetu.com/n0156hr/61/


それではまた二週間後にお会いしましょう!

皆様に、風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] しーちゃんがまた少しお怒りですね。 二人は運命共同体のようなものだと思うので、やっぱり隠し事はいやですよね(^_^;) でも怖いって気持ちもなんかすごくわかるなぁ。 覚悟を決めなくちゃい…
[一言] まるで虫の様な妖精さんw果たして!?
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