124 アリーシャの真実とえっ! 私としーちゃん?
すみません。また遅れました。
124話お届けします。
今回はついにあのシーンが。
ユニークが5000を越えました。読んでいただきありがとうございます!
修整しました(05.12.10)
地震を止めるには思念石を沈めて爆発させればいい、とレイアーナさんは言っていた。でも、どうやって思念石を爆破させればいいんだろう? それに、どれくらいの思念石が必要なんだろう……? 考えているうちにだんだん眠くなってきた。
── レイアーナさんが何かヒントをくれないかな……。
いつの間にか眠ってしまったみたいで、気がつくといつもの記憶の中にいた。最初に見たのはアリーシャのことだった。シュリーアさんがベッドの上にかがみ込むようにして、苦しそうなアリーシャの側に付いている。アリーシャの思念石に手をかざし、溢れ出す思念波を吸収できるように手伝っていた。アリーシャは息をするのも苦しそうで、喉からはゼーゼーと音がしている。
「アリーシャ!……」
アリーシャの側に似た顔立ちの女の人がいて呼び掛け続けている。けれどもどうすることもできずに涙を流しておろおろしているだけ。
── アリーシャのお母さんかな?
するとレイアーナさんが素早く状況を把握し、アリーシャを通して母親に次々と指示を出し始めた。
レイアーナさんの思考から読み取れたことは、アリーシャの住む地域は大気汚染が酷くて窓を開けておくとそこから汚染物質が室内に入り、天井のファンがその物質を更に室内で撹拌させるという悪循環を繰り返している状態だということ。
それでレイアーナさんは一旦天井のファンを止めて窓を閉め、汚染物質がこれ以上入って来ないようにする。汚染物質が床に堆積するのを待って、その間にアロマオイルやミネラルウォーターを準備させる。それからアロマテラピーと水分補給をアリーシャに施し、アロマの香りが部屋を循環するように再びファンを回させた。しばらくするとアリーシャの呼吸が落ち着いてきた。
レイアーナさんは、これは対処療法だからなるべく早く医療を受けるようにと言っていた。でも、医療事情も良くないようで薬をもらうだけでもものすごく時間がかかる、とアリーシャが答えている。レイアーナさんは詳しい事情を知ろうとアリーシャの母親に接触し、思念波を読み取った。
『ああ、私の愛しいアリーシャ。なかなか医者に見せられなくてごめんなさい。病院に連れていくだけであなたは体力を消耗してしまう。あなたの体力では病院で待つ時間にすらもう耐えられない。何もしてあげられない母を許して……』
母親の思念は苦しみでいっぱいで、その思念波の中からアリーシャの病状を探し出すのは時間がかかったけれど、レイアーナさんは答えを見つけ出した。
── 肺結核。
しかも既に肺が二分の一程度しか機能していないため、アリーシャを動かすことすら出来ない状態。次に高熱を出せば、アリーシャはもうもたないかもしれないと医者には言われているみたい。
── そんな! アリーシャがもういつ死んでもおかしくないなんて! ……これ、いつ頃の記憶なの? 今アリーシャはどうしてるの?
けれどもレイアーナさんの記憶はそこまでだった。アリーシャの様子がものすごく心配だけれど、これ以上の情報はなさそう……明日、しーちゃんに聞いてみるしかない。うう、気になるけどどうしようもない。……だめだ、気持ちを切り替えよう。私が心配しても、何もできないよ……。
── そういえば、ミシェルさんのところ以外でシュリーアさんが出てくる記憶って他にあったかな? ないよね?
他の記憶……レイアーナさんとシュリーアさんが一緒にいるところ…………あった!
── え? こ、これって……!
見えたのは私たちだった。木陰に座り込んでいる私としーちゃんが何か話している。
『あの者達で間違いないようだな。しかし子どもか……』
レイアーナさんがシュリーアさんにそう言いながら腕を組んで考えている。
『せっかく感応状態のいいイルラが見つかったと思えばまだ子どもではないか。さて、どうしたものか』
私としーちゃんはレイアーナさんたちがいる方には全然顔を向けない。二人で何か話しながら、笑いあったり、時には真面目な顔をしたり……。
── 覚えてる。これ、玄室に入るのを待ってた時だ。古墳の中に入れるのが楽しみでわくわくしながら待ってたんだよね。そういえばこの時にしーちゃんが初めて夢の話をしたんだ。
『御姉様、いかがいたしましょう? あのような子どもにイルラが務まるでしょうか?』
『そうだな……見たところ学院に上がるかそれ以前くらいの年齢だろう。思念波について学ぶにはちょうど良いくらいだが、イルラとしてよいものか……。ふむ。候補には入れておくが、他に適応者がいないか探ってからにしよう』
そう言って二人が立ち去ろうとしたそのとき、しーちゃんの大きな声と共に思念波がぶわりと広がり、レイアーナさんたちにも届いた。その波に重なるように私の思念波がふわりとレイアーナさんに届く。
レイアーナさんが驚いて視線を向けると、私たちは笑い転げていた。私たち二人の思念波が重なりあい、一つの波となって広がっていく。ぴったりと重なった思念波は、より強い波を起こし……、
『きゃっ!』
シュリーアさんが隣で小さな悲鳴を上げた。素早くレイアーナさんがシュリーアさんを庇うように立ち、
『風の盾』
と静かに唱えると、レイアーナさんの額から思念波がシュッと飛び出し、等身大の薄い壁のようなものがレイアーナさんの前に出来た。
私たちの思念波はその壁に当たると、左右に別れて流れていく。次にレイアーナさんが『保持』と唱えると受容体から微かな思念波がその壁に流れていき、形を保てるように思念波を流し続ける。その流れを止めないように意識しながらレイアーナさんが声をかける。
『大丈夫か? 思念波に当てられたな』
次回に続きます。
次の次の回で投稿一周年になります。応援ありがとうございます! そこで一周年記念の投稿アンケートをツイッターに上げました。気になるかたは投票してみてください。
https://twitter.com/marine_aqure/status/1507635021821390853?t=zCbKOwYY3pvuiu4a9sC-Xg&s=19
面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ブクマ、ずーっと下の方にある⭐️やいいね、をポチっと押していただけたらまりんあくあがとても喜びます。
改稿追っかけてくれている素敵な読者様、いつもありがとうございますm(_ _)m
良ければコラボもお楽しみください。しーちゃん主人公のコメディです。
最新話ではこちら本編6話までとリンクした内容となっています。次回更新ではついにれーちゃんも異世界転移します。こちら本編とは少しずつ関わった内容となっていきますのでお楽しみに。
最新話はコチラ
https://ncode.syosetu.com/n0156hr/41/
それでは、またお会いしましょう。
皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。