130 ちゃっかりしーちゃん
すみません。投稿遅れました。
暴走しーちゃんのせい、と言うことで。
加筆修整しました(05.12.29)
そして、記憶はそこでぷつりとまた切れていた。
── これはひどくない? わざと知らせないようにしてるよね。、気になるところでぷっつりだもの。
御馳走を見せられたままお預けをくらった気分だ。
「うーーーん」
でも、ヒントがなかったわけじゃない。さっき見た映像を思い出しながら考えていると、しーちゃんがのっそりと顔を上げた。
「……見た?」
「うん」
すると、がばっと腕を捕まれ、そのままぐらぐらと揺さぶられる。
── ちょ、ちょっと待ってー! せっかく考えてたのにー。
しーちゃんはいつものごとくお構いなしだ。
「れーちゃん、ひどくない? わざと隠してるよね、あの人たち。何? このおいしいとこだけ全ー部持ってきました、みたいな記憶! 精霊の力だよ、魔法だよ? あの人たち魔法が使えるってことでしょ? と、いうことはだよ。あたしたちも魔法が使えるようになるもしれないってことだよ。そ・れ・なの・に! 何これー、ずるいよ、ずるいー!」
一気に言った直後、突然強力な思念波が放たれた。
『教えてくれたっていいじゃんかーーー! ケチーーーー!』
あまりの威力に体だけでなく頭の中までぐらんぐらんした。とっさに思念石に急いで思念波を吸収させた私、グッジョブ。すると、下からおばさんが。
「詩雛! うるさい!」
ああ、また後で雷確定だね……。しーちゃんが机につっぷしたままでバタバタしている。とりあえずスマホの思念石をしーちゃんの腕にくっつけた。それからもう一つの思念石を握らせる。しばらくするとやっと落ち着いた。
『しーちゃん、気持ちはわかるよ。すっっごくわかるけど、一旦落ち着こう』
私の思念波はそのまま命令になったようで、
「わかった、落ち着く」
と言うと、しーちゃんは大きく何度か深呼吸をした。その間に、さっきこぼれていった思考を慌ててかき集める。
── 何だっけ?
そうだ。あの中にもヒントはあるって思ったんだった。あの時二人は、大地のエネルギーの歪みを精霊の力で読み取ったっていうことでいいんだよね?
「そうだね」
だとすると、あの渦が大地のエネルギーで、斑な緑色が精霊の力ってことなんじゃない?
「なるほどー、そうかも知れないねっ」
精霊の力がどんなものなのか、ものすごーく惹かれるけど、大事なのはまず災害のことだよね。
「いや、そっちも確かに大事だけど、この際重要なのはやっぱり精霊の力の方でしょ。それがあれば、魔法をぶっぱなして大災害をあっさり解決! ってことになるかも知れないよ」
うーん、そうかなあ。あの人たち「精霊の力が見える」とは言ってたみたいだけど、使えるとまでは言ってなかったような……。
「むむう、たしかに。じゃ、使えるかどうかは実際確かめてみなくちゃわかんないかー。ねえ、精霊の力って、どうやったら見えると思う?」
うーん。大地の力を見るってこと? そんなの出来るのかなあ。
「よしっ、じゃあ行ってみよう!」
んん? 行くってどこへ? そこでようやく私は、はっと気付いた。私、声に出してないのに、誰と会話してるの? 目の前には満面の笑みを浮かべて私の腕をしっかり握っているしーちゃんがいた。
「しーちゃん?」
にかりと笑ったしーちゃんが、
「よし、善は急げだよね。行くよ、れーちゃん!」
と言って私を引っ張り上げようとしている。
── やばい! このままだとまた暴走しーちゃんの巻き添え確定だよ。慌ててにっこり笑顔を浮かべると、
「行きません。お座りっ!」
びしっと言ってやった。
「ひゃい!」
慌てて座り込むしーちゃんに怒る。
「何勝手に人のアレを読んで、都合よく動こうとしてるの!」
すると、きょとんとした顔で、
「ん? 何って、いつもの妄想がまた始まったみたいだから、便乗してみたんだけど?」
何でもないことのようににこにこ顔で言われた。何気にひどくない? じとっとにらむと、
「れーちゃんだってずるいよ。あたしはれーちゃんが妄想しだしても止められないのに、あたしには命令出来るんだよ。不公平すぎると思うー」
とぶちぶち言い出した。はぁ。ため息をついて、
「何言ってるの。しーちゃんいつでも実力行使で止めてくるじゃない」
そう言うと、目をぱちくりと瞬かせ、
「そだっけ。……そういえば、そんな気もしてきた」
うんうんと頷く。納得はしてくれたみたいだけど、何となくちょっと悲しかった。私、結構ひどい扱いされてない?
「じゃ、まあいいや」
しーちゃんは私の気持ちはさらりと無視し、けろりとそう言うと、ずいっと顔を近づけてきた。びっくりして体を引くと、ニヤリと笑う。う、いやな予感。
「ねえねえ、れーちゃん。実験しにいこう。大地の力が見えないか調べよう」
あー、やっぱり始まった。見えない尾っぽがしーちゃんの後ろでぱたぱた動いている。早くいこーよ、とうずうずしているみたいに。うん、ここは言うしかないよね。
「行かないし、そんな無駄なことはしません」
「がーん」
しくしく泣き真似をするしーちゃんをちょっとうっとうしいなと思ったけれど、これがしーちゃんだ。今までならそのまま引きずられて巻き添え確定のところ、受容体のおかげで助かった。
── レイアーナさん、ありがとう!
げし。あいたっ。
「あたしのせいにしてごまかすな。」
はい、すいません。
暴走しーちゃんが入りましたので進んでませんが、れーちゃんのファインプレーで未然に防げるようになってます。あぶないあぶない。
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それではまたお会いしましょう!
皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。