表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/191

132 プールサイドのやらかし事件発生

132話、予定通り投稿します。


修整しました(06.1.21)


 外は薄曇りで、絶好のプール日和だ。空いているベンチを見つけてポーチを置き、シャワーを浴びに行こうとしたら、


「おう、小鳥遊(たかなし)じゃねーか。お前も来たのか?」


 と聞き覚えのある声がした。手を上げて声をかけてきたのは、私の苦手な元クラスメイトだった。


「あれ? そこにいるの本の虫じゃねぇか! お前、転校したんじゃなかったのか? へー、本読む以外のこともするんだー」


 そう言って面白そうに見てくる。むっとしているとしーちゃんが、


「こおら、高橋! あんたも、でかごりらって言っていいなられーちゃんをそう呼びなっ!」


 と言い返してぎろりと高橋をにらみ返した。すると高橋はちっと舌打ちして腕を組むと、


「相変わらずお前、口が減らないな。本の……」


 高橋がまた悪口を言おうとしたのを察したしーちゃんは、無言で足を上げると高橋の太い足にねらいを定める。


「次、言ったら、そく踏むよ?」


 すると高橋は嫌そうにしながら両手を前に出すと、あわててしーちゃんを制止する。


「ああ! わかったよ、悪かったよ。お前言い出したらマジでやるからしゃれになんねーよ」


 そうして高橋は頭をがりがりっとかくと、


「……ごめん。久しぶりだったからつい言っちまった。……その、元気だったか?」


 とぶっきらぼうに聞いてきた。びっくりして、


「う、うん。まあ……」


 とだけ答えると、しーちゃんがニヤリとして言った。


「れーちゃん、高橋ねー、れーちゃんが転校してからさ「何であいついねーんだよ、つまんねー」ってしょっちゅうぼやいてたんだよ」


 すると高橋が真っ赤になって、


「ちょ、おま、今それ言うか? お前だっていつも言ってるじゃねーか! あーあ、守川がいたら教えてくれるのにーって。先生にも言われてたぞ。困ったときの守川頼みって!」


 わあ、やっぱり私って便利屋(あつか)いされてるー、いいけどね。ふふ、ちょっと懐かしい気もする。なおも言い合いを続ける二人を見守っていたら、しーちゃんがくるりと振り向いて、


「れーちゃん! れーちゃんもびしっと言ってやりなよ、このでかごりらにっ!」


 と高橋に向けて人差し指をきつけた。


「おっ前! でかごりらって言うなっ!」


 高橋がキレてしーちゃんになぐりかかりそうに見えた私は思わず、


「二人とも、やめて!」


 とさけんでしまった。すると二人が一瞬無表情になり、そろって、


「「わかった。やめる」」


 と言うと距離を開けて向かい合った。しーちゃんがうらめしそうな目で言った。


「ひどい。ちょっとふざけてただけなのに」


 ── いや、そんなのわからないからっ!


 心の中で突っ込んだつもりが、また思念波で外にれていたらしく、今度は高橋がため息をついて、


「守川ってそういうところあるよな。俺がふざけてても、お前本気だって思うだろ」

「うっ」


 ── ……それは、心当たりがありすぎる。


 するとまたしーちゃんが笑いながら、


「高橋さ、でっかいかられーちゃんにこわがられるんだよ。声も大きいしさ」


 そう言うと高橋がぶすっとした顔で言う。


「しかたねーだろ。もともと地で声がでかいんだよ。……そっか。お前、俺のこと怖かったのか……」


 ── あれ? 落ち込んでる? 私が苦手だって思ってたのは勘違かんちがいってこと?


 確かめたいけどやっぱりまだちょっと怖いので、おそるおそる、


「私、いつも怒鳴られるから嫌われてるんだって思ってた。んだけど?」


 すると高橋はベンチに片手をついて、


「やっぱりそう思われてたのか」


 明らかに落ち込んでいる感じ。戸惑とまどっているとしーちゃんがくすくす笑いながら言った。


「わっかんないよねー」


 はい。分かりませんでした。しかたなく高橋に、


「えっと、何か、勘違いしててごめんなさい」


 とびくびくしながら謝ると、


「や、まあ、その……怖がらせて悪かった。そんなつもりはなかったんだ。ただ、お前頭いいからちょっとうらやましかっただけっつーか」


 そう言って、またちょっと顔を赤くした。……思ってたよりかわいいところがあるみたい? なんだかちょっとほっとした。


「で、高橋。あんた一人でここに来たわけ?」


 タイミングよくしーちゃんが話題を変えてくれた。


「んなわけねーだろ。あっちにみんないるよ。拓也たくや陽祐ようすけ、それに彩花あやか満里奈まりなもな。他にも来てる。俺は便所に行ってたからシャワー浴びに行こうと思ったら、お前達を見つけたんだ。そうだ、お前らも来いよ。みんなびっくりするぜ」


 そう言ってにかっと高橋は笑った。久しぶりにみんなに会えそう。わくわくしてきたよっ。その時高橋が、ふとしーちゃんのポーチに目を留めた。


「何だ、小鳥遊。お前こんなのプールに持ってきてどうすんだよ」


 そう言ってポーチを手に取ろうとする。


「「駄目だめ。それにさわるなっ(さわらないで)!」」


 私としーちゃんの声が重なったその時、事件は起こった。市営プールの中の喧騒けんそうが一瞬にして静まり、その場にいた人全員の顔が無表情に。それから口々に、


「分かりました。触りません」

「わかった。それには触らない」

「分かりました」

「触らない」


 とつぶやき出した。全員が言い終わった次の瞬間、プールはいつも通りの騒々(そうぞう)しい空間に戻っていた。高橋もさっさと手を引っ込め、


「何だよ大げさだな。そんなに触られたくないなら持ってくんなよ」


 と文句を言ったが、


「んじゃ、みんなのところへ来いよ」


 と普通にさそってくれた。



思念石増やしたために、よりパワーアップした威力を発揮。しかも二人分なので影響が大きくなりました。


速報です。

外伝が第10回ネット大賞の一次選考を通過しました!皆様の応援のお陰です。ありがとうございます!

こちらのアドレスから読めます。


https://ncode.syosetu.com/n2812hj/


面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。いただいた感想が50件を越えました。

たくさんの応援ありがとうございます!

\(^-^)/感謝


それではまたお会いしましょう!


皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] この高橋少年はれーちゃんが気になっているのでしょうか?なんか初々しくて可愛いガキンチョですw それにしても、れーちゃんしーちゃんの力が合わさるとすごい規模の人たちが操作されてしまうんです…
[良い点] 微笑ましい場面のはずなのに、思念波の恐ろしさが際立つ場面でもあり、本当にこれを目の当たりにしていたらかなり怖いかもしれません。読んでいて微笑ましくも面白くもありました。高橋君も純朴で可愛ら…
[一言] まりんあくあ様こんばんは! しーちゃんとれいちゃんの友人高橋くん。 れいちゃんが気に入ってるらしいが笑 続きを楽しませていただきますね(*´ω`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ