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141 お説教と緑の渦の行方

141話、お届けします。

お説教回です(笑)


加筆修整しました(06.2.23)





 レイアーナさんの声は聞こえていたけれど、今はそれに答える余裕がない。


── とにかく暴走を止めなくちゃ!


 夢で見たシュリーアさんと、ハルヴェストの丘で悲鳴を上げたシュリーアさんの映像が重なる。


── こんなに強い思念波がおそいかかったら、きっと大きなダメージを受けてしまう!


 そう思ったら勝手に体が動いていた。しーちゃんと目が合う。手をぎゅうっと力強く握りしめながら、あふれ出た思念波を一生懸命思念石に流し込んでいる。私も包み込んだ思念波が外にれ出さないように、袋の口を思念石に繋ぎ止めるイメージで流れを作っていく。


しーちゃんの溢れ出た思念波がどんどんお互いの思念石に吸収されて減っていく。それに合わせて少しずつ包み込む袋も小さくしていった。

もう大丈夫だろうと思ったところで袋を外し、思念波を戻す。ふうと一息ついて、私はベンチに座り直した。


しーちゃんもごそごそとゆっくり起き上がり、ほうとため息をつくと、ベンチにもたれかかった。


「ああ、びっくりしたー」

『……だから思念石を一度に持ち歩くなと言ったであろう』


 地獄の底から響くような低ーい声が私たちを襲った。そこからはこんこんとレイアーナさんからお説教を聞くはめになった。しーちゃんのとばっちりでまた大変な目に合っちゃったよ。うらみがましくしーちゃんを見ると、珍しく殊勝しゅしょうな顔つきでお説教を聞いていた。


『聞いているのか、レナ』

「は、はい。ごめんなさい」


 私も大人しくレイアーナさんの話を聞くことにした。レイアーナさんのお説教を簡単に説明すると、思念石には自分の思念波を増幅ぞうふくする効果もあるため、たくさん持てば持つほど周囲に与える影響が大きくなるらしい。けれども、距離が離れているとその効果はうすくなる。それから思念石が満ちるとそれ以上は思念波を吸収しなくなり安定した状態になるんだって。その状態の思念石なら他の人が手で触れても何の変化も起こらなくなるらしい。ただし、所有者が近くにいると、その思念石に触れた人の思念を読み取ることが出来るそうだ。


 だから複数の思念石を持ち歩くのではなく、きちんと保管できる場所に置いておき、集めた思念波を満ちるまで移していく方がいい。そうすれば持ち歩く思念石は、常に吸収できる状態になっているから思念波も集めやすくなる。


── そういえば、レイアーナさんが思念波を抜くと、その後すごい勢いで吸収するよね。……なるほど、そういうことだったんだ。


 お説教の終わりに、思念石を二個以上持ち歩かないことを約束させられた。しーちゃんはちょっと残念そうだったけど、私は危ない橋は渡りたくない。むしろ好都合だった。


『レナ。そなたにはまだ後で言っておくことがあるから心しておくように』


── うへっ。まだ怒られることがあるみたいだ。横でしーちゃんが「よしっ」とこぶしを握っている。なにげにひどくない?


『さて、それでは要件を済ませておこう。二人とも私の手に触れなさい』


 レイアーナさんがそう言って右手を伸ばしてきた。私達がその手に触れると映像が送られてくる。


「これって……」

「うん」


 私たちが頼んでいた渦の映像だ。その映像に、夢で見た映像を重ねてみる。


「……大きくなってる」


 しーちゃんも同じように過去の映像と比べてみたいだ。


「うん、前よりも大きくなってるね。それに、周りの緑色の部分が少し減ってるんじゃない? あ、これ、渦の真ん中に引き寄せられてる気がするよ」

『その通りだ。大地は自身の力をめ込みすぎると反動で拡散しようとする。ゆえに少しずつ様々な場所で放出を繰り返すのだ。しかし、そうして拡散したエネルギーはまた別の場所で吸収されていき、限界まで吸収しては放出することを(く)り返す。それは自然の摂理せつりゆえ、その流れを止めることは出来ぬ。止めれば、また別の場所で同じことが起こるだけだ。だが、その力を限界まで大地が溜め込む前に散らすことは出来る。それが思念波を使った力の相殺そうさいだ。影響の出る場所で力の流れを固定し、爆散させる。そうすることで被害を最小限におさえることが出来るのだ』


 私は映像を見るために閉じていた目を開け、レイアーナさんに聞いた。


「どうやって爆散させるのですか?」

『ついて来なさい』


 そう言うとレイアーナさんは玄関の方へ移動していく。私たちはあわててその後を追った。レイアーナさんは博物館から外へ出て、古墳公園の中を進んでいく。そして発掘現場の奥、私たちが出会った古墳の入口近くにある木立こだちまで来ると、その木陰こかげに入るように言った。私たちが木陰で涼んでいる間に、レイアーナさんが辺りを調べている。何をしているんだろうと思っていると、


『ここがいいだろう』


そう言って顔を上げると、私を呼んだ。


『レナ』

「はい」

『受容体を作れ。それからシュリーア、シイナにも作り方を教えてやってくれ』

『かしこまりました、御姉様』

「え、いいの?」


 しーちゃんの目が輝いている。するとレイアーナさんが白い目でしーちゃんを見ながら言う。


『レナ、シイナに命じろ。新しい受容体は思念石が満ちた時にしか作ってはならない、と』

「わかりました」

「そんなー」


 しーちゃんが、ちぇー。けちだ、けち、とぶつぶつ言っていたけれど、私は言われた通りしーちゃんに命令し、そのかわりにしーちゃんは受容体を作れるようになった。命令だもん、仕方ないよね。ほっとくと絶対いっぱい作って大変なことになるもん。さすがレイアーナさん、しーちゃんのことわかってる。


「……れーちゃん、後で覚えといて」


── しまった。 


 ……通じてたみたい。思念波、おそるべし。レイアーナさんはあきれた顔で見ているし、シュリーアさんはまたほおに手を当てて微笑んでいる。……穴、掘っていいですか? レイアーナさんがため息をくと言った。


『では、始めるぞ』

コラボ小説の神崎ライくんの「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」が、ネット大賞の二次を突破しました。おめでとうございます!(第十回最終選考まで勝ち進みました。すごい!)


コラボ小説ではしーちゃんが学園で大活躍しています。

コラボともども応援していただければと思います。


面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。


改稿再読お付き合いいただきいつもありがとうございます!

残り8話、ようやく終わりが見えてきました。終わり次第、続き執筆します。もう少しお待ちください。


それではまたお会いしましょう!

皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まりんあくあ様こんばんは! レイアーナさんの話通りやっぱり危険がついてまわること。 二人は説教をいただいたがでもこれでしーちゃんも大人しくしたがってくれそうですね! しーちゃんも受容体を作れ…
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