101 楽しいお出かけ1
31日がなくても何とかなりました…(笑)
昨日の閲覧数が166PVで、過去最高となりました。
ありがとうございます!
101話目です。
今回と次回は平和な日常になります。
加筆修整しました。(05.9.12)
「れーちゃんは甘いよ。せっかく自分が見たい記憶を夢で見られるってわかったんだよ? 他の協力者の人たちが思念波をどう使ってるかわかったら、あたしたちも何か出来るかもしれないじゃない。こんなおいしい能力持ってるんだから有効活用しなくちゃ!」
しーちゃんが熱い。しかもちょっと斜め上方向に盛り上がっている。瞳をキラキラと輝かせながら力を込めて言う。
「あたしはさ、他の協力者の人がどんな人なのか調べるだけじゃなくて、どうやって思念波を集めたり使ってるかを調べようと思ったの。思念波を使ってる協力者さんの記憶が見たいって思ったら、ヤーンとルークのイケメンカップルを見つけたんだよ。さっきの記憶の交換、どうよ。便利だったでしょう?」
しーちゃんがどうだ、と胸を張る。思わず吹き出しながら、
「ぷはっ、さすがしーちゃん。ちゃっかりしてるよ。そこまで頭が回らなかったな」
と言うと、しーちゃんの目がきらりと光った。にやりと笑いながら言う。
「ふふん、どうよ。もっと尊敬してくれていいよっ! ……でも、れーちゃんの記憶にもちょこっとだけ、いい収穫があったよ」
「え?」
私の夢に何か思念波を有効に使ってる場面って、あったっけ?
首をひねっていると、しーちゃんがあきれた顔をした。
「ええ? れーちゃん気付いてないの? ふふん、ヒントは悠然さんの科白だよ」
悠然さんの記憶? 私は夢の内容を思い出してみた。すると、今までの夢と違ってものすごくはっきりと思い出せる。普段は記憶の引き出しに綺麗に片付けられていて、思い出そうとするとその引き出しが開いて簡単に取り出せるような感じ。どの記憶を見たいか選ぶだけで、鮮明にその記憶を思い出せる。うわぉ、便利。……これ、思念石のおかげかな。昨日までの夢はそこまではっきりしていなかった。きっと思念石を持って眠ったからだ。私の思念石、ありがとう!
早送りするようにしながら記憶を探っていく。昨日は悠然さんがいっぱいしゃべっていたからどこだろう? 思念波について話しているところだよね…。
ここかな? 悠然さんが得意気に話している。
『この指輪をした手で握手をすると、相手の思惑が手に取るように分かるのですよ! 隠している思惑がわかっているのですから、交渉はお手のものですわ。本当にいいものをいただきました。それに、相手にお願いをいたします時に、相手の手を取ってお願いいたしますと、すんなりと聞いていただけるのですよ。素晴らしいです!』
「……あ」
「れーちゃん、分かった?」
「たぶん」
しーちゃんの目が再びキラキラと輝き出す。
「ね? 思念石を持って手を握りながらお願いしたら、お願いを聞いてもらえる! なんって便利、なんって素敵っ!」
そう言ってその場でくるくる回り出した。
「うーん。楽しみっ! 何っの、おっ願い、聞いてもらおっかなぁーるるる~」
そのとき下から、
「二人とも起きてるなら、そろそろ降りてきなさーい」
と母さんの呼ぶ声がしたので、私たちは慌てて一階へ降りていった。
薄曇りでも、八月の外は相変わらず暑い。駐車場はそれなりに混んでいて、家族連れが多い。大きな荷物を持った人、ベビーカーを押している人もちらほら見かける。しーちゃんの両親とは入口近くで待ち合わせになっていた。先に到着していたようで、おじさんが先に見つけて手を振って合図を送ってくれた。おじさんも大きな荷物を提げている。
両親同士が挨拶している間に、しーちゃんが私の手を引っ張って、入口近くに置いてあるお知らせボードに小走りで近寄って行く。
ハルヴェストの丘は、手前の園内にゴーカートやおもしろ自転車、観覧車などの遊べるアトラクションがあり、小さな出店のような縁日風の屋台、ショップやフードホールもある。体験教室もあって、どれも予約しておかないとすぐにいっぱいになってしまうくらいの人気がある。
園の中央には吊り橋があり、その手前には大人気の芝すべりがある。スキー場で使うようなプラスチックのそりに乗って一気に合成芝生の上を滑り降りるアトラクションだ。結構スピードが出るのでとても楽しい。
吊り橋を渡った先は農場のようなエリアになっていて、牛、羊、ヤギなどに餌があげられたり、小動物に触れられるコーナーや犬と遊べるところがあったりもする。
その奥には収穫体験の出来る農場や、ペダルをこいで動かすスワンボートに乗れる池なんかもある。
他にじゃぶじゃぶ広場といって水遊びが出来るスペースと花畑もあり、お知らせボードを見ると今はひまわりが満開らしい。
「ね、ね、れーちゃん。この『世界のカブトムシ、クワガタ展』行こうよ! 黄金のカブトムシだって!」
さっそくしーちゃんが食いついた。軽くため息を吐いて言う。
「しーちゃん。いいけど、それ、確か入ってすぐのところでやってるやつだよね? 先にそこに入っちゃうと、他のところが混んで並ばないといけなくなるんじゃない?」
しーちゃんがう、と言って詰まり、いつもの顎に拳を当てるポーズを取る。
「むう、これはトラップかー。しっかり作戦を立てて行かねば……」
そう言うと真剣に悩みだした。私もマップをじっくり確かめ、それから二人で今日のスケジュールを組み立てていった。
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それでは、またお会いしましょう。
皆様に風の守りがあらんことを。




