111 力を振るう思念波
怜奈と詩雛がついに思念波を使います。
二人がどう行動したのか。
前回、読んだよ、ってわかるようにいいね下さい、って書いたんですけど、いいねが1…(泣)
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加筆修整しました(05.10.14)
シュリーアさんは震える右手をきつく握りしめ、左手が押さえるように置かれている。シュリーアさんをかばうように立つレイアーナさんを見て、私は気付いた。
── そうか、一番危険だったのは……。
「シュリーアさん」
「それは、誰? 誰と話しているの?」
心臓が飛び出るかと思った。しまった、完っ全に油断していた。母さんたちが近くにいることを忘れて会合に夢中になり、つい思念波で話しているつもりが声に出してしまっていた。険しい顔で私の周囲を見渡して警戒している母さんの後ろでは、心配そうに見ているおばさんもいた。
「なかなか戻って来ないと思ったら、二人でこそこそと。何をしていたの? 誰もいないとろに話しかけたりして、あなたたちは一体何をしていたの?」
つめ寄られてどう答えていいか分からず固まっていると、レイアーナさんが腕を組み、面白がっているような口調で言った。
『ふむ、ちょうどよい。レナ、思念波を使ってその二人を遠ざけてみろ』
── 母さんたちを遠ざける? どうやって?
戸惑っていると、
『効果的なのは相手に触れながら思念波を流す方法だ。相手に触れながら強く念じればよい。だが、レナ。レナの思念波は強化され強くなっている。対象の人物を思念波で包み込んで話してみろ』
思念波で包み込む……目を閉じて集中しようとすると、
『目を閉じるな。対象をしっかりと見つめて思念波を流せ』
と言われた。
── 対象をしっかり見て、思念波を流す。
その時しーちゃんが思念波で伝えてきた。
『れーちゃん、手伝うよ。とりあえず母さんたちにはいつもの妄想ごっこをしていたことにしよう』
妄想とは失礼な。とは思ったけれど、手早く打ち合わせる。私がお姫様が主人公のお話を考えて、その話をしーちゃんにしていたというものだ。
『れーちゃんの妄想ならいつものことだからね、大丈夫!』
なにげにひどいことを言われてない? でも、とりあえず今はごまかすしかない。私は母さんの目を見て力を込める。
── どうか、信じて。
ぶわりと思念波が溢れ出て流れていくと、母さんを包み込む。母さんは一度まばたきをしたけれど、何かに気づいた様子はない。そのまま話す。
「今ね、私が考えたストーリーをしーちゃんに聞いてもらってたの。二人のお姫様が自分の国を救うために旅をしているっていう……」
「それがさ、突然れーちゃんが素敵な話を思い付いた! とか言って急に話し始めたんだよ。……ま、いつものことだよね」
信じて。という思念波と、しーちゃんの大丈夫いつものことだからという思念波が混ざり合い、母さんたちへと流れていく。側にいたおばさんもまとめて大きなかたまりのように母さんたちに思念波が絡みつく。しばらくすると母さんがため息をついて、
「ああ、あれね。怜奈のいつもの」
とため息をついて言った。おばさんもくすくす笑って言った。
「怜奈ちゃん、時々別の世界に行っちゃうことあるわね」
うう、今回は違うんだけど! ちょっと悲しい気分になったけど、今は信じてもらっていた方が都合がいい。いいよ、妄想爆走女子で!
「そういうこと。あ、仲直りはちゃんとしたから心配しなくていいよ」
母さんたちは笑顔になり、もうしかたないわね、と言いながら理解してくれた。とりあえずこれでセーフ。だけど。
ここからが本題だ。私たちはまだ会合の途中だ。母さんたちの側で話し合いを続けるのはまずい。会合が終わるまでの時間を稼がなくちゃ。しーちゃんに思念波で伝える。
『しーちゃん、話を合わせてくれる? 時間を稼ぐから。花火が終わるまでは私たちに近づかないでもらわないと』
『わかった。合わせるよ』
さらに力を込めるようにして母さんたちに言う。私の思念波がまた流れていく。
「母さん、おばさん。私たちはここで花火を見てるから、向こうで待っていてくれる? ここなら、向こうからでも見えてるから大丈夫でしょう? しーちゃんと二人で見たいの」
── お願い、じゃましないで。
少し強く願いを込めて言う。私の思念波が母さんたちに『信じて』と流れる。するた、母さんたちの思念が読み取れた。
『もう夜だし、二人だけ離れたところにいるのは危ないわ』
『人が増えてきて心配だから、そろそろ連れ戻さないと』
私の信じて、という思念波と、母さんたちの思念がせめぎ合っていると、そこにしーちゃんの思念波が重なった。
「あたしたち、ここで見てるよ。見えてるから危なくなんかないよ。大丈夫」
『だから邪魔しないで』
しーちゃんの思念波と私の思念波が混ざり合い、母さんたちに浸透していく。おばさんが、
「そうねぇ」
と少し心を動かされたようだ。
── もう少し強く伝えれば。
けれどもその時レイアーナさんが口を挟んだ。
『駄目だ。それだけでは弱い。ここでしていることを記憶するな、と伝えろ。私からの命令だ』
レイアーナさんがそう言った途端、私としーちゃんの口が自然と動く。
「「ここでしていることを記憶するな」」
今までよりも強い流れが起こり、直接母さんたちの脳に刺さったのがわかった。すると母さんとおばさんが口々に言う。
「ここでしていることを記憶しません」
「ここでしていることを記憶しません」
『ここに近付くな。向こうで待っていろ、と言え。命令だ』
私としーちゃんはまた声を合わせて母さんたちに伝える。
「「ここに近付くな。向こうで待っていろ」」
「「ここに近付きません。向こうで待っています」」
そう言うと母さんたちはくるりと向きを変え、父さんたちのところへ戻って行った。
その間も花火は繰り返しどーん、と大きい音と共に打ち上がり続けている。その音がとても遠くで響いているように感じられた。ひゅー、ぱちぱちという音もしている。でもそれが、まるで別の世界から聞こえるようだった。
この時、自分たちが何をしたのかよくわからないうちに、私たちは思念波を使うことを覚えた。
四人が揃っているうちに、がんがん進めますよ!
…え、そんなに進んでいるようには見えない?
と、とりあえず次回に続く!
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それでは、またお会いしましょう。
皆様に風の守りがあらんことを。




