第1話 魔法のお洋服
洋服都。洋服市。
オシャレな洋服がたくさんある街。
ここには、女の娘の恋を叶える魔法の仕立て屋さんがあるといわれている。
それは、一体、どこだろう。
恋を叶えたい女の娘は、探すのだけれど、見つからない。
これは、恋は簡単には叶わないということ?
この恋は、失恋になってしまうってこと?
わからない。
どこなの?魔法の仕立て屋さん。
第1話 魔法のお洋服
「きっと、この恋は叶わないんだよ」
そう言って、あきらめようとしている女の娘がいた。
彩色ケイ。16歳。
茶髪のボブヘアの女の娘。
女子学生のケイは、オシャレに全くくわしくない。
あえて言うなら、オシャレしたことはない。
オシャレがわからない。
白いだけのワンピースとか。
シャツとGパンとか。
それでいいと思うくらい。
他は、全然、思いつかない。
ケイには、双子の妹がいる。
彩色ミイ。16歳。
黒髪のボブヘアの女の娘。
迷彩柄好きのオシャレ女子学生。
ミイは、言った。
「ケイ。魔法の仕立て屋さんでお洋服買ったよ〜」
魔法の仕立て屋さん?
お洋服買った?
双子にもらったお洋服は、真っ白なワンピース。
普通のワンピース。
「じゃあ。告白に行こう〜」
ミイにせかされて、憧れの“来斗くん”のところへ。
お洋服市図書館。
ここで、黒縁眼鏡を付けて、難しい辞書をいつも読んでいるのが、来斗くん。
加地来斗くん。16歳。
優しい読書好きな男の子。今日も一人で、読書に夢中。
カッコいい。カッコいい。
ケイは、いつも、離れて見てるだけ。
大好き。大好き。
ずっと、そう思ってた。
「告白チャンスだよ〜」
ミイが、背中を押す。
「む、無理だよ。上手くいくワケないよ」
「できるよ〜」
魔法の仕立て屋さんのワンピースを信じるの?
無理。無理。上手くいくワケない。
背中を押される。
どうしよう。白いワンピースがゆれる。
「あの〜」
「ん?何か?」
ミイが話しかけて、来斗くんが気づく。
きれいな声。大好きな声。
「双子の姉のケイから、話が〜」
「え、えっと…」
来斗くんが、こっち見てる。
「同じクラスの彩色さん?」
知っててくれてる。うれしいよ。
「えっと…」
「どうしたの?」
「えっと…」
言えない。言いたい。
でも。白いワンピースがあわく光る。
「この恋は、叶う」
声がした。
「彩色さん。実は、僕から、言いたいことがあるんだけど」
「え?な、何?」
「僕、実は、彩色さんのこと好きなんだ」
「え、えええ」
「付き合ってほしいな」
「えええええ」
「駄目…かな?」
来斗くんが笑っている。
しかも、好きって。付き合ってって。
本当のこと?夢見てるみたい。
嘘じゃないの?本当なの?夢じゃないの?
「付き合おうよ。彩色さん」
「う、うん!」
大きくうなづいたら、来斗くんが安心した顔をする。
「ずっと、仲良くしようね」
「うん!」
果たして、ケイの恋は、見事に叶うこととなった。




