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152 お盆休みに修行します

姫様たちと別れた二人。お盆休みに向けて

 レイアーナさんたちと別れた私としーちゃんは、助っ人って誰だろう? 他に協力者が見つかったってことかな? などといろいろ話し合ったけれどさっぱりわからなかったので、あきらめてその話題は放置することにした。


 その後しーちゃんが、どうしても思念石の形を変えたい! と言って聞かなかったので仕方なくやり方を教えた。その代わり、


「絶対に、一人では形を変えないこと!」


 としっかり命令しておいた。ちっ、て舌打ちする音が聞こえたけれどもちろん無視した。命大事、うん。でも、穴を開けるとストラップにるせてもち運びが便利になるからそれはやれた方がいいかなって。だからやり方を教えたんだけど……。


「うー、うー、うーーーん……」


 しーちゃんはさっきから思念石をじーっと見つめたままうなり声ばかり上げている。何度やってもうまくいかないみたい。


「しーちゃん、形を決めたらその記憶を流し込むんだよ」

「だからさっきからやってるよ! だけどうまくできないのっ!」

「出来上がりのイメージをしっかり浮かべてみて」

「うーーーん、うー……だめだー! 難しいよ、これ」


 しーちゃんはあきらめたように天井を見上げてため息をいた。


「えー、そうかなあ?」

妄想もうそう大魔神にはできてもあたしには無理なのかなー」

「何、その失礼なあだ名は! そんなこと言ったらもう教えないよ」

「わー、ごめんなさい怜奈先生! ……あ、そうだ。れーちゃん、記憶ちょうだい」


 そう言うとしーちゃんが手を出してきた。


「記憶?」

「そう。れーちゃんが石の形を変えた時の記憶ちょうだい」

「なるほどね。うん、わかった」


 私はしーちゃんの額に手を当てると昨日石の形を変えた時の記憶を渡した。しーちゃんが目を閉じて確認している。


「なるほどー。よし、なんとなく分かった気がする」


 ぱちりと目を開けると、


「よし、やるぞー」


 再び思念石をじーっと見つめだした。すると、しーちゃんの思念波が流れていくのがわかり、やがてローズクォーツの石の隅に小さな穴ができた。


「ふう」


 一息ついたしーちゃんの額にはじっとりと汗がにじんでいた。


「これ、けっこう大変だね。やっぱり、れーちゃんすごいけどおかしいこともよくわかったよ」


 うんうんとうなずくしーちゃん、失礼だよね? 私もため息を吐くと言った。


「とりあえず一回休憩しない?」

「賛成。ジュース買いに行こうよ」

「さっき飲んだからお茶にしとかない?」

「えー、」


 そのとき、しーちゃんの携帯が鳴った。


「あ、母さんからだ」


 おばさんが迎えに来てくれたので、しーちゃんの家に移動することになった。



 午後からはしーちゃんの家で残りの宿題をして、夕方に父さんが迎えに来たらしばらくしーちゃんとは会えなくなる。お盆休みは毎年母さんの実家へ里帰りするからだ。里帰りの間は近くに住んでいるいとこ達とプールや海に行くのが毎年恒例になっている。一週間は向こうにいるから次にしーちゃんに会える頃には夏休みが十日くらいしか残っていない。あっという間に二学期が始まってしまう。しーちゃんとこうして会えるのはもうちょっとの間だけ。そう思うと少しさみしくなってきた。しーちゃんの家に来られるのも、後何回かな。


 ── 二学期なんか来なけりゃいいのに……。


「明日からしばらく会えなくなるね。れーちゃん、さみしい?」

「うん、ちょっとね」

「そっかそっかー。でも大丈夫だよ、連絡するからさ。れーちゃんもしてくれるでしょ?」


 そう言ってしーちゃんがスマホを振った。しーちゃんのスマホには白い勾玉まがたまとピンクのローズクォーツの思念石が付いている。


『お休みの間に、どっちがたくさん集められるか勝負だよっ』


 にやりと笑うしーちゃんに、


「そうだね、スマホがあるもんね。うん、連絡するよ、もちろん」

『勝てると思ってるの?』

『ほほう、生意気ですねー。次会う時までにあたしも精霊が見えるようになってやるから!』

『じゃあ、私はもーっと精霊さんを集められるようになるから』

「……あなたたち、何を遊んでいるの? 早く宿題終わらせなさい」


 にっこり笑いながら思念波通話していたら、おばさんに怒られてしまった。あわててプリントとにらめっこしながら、


『しーちゃんのせいで怒られたじゃない』

『れーちゃんがさみしいって言うからなぐさめてあげようとしたんだよ』


 とコソコソ思念通話を続けた。明日からのお休みが不安だったけど、携帯でいつでもしーちゃんとつながっていられると思うと大丈夫かもと思えてきた。この一週間にどれだけ思念波を集められるかはすごく大事だと思う。とにかくたくさん集めなくちゃ。


『ふ、ふ、ふ。あたしの勝ちは決まったようなもんよね』

『どうして?』

『あたしには秘策がある! そーれーはー、』


「あなたたち、ちっとも手が動いていないわよ。これは今日のおやつは無しかもね」

「わー、待って! すぐやるから! 今考えてたんだよ、もうすぐ終わるからー、あー、れーちゃんずるい! 抜けがけ禁止!」

「……でーきた! あ、おばさんお手伝いしますね」

「怜奈ちゃんはさすがね、じゃあせっかくだから手伝ってもらっちゃおうかな」

「はい」


 裏切り者ー! とさけぶしーちゃんは、もちろんあっさり無視した。

お読みいただきありがとうございます!

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それではまた二週間後にお会いしましょう!投稿時間は 8時10分を予定しています。


皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] れーちゃんにしかできないことも、記憶を借りればしーちゃんもできるんですね。思念派で会話もできるし、本当に便利です。 日常的なことが描かれてますが、なにか、大きなことが起きそうな予感がします…
[一言] しーちゃんとれいちゃん相変わらずで楽しかったです(*´ω`*)
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