103 とりあえずソーセージを作ろう
PV5000超えました!!
ありがとうございますっ(泣)!
今回は、怜奈が暴走します。
現在外伝を執筆中です。こちらの更新は外伝終了後になります。しばらくお待ちください。
冬童話2022に外伝載せています。惑星アレトのお話です。そちらも是非ご覧ください
少し加筆修整しました。(05.9.16)
「さて、と」
私は個室の中で、御守り袋から勾玉型の思念石と先程のローズクオーツを取り出し、そっと手のひらの上に乗せる。思念石は濃い青色で、前に確認した時よりも少しぷっくりと膨らんだ気がする。ローズクオーツは全体が薄いピンク色で、ところどころ白い部分が散っている。大きさはローズクオーツの方が一回りくらい大きいかな。角が丸まった四角っぽい形がちょっとかわいい。
── それでは、実験開始といきますか。
レイアーナさんに教えられたことを思い出しながら、思念石の中の受容体を意識する。園内に入ってからずっとわくわくしているので、中にエネルギーが満ちているのがわかる。これなら私一人でも出来るかも知れない。
── さあ、やるよ!
受容体の周囲にエネルギーをぎゅっと集め、圧力をかけていく。
── 分かれろ、分かれろー。
ふ、と受容体が収縮したように感じた次の瞬間、ぷつりと二つに分かれたのがわかった。
── よし、第一段階はクリア。
分かれた受容体の片方を思念石の外殻に寄せる。くっついたら、一気に押し出す。
── えいっ! 出ろー!
「……出来た」
手のひらの上で、新しい受容体がふわふわと浮いている。
そっと指先でその受容体をつまむと、ローズクオーツの石に押し付けた。
── 入れっ!
強く念じると、すうっと受容体がローズクオーツの中に入っていく。
「完成した、かな?」
次の瞬間、ずざあっと勢いよく周囲から思念波が押し寄せてきたかと思うと、一気にローズクォーツの思念石に流れ込む。慌てて入れたばかりの受容体に意識をしっかりと繋ぎ止め、ひたすら耐え続けた。
実際はほんの数秒のことだったのだと思う。けれどもものすごい勢いで流れ込む思念波が強すぎて、すごく長い時間耐えたように感じた。思念波の流れが収まった時、額にはびっしょりと汗をかいていた。
コンコンコン。外からノックの音がして、
「れーちゃん、大丈夫?」
と心配そうに呼ぶしーちゃんの声が聞こえた。私はふう、と息を吐いてから、何でもないというふうに、
「大丈夫。もう出るよ」
と答えると、急いで汗をふいて外へ出た。けれど、外には鬼のような形相で腕組みをしたしーちゃんが、どーんと待ち構えていた。
「説明してもらおうか、れーちゃん?」
凄味のある声で言われると同時に、
『今、何をしてたの?』
と強い思念波でも聞いてきた。
「えー、と……。特に、何も?」
知らばっくれようとしたけれど、甘かった。むんずと腕をつかまれて迫力のある笑顔が、ドアップで目の前に。
『とっとと吐きなさい! あたしが気付かないと思う? あーんなに、一気に思念波を取り込んで?』
あ、やっぱりばれてるか。
「えーと、あのね…」
どうやって誤魔化そうかと焦っていると、しーちゃんのスマホがぴろりん、と鳴ってぶるっと振動した。ちっ、と舌打ちしたしーちゃんがスマホを取り出す。
「開場したから早く戻って来なさい、だって。……れーちゃん、後で覚えといて」
── 助かったー。
おばさんのナイスアシストで無事回答を先延ばしに出来たけれど、どう説明しようかとさらに頭を悩ませることになってしまった。
困ったからって、誰にも相談出来ないのが一番困る。世界中にいる協力者の人たちに聞きたくても、スマホのない私にはどうすることも出来ない。
── いいな、しーちゃん。
「怜奈、ぼーっとしてないで作業に集中しなさい」
「れーちゃん、妄想禁止」
思わず深く考え込んでしまっていたようで、うっかり手が止まってしまっていたみたい。失敗失敗。
こねこねこね。私たちはソーセージ作りの真っ最中だ。私と母さん、しーちゃんとおばさん、父さんたちの三チームに分かれて作業をしている。こねこねこね。今は材料を混ぜているところだ。
こねこねこね。スマホ、欲しいな。こねこねこね。どうしたら買ってもらえるかな。そうだ、さっきしーちゃんが試した方法、やってみようかな。こねこねこね。相手の手を握って、強く願うだっけ……。
こね、こね、こね。うーん。こ、 ね、 こ……。げし。
「あいたっ!」
横からしーちゃんの肘鉄が来た。母さんも眉を寄せて私を見ている。うう、ごめんなさい。母さんがため息をついて言った。
「何を悩んでいるのか知らないけど、ソーセージが犠牲になるわよ」
それは、困る。何でも勝負したがるしーちゃんの提案で三チーム対抗美味しいソーセージ作りの真っ最中なんだった。受けた勝負は全力で取り組まないと! ちらりとしーちゃんを見ると、肉が目の敵とでも言うように、非っ常に力強くこねている。全体重を腕に乗せているみたいだ。
『おいしくなーれ。おいしくなーれ』
非常に強い思念波も感じる。そのときマイクを持ったお姉さんが、
「よく混ざっている方が味がまろやかになります。肉の色が変わるまでしっかり混ぜて下さい。肉の温度が上がっても味が変わってしまいます。時々氷水にボールごとつけて、温度が上がらないようにして下さいね」
とアドバイスをしてくれた。よし、頑張って混ぜるよ! 母さんが氷水につけているボールに手を伸ばして混ぜようとした時、
「怜奈、今……!」
バッシャン。………やっちゃった。
貴重な感想と評価ptをいただきました。ありがとうございます。嬉しくて何回も読み返しています。
ブクマも増えました。有り難すぎます(泣)。
面白いな、次が気になるっと思われたら、いいね、お願いします。感想ももらえると、元気いっぱいです!
現在、冬童話企画「流れ星」にて外伝として惑星アレトの五大国の話を書いています。そちらの執筆が終わり次第、本編を執筆していきます。
外伝をご覧になりたい方は「流れ星」バナーからとぶか、こちらのアドレスから移動して下さい。
現在二国目の本編未登場の国の話を執筆中。近日中に公開しますので、お楽しみに。(21.12.16)
https://ncode.syosetu.com/n2812hj/
本日外伝二話目更新しました。良ければ読んで下さい!(21.12. 17)
三話目を更新しています。(21.12.25)
再読の皆様、いつも本当にありがとうございます!
外伝は完結しております。
それではまたお会いしましょう。
皆様に風の守りがあらんことを。




