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108 強化された思念波

すみません。予告詐欺です。少し遅れての投稿になりました。


四人が揃うと、何かが起こります。

レイアーナさんはまだ私に触れていない。なのにどうして? とまどっているとレイアーナさんがふん、と鼻を鳴らして言う。


『自覚しているわけではないのか。思念石の力が増えれば、思念波も強くなるのは当然だろう』

『『そうなの?』』


私としーちゃんの思念波が重なった。その途端、何か目に見えないうねりが起こり、それがレイアーナさんとシュリーアさんに向かうのがわかった。


それは一瞬のことだったと思う。私たちが驚いて目を見張っている間に、ものすごく素早い動きでレイアーナさんがシュリーアさんを背にかばう。レイアーナさんの額が一瞬光ったかと思うと二人の前に見えない壁のようなものが現れた。私たちから起こった波のようなものが二人にぶつかる瞬間、その壁がうねりを防ぎ二人を避けて通りすぎて行った。


── 何、今の。何が起こったの?


目に見えたわけではない。流れを感じ取った、そんな感覚。大きな強い流れがいきなり私たちからあふれ出て広がった。けれども、その波に気付いた人は誰もいない。周りにいる人たちには何の変化もない。父さんも母さんも何かに気付いた様子はなく、空を見ながら楽しそうに話している。きょろきょろと見回してみても何かが起こった様子はない。


でも、レイアーナさんは厳しい顔をしているし、シュリーアさんは少しおびえているように見える。


── 私、何をしたの? ……怖いよ……


そのときレイアーナさんが珍しくあせった様子で声を上げた。


『レナ、おさえろ! 感情を動かすな。また同じ波が起こるぞ?』

「え、……え?」


パニックを起こしかけたそのとき、しーちゃんが突然ごつり、と頭突きをしてきた。目の前に星が飛んだ。


「いったーい」


頭を押さえていると、あわてたおばさんが駆け寄ってきた。


「詩雛! あなた何をしてるの!」


かんかんに怒ったおばさんがしーちゃんをしかり飛ばす。けれどもしーちゃんは普通の声で、


「何って。ただの喧嘩だけど」


と何でもないように答える。するとおばさんが目を吊り上げて、


「だからっていきなり頭突きするなんて」


さらにしーちゃんを叱ろうとする。私は黙っておばさんの腕を引っ張った。それから、


「おばさん、しーちゃんを叱らないであげて。今のは私が悪いの」


と言っておばさんを止めると、


「しーちゃん。ごめんなさい」


と謝り、思念波で、


『ありがとう、しーちゃん』


と伝えた。するとしーちゃんはにやりと笑って、


「わかればいいんだよ。あたしに感謝しなさい」


と胸をらす。すかさずおばさんにぱしんと頭をはたかれていた。だからって先に手を出すんじゃない、このバカ娘! とさらに怒られている。しーちゃんは気のない返事で返しながら、


「れーちゃん、ちょっとこっち」


と言って、私を人混みから離れた場所へ誘う。


「ちょっと女同士の話をしてくるから」


おばさんは心配そうな顔をしていたけれど、私がうなずくと黙って私たちを行かせてくれた。しーちゃんに゙ついて行きながら、もう一度しーちゃんにお礼を言った。 


「しーちゃん、ありがとう」

「良かった、落ち着いたみたいだね」


いつもと変わらない様子でしーちゃんが返してくれてほっとする。それからちょっと口をとがらせて、


「うん、なんとかね。でも、本当に痛かったよ?」


と返すと、しーちゃんはふっと笑って言った。


「ごめん、やばそうだったから急いで止めなきゃ、と思ったら身体が動いてた」 


うん、しーちゃんらしい。


「さっき、何が起こったかわかる?」


そう聞くとしーちゃんは、うーんと言いながらあごこぶしを当てて言う。


「はっきりとわかったわけじゃないけど……」

『あたしとれーちゃんの思念波が重なったな、と思ったらそれがあの人たちに向かって一気に流れていったのはわかった。それをレイアーナさんが何かして止めたのもね』

「誰も気づいていなかったよね?」

「うん、母さんたちだって気づいてなかったみたい」


そのとき後ろからレイアーナさんの声が響いた。


『思念体が肉体と密接につながっている間は思念波の影響を受けにくいのだ。だが、』


その声に振り向くと、レイアーナさんは腕を組み、シュリーアさんは相変わらずほおに手を当てた姿勢でゆるく微笑みながら立っていた。レイアーナさんが続ける。


『思念波は我らのような思念体には危険なやいばとなることもある。まさかレナが自らの思念波を強化できるようになるとは思ってもみなかった私のミスだ』


レイアーナさんが眉間みけんしわを寄せている。


── 私が思念波を強化?


思わずポケットの中に゙手を入れて御守り袋を握りしめた。間違いなくもう一つの思念石が関係している、よね。レイアーナさんがしーちゃんに言う。


『シイナ、先ほどはそなたの機転で大きな危険を回避することができた。礼を言う。そして、レナ』


レイアーナさんが厳しい声で伝えてくる。


『これからはそなたが感情を揺らすたびに同じことが起きる可能性がある。今はまだ思念体にしか影響はないが、さらに力をつければいずれは肉体を持つ思念体にも影響が及ぶようになるだろう。常におのれを律し、その波をコントロール下に置いておく必要がある』


レイアーナさんが近づいてきて、目を合わせると静かに言った。


『レナ。お前にそれが出来るのか?』


思わずごくりと息をんだ。



読んでいただき、ありがとうございます。

怜奈の起こした行動がどう影響していくのか。ここから大きく動いていく予定です。


頑張って書きますので応援よろしくお願いいたします。


応援しよう、と思っていただけたら、ブクマ、⭐️を入れて下さい。


さらにやる気をアップさせよう、と思われたら、是非感想を下さい。作詞のやる気がぐぐんとアップします。


冬童話さんか作品の外伝もお読みいただけたら嬉しいです。現在冬童話内ランキングで22位にあります。こちらも応援お待ちしています。

外伝はこちらから。少し未来のお話です。

https://ncode.syosetu.com/n2812hj/


それでは、また3日後にお会いしましょう。投稿時間は7時を予定しています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変なことになりましたね。まさかレナが歩く兵器のような存在になってしまうとは。目に見えないだけに、場合によっては無防備にその力に晒されてしまうということでしょうか。なかなかのっぴきならない…
[一言] れいちゃんの思念波がしーちゃんの思念波と重なり大変な事に。 そしてしーちゃんはれいちゃんを助ける為に頭突きを!! これはお母さんもびっくり!! でもこれは仕方ない。 とりあえず無事でよかった…
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