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131  緑の渦

休日ですので予定を変更し、早めに投稿しました。


加筆修整しました

(05.12.30)

 レイアーナさんに心の中でお礼を言ってから、


「しーちゃん、地面を見たり、穴を掘っても、大地の力は見えないと思うよ」


 と話をふる。


「夢で見た渦の大きさを考えてみてよ」


 と言うと、こんくらいでしょ、と指で消しゴムくらいの大きさを作る。うん、やっぱり気づいてなかったみたいだ。そこで、


「あのさ、目で見た大きさはそれくらいだったけど、地上で見たらあれ、ものすごく大きいと思わない?」


 と指摘すると、腕を組んでむーんと考え始めた。……でもよくわからなかったみたいだ。顔中にはてなが浮かんでいる。


 ── うーん、どうやって説明しよう? そうだ。


 教科書を入れてあるたなからしーちゃんの地図帳を取り出してきて広げる。


「いい? あの時レイアーナさんたちは空の上から海を見ていたでしょう」

「うん、そうだね?」


 さっぱりわかっていないのが丸わかりの顔で聞いてくるしーちゃんに近畿地方の地図を見せる。


「よく見て、しーちゃん。あのうすの大きさ、この地図に当てはめたらどれくらいの大きさになる?」


 しーちゃんがあごこぶしを当てる。よしよし、ちゃんと考えてるね。


「んーと、そっか。この地図でなら米(つぶ)くらいかな? ……あ! なるほどー」


 そう言っていきなりがばっと顔を上げると、にかっと笑った。


「わかったよ。遠くから見ると同じ場所でも大きさが違って見えるってことか。だとすると……」


 しーちゃんが顎を拳でとんとんとたたく。それから、


「れーちゃん、あの渦の大きさって実際は結構大きいってことだよね?」

「そうだろうね」


 ん? 何か考えてるね。これは気をつけないとまた暴走モードに突入しそうな予感がするよ。しーちゃんは、むーとか、だとするとーなどとブツブツ言いながら考え込んでいる。これはやだなー、かなり夢中になってるなと思っていたら、しばらくすると突然、


「ぷしゅー」


 と言いながらテーブルに突っ伏した。考えすぎてショートしたらしい。ほっ、暴走モードは回避かいひされたよ。


駄目だめだー、いいアイデアが浮かばないー。精霊の力、カモーン」


 そう言って両手を天井に向けてひらひらさせる。


「呼んでもこないと思うよ」

「わかってるけどさー。あぁ、あの人たちのけちー!」


 またブツブツ言い出した。うん、振り出しに戻ったね。よし、ここは話題転換だ。


「ねえ、しーちゃん。あの渦を二人が見たのって、いつだと思う?」

「え? ……ちょっと待って」


 がばっと頭を起こしたしーちゃんが指を折って数え始める。


「あたし達があの人たちに会ったのっていつだっけ? たしか明日で四回目だよね」

「そう。古墳で会ったのが最初の日。その二日後にホームセンターと私の部屋で会って、」

「その次が三日後のハルヴェストの花火かー、ということは今日でちょうど一週間前だね」

「うん、そう。で、レイアーナさんたちが渦を見たのが私たちに会う日だったとして。そうするとしーちゃんが夢で見た記憶は最低でも一週間前になるよね?」

「そうか。……ひょっとしたらもう少し前かも知れないよね。でも、それがどうかしたの?」


 きょとんとしているしーちゃんに説明する。


「レイアーナさんが言ったこと、覚えてる? 大災害のことを教えてもらった時、自分たちの国なら早急に対処するべきレベルだって言ってたでしょ」

「そういえば、そんなこと言ってたかも」

「あの渦が、全部濃い緑色になったら危ないってことは、そうなった時に地震が起こるってことだと思わない?」


 しーちゃんの目がキラリと光る。


「その可能性は高いね。よし、明日聞いてみようよ」

 

 ── よしよし。


 いい感じで食いついてきたので提案する。


「そのことなんだけど、Chatterに伝言しといた方がいいんじゃないかな」


 しーちゃんがにかりと笑って言う。


「いいね。じゃ、『明日、渦の様子が知りたい』ってトークに書き込めばいいんじゃないかな」


 早速書き込もうとするしーちゃんに、


「しーちゃん待って。そろそろ戻らないとおばさんに雷落とされるよ」


 と声を掛けて引っ張り上げる。


「えー、いいとこなのにー」


 ぶちぶち言うしーちゃんを連れて下に戻ると、リビングの入口でばっちりスタンバイしていたおばさんに、近所迷惑でしょ! と、きっちりしーちゃんだけ怒られた。


 ま、いつものことだよね。


 ── ん? でもそんなに大声でわめいてたっけ?


「ちぇ、うるさいなー。ちょっとだけじゃん。細かいこと言うなんてケチだよ、ケチ」

「そんなにケチケチ言うなら、おやつ抜きにするわよ」


 ── んん? あ!


 片手をぐーにして、ぽんと手を打つ。


 ── そうか、さっきの思念波だ。あれが叫んでるように聞こえたんだ。やばい、思念波おそるべし。


 思念石がニ個になって威力いりょくが上がってるんだった。強くなった思念波って周りにも伝わってしまうんだっけ。

 気をつけよう、そうしよう。


 ふと気がつくとしーちゃんがうらめしそうに見てたけれど、気にしないことにした。


 その後、しおしおと戻ってきたしーちゃんと無事ポスターを仕上げ、おばさん特製の焼きそばを昼食にいただいた。キャベツともやしがシャッキシャキで、少し固めのにんじんがアクセントになっている絶品の焼きそばだった。ソースがアレンジされていて、少し甘めのソースが焼きそばにからみ、いくらでも食べられた。ついおいしくて食べ過ぎた私たちは、プールに行く前に一休みすることにし、また部屋に戻ってきた。


 冷たいお茶で一服しながらChatterを開けると、新しいトークが追加されていた。

面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。


改稿再読してくださっている方々、いつも本当にありがとうございます! こんなにかかるとは(汗)頑張って追いつきますのでもう少しお付き合いください。


それではまたお会いしましょう!


皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

良い年をお迎えください。

大晦日、エミューリアでもカウントダウンパーティーが行なわれます。姫様たちの過ごし方は本編をお待ち下さい。

大晦日から新年のエミューリアの様子はこちらから。


「エミューリア王国冬の感謝祭」


https://ncode.syosetu.com/n2812hj/6/


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― 新着の感想 ―
[良い点] 思念波のせいで「うるさい」となって、怒られるというのがさらりと、しかし面白かったです。そして、タイミング的にこれはまずいのでは?というのがしっかり説明されていて、すとんと納得しました。 […
[一言] まりんあくあ様こんばんは! しーちゃんはやはり俺よりでした(/// ^///) 内容はどんどん深く。 れいちゃんが説明してようやくわかったよーなわかってないよーな笑 続きも楽しませていただき…
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