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137  制限された記憶

137話、投稿します。間に合って良かったー。


加筆修整しました。(06.2.11)


「ふーん。ま、あの人たちもバカじゃないんだからそりゃ対策もしてくるよね……。ちっ、だから最近ロクな情報が手に入らないんじゃん。けちだよ、けち」


 あたしにパワーを! と言いながら両手を挙げるしーちゃんは見なかったふりでスルーした。今日は鑑定の終わった遺物を、発掘に関わっている人たちだけが特別に見せてもらえることになっている。午後からはメディア発表をするそうで、その前のお披露目ひろめだと父さんは言っていた。メディア発表後は準備が出来しだい特別展をして、さらに調査も進めることになるらしい。普段は炎天下の穴の中で作業している人たちも博物館に集まってきている。みんなとても楽しそうな表情で、見ているだけでワクワクしてくる。

 

 父さんたちがお披露目の準備を終えるのを待っている間に、昨夜の記憶の遣り取りを博物館の入口前にあるベンチに座ってしていた。記憶を見たしーちゃんがブツクサ文句を言っている。うん、気持ちはわかる。しーちゃんから記憶を受け取った記憶も同じような感じだった。しーちゃんも同じようにアリーシャのことを探したみたい。けれど、ルークとヤーンの記憶は思念波の受け渡しをしているところと次の約束をしているところだけで、アリーシャの話は全く出てこなかった。そこの記憶だけが切り取られたようになかった。


 シュリーアさんがサーフィンをしている二人を見つけ、降下していくところと、思念波を受け取るところ。そこしかない。二人との会話はばっさりカットされていた。しーちゃんも他の人の記憶を探したみたいだけれど、シエナが心配そうな顔でシュリーアさんに駆け寄って来るところがあっただけで、シエナも思念波のやり取りをしているところ以外の記憶がなかった。しーちゃんがあごこぶしを当てると言う。


「やっぱりさ、これってあたしたちが見てることがわかったから記憶を流さないようにしてるんだよね」

「うん、そうだろうね。これからは二人の情報が夢からはあんまり入って来ないって考えた方がいいかもしれないね」


 むーん、と言いながらしーちゃんが唇をとがらせる。


「必要なことは直接聞くか、他の協力者の人に聞いてもらうしかないってことだね。あーあ、つっまんないのー!」


 だよね。でもこの話はこれ以上しても仕方がない。これ以上情報が見つかることは難しいってことがわかっただけだ。私は意識を今日の遺物公開に切り替えることにした。ようやくあの秘密のベールに包まれていた宝物との対面がかなう! 今までの私ならわくわくが止まらなくて絶賛妄想中になり、その思念波が周囲に駄々漏(だだも)れになってものすごーく恥ずかしい目に会うところだ。


 けれども今日の私は一味ちがう。もちろんわくわくしているし、古代ロマンを想像して幸せーな気分にたっぷりひたってもいる。だけどそれでとほほな毎日になっていた私は昨日までのこと。ついに対策を見つけたのだ、ふふん。とっても簡単なことだった。漏れてしまうなら、吸収させればいいんだよ。気分が盛り上がるたびに、その時一番思念石の中に空間のある石を選んで、あふれ出る思念波を流し込む。それだけのことだ。思念石にエネルギーも貯まるし、誰にも迷惑がかからない。本っ当ーに一石二鳥なんだ。もっと早く気付けば良かったよ……。正直、昨日の夜そのことに気づいた時は、何気にショックだった。こんな簡単なこと何で気付かないのーっ! て。だから今日は妄想もわくわくもし放題なのだ。幸せー。それでは早速、


 ── 私はさる豪族ごうぞくの娘。父様と母様と跡取りだった弟が亡くなって、あわただしく葬儀そうぎの準備をしているところ。まだ涙も枯れ果てていないのに、三人を美しく着飾らせ黄泉よみの国で不自由のないように見送らなければならない。父様には大陸渡りの者達の手で造られた繊細せんさいな冠を。母様には勾玉の首飾りを。石の違う物を幾重いくえにもまとっていただければあちらでも美しく装えることでしょう。大切な弟には……──


 げし。


「あいたっ」


 またもやひじを食らってしまった。


 ── ああ、私の古代ロマンが!


「れーちゃん」


 しーちゃんがじと目で私を見ながらぶすっとした顔で言う。


「忘れてるみたいだけど、あたしにはれーちゃんの妄想駄々漏れだからね」

「……そうだったね」


 しーちゃんはおでこの受容体で私とつながっているらしく、強く想っていることが勝手に伝わってしまうみたいなんだ。


「毎回妄想に付き合わされるこっちは結構迷惑なんだよー? しかも勝手に入ってくるんだから! 私は古代ロマンなんてどうっでもっいいのっ!」


 そう言って大きなため息をつかれた。と思ったら今度は目を輝かせながら、


「今回重要なのはお宝をこの目で見られるってことでしょう! 冠だよ! 金だよ? ううー、わっくわくするでしょっ!」


 しーちゃんはそう言うとその場でぴょんぴょん跳び跳ねる。


「楽しみすぎるー!」 


 今度は足をバタバタさせている。うん、そうだね。


「「楽しみすぎるー」」


 二人で顔を見合わせて笑った。

コラボ企画始動しました!本編に支障がないように更新ペースはゆっくり二週間いただいていますが、好調な滑り出しです。まだ未読な方は是非そちらへもお越しください。1話1話が短めなので、さくっと読めます。


「アプリで転移って最強じゃない!? しーちゃんが行く!~絶望の箱庭~鳥籠の姫君~のワールドエンドミスティアカデミーにお邪魔しました!」


https://ncode.syosetu.com/n0156hr/


こちらから。1話目の主人公はしーちゃんです。

爆弾暴走娘が行きます!


ブクマ、⭐、いいねお待ちしています!


それでは、またお会いしましょう。投稿時間は22時頃を予定しています。


皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] おーー! しーちゃんとれいちゃんはやっと黄金とかを見ることが出来そう!! これは楽しみですね! レイアースさんたちから色々制限くらったのはびっくりだ!!
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