150 秘密は秘密のままで
予定通り150話目を投稿します。
後書きに大切なお知らせがあります。
修整しました(06.4.20)
何気にすごい情報を聞いてしまった気がする。ぼーぜんとしている間にしーちゃんがずずいっとレイアーナさんに近寄ると言う。
「じゃあさ、あたしとれーちゃんがレイアーナさんの世界に生まれていたら、あたしたちもお姫様になってたってこと?」
見えないしっぽがしーちゃんの後ろでぶんぶん振られているのがわかる。ちょっとレイアーナさんが嫌そうな顔をしたのは私の見間違いじゃないと思う、すぐにいつもの無表情に戻ったけど。
『さすがにニ人ともまだその域には達していない。今のそなたらの力はこのまま育てば高位貴族相当くらいにはなるだろうというところだな』
「ん? れーちゃんが使ったのは精霊の力を使った魔法じゃないの?」
しーちゃんが不思議そうに聞いた。 私はなんとなく答えがわかっていたけれど、レイアーナさんの答えを待った。
『確かにレナは思念波を使って風の護りと盾を発動させたな。だが、これくらいならばある程度の貴族なら誰でも使える。……しかしこれ以上くわしく説明はしない』
「何で!?」
すかさず食いつくしーちゃんをレイアーナさんは軽くかわしてしまった。
『そなたらに必要な情報ではないからな。下手に漏らすとまた余計なことをお前達は、必ずする』
「ぐっ」
図星を指されてぐうの音も出ないしーちゃんに、とどめとばかりにシュリーアさんが言う。
『レナもシイナも目的を忘れていませんか? あなた方が優先すべきことは何でしょう?』
しーちゃんがしぶしぶ答える。
『思念波を集めて地震を止めることだよ』
するとシュリーアさんがますます笑顔になって、
『ならば今しなければいけないことを確実にこなす方がよいのではありませんか? まだやり方を覚えただけですよ。あなた方が挑むのはこの地球そのものが蓄えたエネルギーです。それを爆散させるためには、もっともっと思念波を集めなければならないのでは?』
しーちゃんがぶすっとしながら言う。
「そんなことは分かってるよ。でも、気になるでしょ。憧れの魔法使いになれるかもしれないんだから!」
……やっぱり。暴走モードのしーちゃんが来た。
「魔法だよ、ファンタジーだよ!? こんな素敵なこと試してみないわけにはいかないでしょう!」
ぴょんぴょん跳ね回りながら、興奮気味に言うしーちゃんから思念波が溢れ出ている。 レイアーナさんがまたかというように額をおさえる。それから私の方をじろりと見て、『やれ』とアイコンタクトが来た。私はこっくりと頷くと、
「しーちゃん、落ち着いて」
と静かに言った。途端にぷしゅーと空気が抜けるようにしーちゃんのテンションが下がっていく。顔は不満げだけれど、とりあえずいつものしーちゃんに戻った。
「れーちゃん、ひどいよー。あたしのときめきを返せー」
しーちゃんがぶつぶつ言い出したけれど、とりあえずもう興奮はしていないので、
「しーちゃん。気持ちはわかるけどシュリーアさんの言うことは間違ってないよ。私たち、もうそんなに時間に余裕ないと思う。それに、今やった爆散だってもっと練習しなきゃ。やり方は教えてもらったけど、これをもっともっと大規模に起こさないといけないんだよ。それにさっきは土の上だったけど、本当は海の中だし。考えなきゃいけないことはまだまだあるんじゃないかな」
そう言うとしーちゃんが顎に拳を当て、
「ふむ、確かに。あたしの爆散の威力も上げないといけないのか」
そう言ってにやりと笑う。すかさずレイアーナさんが追い打ちをかけた。
『言い忘れていたが、シイナは一人で爆散の練習をするのは禁止だぞ』
「何で!?」
『風の守りなしに爆散させたらどうなる?』
「ん?」
しーちゃんはしばらく黙って考えていたけれど、
「あ」
そう言って、ぽんと手をたたいた。
「納得。あたし一人じゃ撒き散らしちゃうだけか」
『そうだ。先程はレナの受容体が受け皿になり、散らばる思念波を効率的に回収していたが、風の護りなしで爆散しても辺りにエネルギーが飛び散るだけでいずれは元に戻る』
「あちゃー。結局れーちゃんがいないと駄目ってことだね。なんだ、つっまんなーい」
またもやしーちゃんがぶーぶー言い出した。するとレイアーナさんがふっと笑い、目を細めて言う。
『ここから先はそなたらだけでは越えられない障害がいくつも出てくるだろう。だが安心しろ。強力な助っ人を用意してある』
「「強力な助っ人?」」
『そのうち来るだろう。楽しみにしておけ。さて、我らはそろそろ行くぞ。思念石を出せ』
その後レイアーナさんたちは、私たちの疑問には一切答えずいつも通り思念石の半分のエネルギーを受け取ると、次回の約束をしてさっさと去って行った。
次はお盆休み中になり、その間は私もしーちゃんもそれぞれの祖父母の家に帰省することになっている。初めて別々に二人と会うことになるけれど、その次の時はまた一緒になる。
お互いにとにかくたくさん集められるだけ集めよう、ということで話し合いは終わった。
……このとき私たちは、まだ知らなかった。その強力な助っ人が既にここに向かっているということを。
次回から新展開となるのですが、すみません。ここで一旦更新を停止させていただきます。
今まで更新しながら改稿を続けて来ましたが、追いつかなくなりました。そこで、しばらくの間改稿に専念させていただきます。
更新再開につきましてはTwitterで報告させていただくとともに、この後書きにも目処がつきましたら追記させていただきます。
また改稿の進捗につきましてもTwitterで報告していきます。
読者の皆様に劇的ビフォーアフターとなるようにがっつりと修整出来た本作品をお届け出来るように、またなるべく早く再開出来るように頑張りますので、温かく見守っていただければと思います。
それでは、またお会いいたしましょう、
皆様に、風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。
読者の皆様へ 大変長らくお待たせしました。こんなに改稿にかかるとは思ってもみませんでした(汗)
ようやく全て終えましたので、更新準備に入ります。しばらくは不定期更新になりますが、ここから物語は大きく動き出します。怜奈、詩雛は大地震を防ぐことができるのか? そして助っ人とは? ご期待ください!