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149  二つの世界の違いについて

投稿ミスをしたため、再度投稿します。

149話お届けします。


加筆修整しました(06.4.15)

  シュリーアさんがほおに手を当て、軽く目を伏せると言った。


『そうですね。わたくしたちは普段からこのような話し方ですけれど、御姉様に殊更(ことさら)丁寧に接しているのは、わたくしが御姉様を尊敬し、大切に思っているからです』


 するとレイアーナさんが足を軽く組み、困った様子で言った。


『私は姉妹なのだからもう少しくだけた話し方で良いと言っているのだが、シュリーアは聞いてくれぬ。だがそれは、我らの年齢が離れていることも関係するのだろうな』


 しーちゃんがはてな顔で聞く。


「どーゆーこと?」

『私とシュリーアは六歳離れている。我らの国では十歳になると王宮の学院に入学し、そこで五年間の教育を受けるのだ。私もシュリーアもそれまでは離宮で生活していた。だが王宮は我らが暮らしていた離宮とは距離があり、毎日通うのは不便だ。そのため私は十歳で離宮を出て王宮に移った。シュリーアがまだ四歳の時だ。そしてシュリーアが王宮に来る頃には私は既に学院を卒業していた。私自身も忙しく、なかなか顔を合わせる機会も少なかったのだ。シュリーアが王宮に来てからでも、このように長く共に過ごすのは実は今回が初めてのことだ。それゆえになかなかお互いに距離感がつかみにくい』


 しーちゃんが眉をしかめて言う。


「うわ、めんどくさ。姉妹でそれだけ顔を合わせないなんて想像できないよ。だからそんな微妙な感じなんだね。うん、そこは納得した」


 うん。私もさすがに想像できないよ。


「決まりごととか身分の違いとかいろいろありそうですね。大変そう」


 そんなに会ってなかったら家族とはいえ他人みたいに見えても仕方ないのかな。でもシュリーアさんはいつもレイアーナさんを見てる感じがするし、レイアーナさんもシュリーアさんのことを大事に思ってるのは伝わってくる。これはこれでいい姉妹なんじゃないかな。そんなことを考えていたらレイアーナさんがふっと笑って言う。


『我らにはそれが日常のことだからな。今まで違和感など感じていなかったが、こちらの世界でイルラと接するうちに庶民しょみんとはこのような生活をしているのかと毎回勉強させてもらっている』


 するとしーちゃんがキラリと目を輝かせて、


「やっぱりお貴族様って、普通の人と話すことがない感じなの?」


 と興味津々(しんしん)で聞くと、逆にレイアーナさんが、


『ニホンではどうなのだ?』 


  と聞いてきた。しーちゃんが頭をこてんと傾けて、


「日本では? ……?」


  固まってしまった。思い浮かばなかったらしい。そうだよね。今までそんなこと考えたこともないもの。んー、なんて答えたらいいのかな……?


「そうですね、日本に貴族はいません、たぶん。……あ、昔はいました。この辺りにある古墳はそういった豪族ごうぞくのお墓だと言われています。日本で王様にあたる人は昔から天皇と呼ばれているんです。昔は日本を支配していたこともあったみたいですけど、今は違います。……でもごめんなさい、よく知りません。東京に皇居っていうのがあってそこにいらっしゃるみたいですけど、私もその人のことはテレビでしか見たことがなくて」


 しーちゃんが、ぽんと手をたたいて言った。


「ああ、あの人たちね。でも王様って感じじゃないよねー」


 しーちゃんは目の前の古墳にちらりと目をやる。


「古墳に入ってる人達って、そういう身分?  の人だったんだよね。あたしは歴史なんてそんなにくわしくないけど、今そういう人達がもういないってことはわかるよ。だって、こんなに大っきなお墓作ろうと思ったらものすごいお金とものすごいたくさんの人が必要だったことはわかるもん。今みたいに機械もないなかで作った昔の人はすごいよね。だけど……」


 しーちゃんがあごこぶしを当てる。考え込む時のくせだ。


「今のそういう身分の人達ってどうしてるのかとか、どれくらいいるのかとか、全然、ちっとも知らない。それはきっとあたしとその人達につながりがないからじゃないかな。そういう人がいるってことは知ってるけど、それだけだよね」


 ちらりとしーちゃんはレイアーナさんたちの方を見る。


「あたしたちの『王様』みたいな人ってそんな感じ。 でも、レイアーナさんたちはそうじゃないんでしょ? がっつり支配してそうな気がする」


 するとレイアーナさんがくっと口元を引き上げた。


『そうでもないぞ。確かに我ら王族や貴族は我らの国では重要な位置にいるが、それは基本的に庶民の生活とは別のものだ。我らは確かに庶民に支えられているが、その替わりに我らも国を守るために存在している。いわば役割が違うのかも知れぬな。我らの星にはこの星のシステムとは全く違う(ことわり)がある』


 あ、ぴんときた。


「それが、この思念石と精霊の力、ですか?」


 レイアーナさんがうなずく。


『その通りだ。この世界にはない思念石の持つ力。これをあつかえる者が我らの世界では貴族となり、その中でもさらに精霊の力を使える者が王族となるのだ』


 ──  何ですと!?


  さらりとすごいことを聞かされて、びっくりぽっかーんとしている間に、しーちゃんの目がキラキラと輝きだした。……あ、これはヤバい予感がするっ。


「えーっ!? ってことは、あたし、レイアーナさんたちの世界じゃ王族扱いになるの?  何それ、すっごくおいしい情報じゃん!」

7話に素敵なイラストを追加しました。

こちらはTwitter企画で円月おみ@満月様からいただいたレイアーナ姫です。かっこいいです!


次回は金曜日にコラボ小説を投稿します。その関係で、こちらの更新は来週水曜日とさせていただきます。少し開きますが、お待ち下さい。その間に是非コラボを覗いてみて下さい。


「アプリで転移って最強じゃない!? ─しーちゃんが行く!~絶望の箱庭~鳥籠の姫君~のワールドエンドミスティアカデミーにお邪魔しました!─」


https://ncode.syosetu.com/n0156hr/


面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。


それではまたお会いしましょう!

皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] れいちゃんとしーちゃんはレイアーナさんからそちらの国の話を聞く。 興味深いのは力を持つ者が貴族だと。 そしてそれにぴんもきてしまったしーちゃん!! 確かにしーちゃん達もだねぇ笑笑
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