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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 第七章 思念波の威力

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112 フィナーレのなか

花火の終わり 会合の終わり


中継ぎのような回です。


加筆修整しました(05.10.15)

『よくやった』


 レイアーナさんの言葉が私たちを現実に引き戻した。


「今のは……」


  しーちゃんが戸惑ったようにつぶやく。それからかたい声で聞いた。


「今のが、思念波の力?」

『そうだ。思念波が持つ力の一つだ。相手より強い思念波を持つ者は、弱い相手の思念に影響を及ぼすことが出来る。そなたらの思念波が強化されたことで相手を操作しやすくなったのだ。それにシイナがレナの受容体を持ったことで、二人の思念波が共鳴しやすくなっている。お前たち二人が協力して思念波を使うことで、さらに力が強くなる。先程さきほどの思念操作は初めてにしては見事だったぞ』


 そう言ってレイアーナさんは、あのすごみのあるにやりとした笑顔を浮かべた。これが機嫌きげんのいいときの顔だって分かってきたけれど、それでも若干じゃっかん引き気味になってしまうのは許してほしい。


 どーん、ぱららら。相変わらず花火が打ち上がり続けている。せっかくの花火なのに心が浮き立たない。さっきの母さんたちの、表情の抜け落ちたような顔が頭から離れない。そうっと母さんたちの様子をうかがうと、父さんたちと四人で笑いながら花火を見ている。いつもと変わらない様子に少しほっとした。


 一方しーちゃんは、またあごこぶしを当てて何やら考え込んでいる。余計なことじゃなければいいけど……。


『……やっぱりまずは、課金してもらおう。あのゲームのアイテム欲しかったんだよね。ゲームソフトとコミックと、それから……』


 やっぱり思いっきり余計なことしか考えてなかった。


 げしっ。


 軽く肘鉄ひじてつを打ったら、


「あ痛っ! もーいきなり何するんだよっ!」


 と騒ぎ始めたので、すたすたとしーちゃんの目の前に行くと、しっかり目を見て言ってやった。


「しーちゃん。本当に必要なことにだけ思念波を使うこと。欲望のままに使わないの!」

「わかった。欲望のままには使わない」


 と繰り返したあとで、頭を抱えてじたばたし始めた。おおお、せっかくのチャンスがー! ってなげいていたけれどあっさり放置して、私はシュリーアさんの方を見た。さっき見た時のような震えは治まったみたいだけれど、手をきつく握りしめ、きれいな形の唇をきゅっとみしめたまま、黙ってうつむいている。レイアーナさんが声をかけた。


『すまなかったシュリーア。そなたには荷が重すぎた。シイナたちの能力を読み切れなかった私のミスだ。怖い思いをさせてすまない』


 するとシュリーアさんは大きく首を振りながら、くやしそうに言う。


『御姉様のせいではありません。わたくしの力不足です。支えるどころか足手まといになるところでした。ご期待に添えず……』

『もう良い。済んだことだ。……回収は出来るな?』


  レイアーナさんがそう言うと、シュリーアさんは一呼吸置いてから顔を上げた。その顔にはいつもの微笑ほほえみが浮かんでいる。


『はい、御姉様。どれくらい回収すればよろしいでしょうか?』


 それを見て、ふっと笑うとレイアーナさんが答える。


『前回と同じ半分でよい。レナたちが増やした思念石のエネルギーはレナたちのものだ』


 シュリーアさんが目をまたたかせる。それから少し困ったように、


『御姉様、それはわたくしのことを思って言ってくださっているのでしょうか?』


  と聞くと、


『そうではない。イルラが自身で必要とし、自らの判断で得たものは、イルラ自身のものだ。それを生かすも殺すもイルラが決めればよいと私は思っている。何事にも見返りは必要だ』


 そう言うと私の方を向き、


『それではレナ、そなたの貯めた思念波をもらう。前回と同じ半分を抜かせてもらう。また反動が来るが耐えられるな?』


 と言った。


「はい、大丈夫です」


 と答えながらレイアーナさんにそっと近づくと、しーちゃんからは見えないようにして手を伸ばし、思念通話を送った。


『その前に、聞きたいことがあります』


 レイアーナさんの片眉がぴくりと動き、答えてくれる。


『シイナに聞かれたくないことか。なんだ?』 


 私はいくつかレイアーナさんに質問し、答えてもらった。そうして話しているうちに、自分が引き返せない階段を登り始めたことを、うっすらと感じ始めていた。

 思念波の回収が終わると二人は立ち去っていった。また三日後に回収する約束をして。


 去りぎわに少しの間四人で花火を見た。ちょうどフィナーレを迎えるところで、いくつもの花火が連続して打ち上がり、空いっばいに色とりどりの花が咲いては消えていった。最後に、連続で金色の花火が打ち上げられ、その名残なごりがいくすじも涙を流すなか、


『ニホンの花火は本当に美しいな』


  と言い残し、二人は闇夜の空へ消えていった。見送るひまもなく母さんたちが、


「二人とも早く、急いで!」


 と手招きしていたのであわてて合流し、急いで駐車場を出て帰路へと向かった。

いろいろなことが、続く、で終わる回となりました。

続きが気になる!っと思っていただけたら、いいね、ブクマ、⭐️で応援ください。


感想いただけたらまりんあくあのヤル気がみなぎります。


それでは、またお会いしましょう。

皆様に風の守りがあらんことを。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 質問の内容があえて伏せられているのが意味深で思わせぶりで惹きつけられます。心憎い、さりげないけれどもやり取りでした。引き返せないというのも同様です。大きい力を得てしまったというのがうっすら…
[一言] まりんあくあ様こんばんは! しーちゃんとれいちゃんはだんだん思念波も使えるようになってきたようですね! しーちゃんの思念波の使い方に共感してしまう俺ごめんなさいm(._.)m笑 続きも楽しま…
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