グランタイズ 工作班
はい、私がエルマです。
所属は、グランタイズ第五……えっと第三じゃない、……えっと、通称黒騎士団の工作班です。
えっと、クリトさんのこと、ですよね。第一印象は、気さくで、優しそうな人でしたよ。
まさか、Bランクの方だとは思えないくらい。
――最初は、その、奇抜な調理を提案されて面食らいましたけど。今思うとキツめに注意とか、何様って感じですよね。
え?そりゃそうですよ。平時とはいえ兵糧ですよ?安全は大前提ですよ。変なモノ、作るわけにも、混ぜるわけにもいかないじゃないですか。
……貴方もクリトさんと同じこというんですね。
「平時に冒険しないで、どうするよ?」
ってクリトさんに言われたんです。
そうなんですよね。スタンビードとか、一番役に立たなくちゃいけない時に、当たり前の準備なんか出来なくても、その時こそが最高のパフォーマンスが必要なのに。
えっと、それでちょっと凹んだ私にクリトさんは色々話してくれました。
昆虫の魔物食べて、お腹壊したり、不味くて有名な薬草をなんとか美味しく食べようとしてみたりとか。おかげでその日はちょっと冒険した感じの賄いになっちゃいましたよ。美味しいとは言えなかったけど、楽しい食事でした。
……だから、私はちょっと上に不満でした。
だって、クリトさん、何も変わってないのに。
確かに、ティア姫様を助けるのに活躍したのかも知れません。
けど、その前から色々と活躍されてたんですよ?きっと、上が手柄を横取りしてたんですよ。
だから、ここの国出て……
え?呪い?
……そうなんですね。だから、行っちゃったんですか。
あの事件から、めっきりこっちに顔出してくれなくなっちゃって。お別れの宴席でも、ちょっとしか話せなくて。
やっぱり、私何もクリトさんのこと知らなかったんだな。
まぁ、サナさんがいるから、私なんて、ね。
……え?兄妹?しかも妹も呪いって。
えっと?もしかして、ちょっと待って?
……もしかして、いや、でもあの、二人のその、関係って?
――あ〜。すみません、そうですよね。
えっと、ちょっとだけ、私にもチャンスあったのかなって一瞬パニックになっちゃいました。けど、サナさんが例え彼女さんだったとしても、そうじゃなくても、私は、クリトさんのパートナーにはなれないかなって。
いや、確かに憧れてましたよ?
この男世帯で、女の私を特別視も下卑た視線もどちらでもなく、“私”を見てくれてましたし。
けど、私が憧れたのは、えっと、あの自由で優しいところですから。
サナさんくらいに常世離れした人じゃないと、推しとしては不満です。
――“推し”ですか?最近のグランタイズでは、えっと応援って、意味で使うんですよ。
今でも、クリトさんは私の“最推し”なんです。




