126 玄室での遭遇の裏側 2
すみません。今回も送れてしまいました(*>д<)
本編に戻ります。玄室内で起こったこと、そして突然!
お楽しみいただければと思います。
修整しました(05.12.18)
『さて、それではどうやってあの者達にその石を拾わせるか、だな。思念石がなければ意思の疎通が出来ぬ。面倒な』
レイアーナさんが腕を組んで考え込む。
『やはり入口で待ち伏せるか……』
── いやいやレイアーナさん、それは怖すぎるって!
思わず突っ込みを入れていると、シュリーアさんがいつものように頬に手を当て、軽く首を傾げると微笑んで言った。
『御姉様、それでは驚いて逃げてしまうかも知れませんわよ』
シュリーアさんの声には少し呆れているような雰囲気があった。
── シュリーアさんグッジョブ!
『ふむ』
(── 面倒な。子どもが怯えぬようにイルラにするにはどうすればよいのだ?)
真剣に考えているけど、いい案は浮かばないみたい。そのときシュリーアさんが言った。
『御姉様、受容体を受け入れてもらわなければわたくしたちの思念波が伝わらないのですから、先ずは思念石を得ていただくところから始めてはいかがでしょう? でしたらその指示を出しやすいあそこで待つのはいかがでしょうか』
そこは、まさに私としーちゃんが二人が立っているのを見た場所だった。レイアーナさんがちらりと見て、『ふむ』と言う。私に拾わせたい石の場所、しーちゃんの石の場所を確認すると、
『ならばシュリーア、そなたが手前側に立ち、私は奥に立つのがいいだろう』
そう言って二人は移動していく。壁の前で立ち止まり、武具のある方を向いて立つとシュリーアさんが言った。
『御姉様、なるべく怯えさせないためにもあまり動かないでくださいませ。あの子どもたちが気づくまで待ちましょう。幸いこちらには何もございませんから、あそこにいる者らがこちらに来ることはないでしょう』
『だがあの子らが気づかなければ、どうする?』
(── やれ、面倒なことだが仕方あるまい)
レイアーナさん、何気に私たちの扱いがひどい気がするよ……。
『そのときはわたくしが行きましょう。御姉様では怖がってしまうと思いますわ』
『わかった、そなたに任せよう』
そのとき入口の方からざわざわと人の入ってくる音がした。レイアーナさんが目の端でその様子を見ている。おじさんに続いて私としーちゃんが入って来た。しーちゃんは目を輝かせて目の前の撮影風景を見ている。そして私は、ゆっくりと玄室の中を見渡している。
── 覚えてる。初めて入る玄室にものすごく感動してたんだ。少しでもたくさん記憶に留めておきたくて……ほんの数日前のことなのに、ずいぶん昔のことのような気がするな。
そのとき、私がこちらを見て一瞬体を強ばらせる。こちらを気にしながらも土器の方へ歩いていく。
── ここも覚えてる。この後、しーちゃんが二人に気付いて……。
そんなふうにちょっと懐かしく思い出していたその時、突然頭の中にガツン、と大きな声が響いた。
『お願いっ! だれか助けて!』
思わず頭を押さえた。それでも頭の中にまだ声がこびりついている。助けて、という叫びがうわんうわんと頭の中に響き渡って、しばらく鳴り止まなかった。
ようやく収まって目を開けると、ベッドの上で身体を起こした状態で頭を抱えていた。そっと机の上の時計を確認すると、午前5時を回ったところだった。
「今の、何だったの?」
手を降ろそうとすると、とても重く感じる。ゆっくり降ろしながら御守り袋を確認すると、寝る前と変わらず枕元にあった。右手をゆっくりと動かして御守り袋を握りしめる。
── 来い。
念じれば思念波が流れ出てくる。そのとき、流れてくる先がニヵ所あることに気付いた。新しい思念石からも一度に回収できるみたいだ。そのおかげか、前回よりも早く回復できた。
ほっとして大きくため息を吐くと、ゆっくりと身体を横たえる。だるさが消えると途端に眠気が襲ってきた。
── このまま、眠ってしまおうかな……。
そうぼんやり考えて、はっとした。だめだめだめ。寝てしまう前にさっきの声のことを調べなきゃ!
目を閉じてさっきの声を思い出す。あの声が誰のものかは直ぐにわかった。その記憶を探ってみたけれど、新しい情報を見つけることは出来なかった。
── しーちゃんも気付いたよね、きっと。明日聞いてみよう……。
ピピピピ……。
目覚ましの音にぼんやりと目を覚ました。
── 起きなきゃ……。
変な時間に起きたからか、なかなか体が起きてくれない。
── よし、起きるぞ。
気合いを入れたら、それに反応して思念波が流れ込んで来た。お陰でらくに起き上がれる。うわ、なにげに便利。袋を持ち上げて中の状態を確認すると……良かった、今日はそんなに減ってない。ほっとすると同時に、少し違和感を感じた。もそもそと着替えながら、何が気になるのか考えてみる。
「わかった」
思念石の中身だ。夜に使った分も含めて三回も吸収したのに、そんなに減っていない。使った感覚から、減ったはずの分と残っている量との計算が合わないんだ。今まで眠っているうちに思念波を吸収したことはない。……それなのに、なぜ?
「あ」
原因はあの叫び声しか考えられない。あれだけ頭に響くくらいに強い思念波だ、受け取った時に、同時に吸収もしたにちがいないよ。
── でも。
あんなに強い思念波を出すなんて、一体何があったんだろう?
胸の中に黒い雲がもくもくとわき出した。
── だめだ、嫌な予感しかしない。
不安な気持ちを抱えたまま、ゆっくりと下へ降りて行った。
毎回お待たせしてすみません。
更新は必ずしますので、遅れても気長にお待ちいただければと思います。
今回多くの方にご協力いただきました。相談に乗ってくれた皆様ありがとうございました。\(_ _)
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それではまたお会いしましょう!
皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。