109 力を持った思念波
思念波の力がどんな影響を与えるのでしょうか。
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修整しました(05.10.2)
正直に言うと、怖い。体が震えそうになる。だけど……。ふと、しーちゃんが前にレイアーナさんに言っていたことを思い出した。
『私たち以外に、これから起こる大地震を防げる人はいないんだよ』
私としーちゃん二人にしかできないなら、やれることを精一杯しないと間に合わないかもしれない。思念波をできるだけたくさん、それも急いで集めなければいけないんじゃないかって。だったら思念石がたくさんあればって思った。思念石があれば思念波を吸収してくれる。地震を止めるためにどれだけのエネルギーがいるのかはわからないけれど、かなりの量が必要だと思うから。
だから思念石が作れないか実験してみた。実験は成功し
、私にも思念石を作れることがわかった。大地震を止めるために、たくさん思念波を集めなきゃ。私はしっかりとレイアーナさんの方を向いて聞いた。
『私のやったことは間違っていますか?』
するとレイアーナさんは嫌そうに眉をしかめた。唇をむっと結ぶと答えた。
『間違ってはいない。確かに必要なことではある。だが、過ぎたる力は己れの身を滅ぼす刃ともなるのだ。レナ』
レイアーナさんが私の名前を呼ぶと、射貫くように鋭い視線を向ける。心臓がぎゅっと掴まれたようになった。
『ここから先に進むにはお前に覚悟が必要だ』
『覚悟、ですか?』
『そうだ。お前がやろうとしていることは、この世界に元々存在していなかった力を使うことだ。この世界には思念波を利用するシステムがない。それゆえにお前が意識してその力を使えば、誰もお前を止めることは出来なくなるだろう。ここから先お前の意思は周りの者にも影響を与え、意のままに操ることすら可能になる』
レイアーナさんの言葉が胸に刺さる。耳を塞ぎたくても聞こえてくる。
『レナ、お前はこの世界で神にも匹敵する力を得る。お前は神になることを望むか? この世界の王になることを望むのか?』
── ちょっと待って。
予想以上にスケールの大きい答えに、また思念波がぶわりと動いた。さっきよりは小さい波が私の周りに広がり、消えていく。レイアーナさんにもその波は届き、ぶつかったけれど避けなかった。少し眉をしかめただけだ。さっきのように大きな波ではなかったことに少しほっとする。レイアーナさんが静かな声で言う。
『今のようにお前の思念波は感情が少し揺れるだけで動く。レナが力をつければつけるほど、その影響力は強くなるぞ。それでも続ける覚悟があるのか?』
ぎゅっと手を握る。怖い、だけど。しっかりとレイアーナさんを見て答えた。
『それが必要なことなら、やります。覚悟があるかと言われるとわかりません。でも。止められるのなら地震を止めたい。その気持ちは変わりません。そのためには必要なこですよね。だからこのまま続けます。でも、私が望んでいるのは地震を止めることだけで、世界の王になりたいとは思いません。世界なんて欲しくありません。そんなめんどくさそうなことしたくないです』
必死でそう伝えたのに、レイアーナさんはくっと吹き出した。
── え、笑われた? 何で?
シュリーアさんもくすくす笑っている。はてな顔でしーちゃんを見ると、しーちゃんもはてな顔になっていた。レイアーナさんが眉を下げたままで言った。
『はっ、そうか。めんどくさいか。確かに上に立つ者は下の者に気を配り、国を治める責任がある。それはめんどくさいか。そうかもしれぬな。私には思いもつかぬ答えだ』
レイアーナさんが笑う。その笑顔は普段のむっとしたようにも見える気難しそうな顔からは考えられないくらい華やかだった。けれどもそれはすぐに消え、また真顔に戻ってしまった。
『レナ。お前が望まなくても、お前の思念はこれからは人を従わせるようになることを覚えておきなさい。お前が望むだけで周りにいる人は逆らえなくなる。たとえ、お前の身内であってもな』
喉がごくりと鳴った。
『そうならないように気をつけます』
『さて、それはどうかな。だがレナがやると決めたのならこの話はここまでにしておこう。お前たちがやろうとしていることには確かに複数の思念石か必要だ。満ちた思念石は持ち歩かず、別の場所で保管するようにすればそこまで影響は出ないだろう。なるべく複数の思念石を持ち歩かないようにしなさい。シュリーア、レナの思念石を感じ取れるか?』
するとシュリーアさんは微かに眉を寄せ、目を閉じた。それからゆっくりと目を開けると困ったように眉を下げて首を振った。
『申し訳ありません、御姉様。レナの思念波が強まったことは感じ取れますが、思念石をいくつ持っているかまではわかりません。ですがシイナが複数持っていないことはわかります』
『そうか』
そう言うとレイアーナさんは腕を組み、何か考え込んでいるようだった。
次回もお楽しみに。
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それでは、またお会いしましょう。
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