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竜神さまの言うとおり  作者: 相内 充希


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第2話 ゆかり・オバケなんて大嫌い!②

「いや、言うに事欠いていやがらせって……」

「これがいやがらせじゃなかったら何なのよ!」


 ゆかりの剣幕に驚いたような顔をしていた海斗は、めずらしく眉を下げて

「ゆかり姫、冷たい」

 と、なさけない顔になる。その瞬間、彼を覆っていた刺青のような模様がスーッと消えた。

 透けているのはともかく、これなら普段の海斗だ。ゆかりはホッとしたのを隠しつつ、

「姫って言うな」

 と唇を尖らせると、海斗は顔に手をあて、よよっ……と泣きまねをする。


「冷たい。俺はゆかりちゃんを、そんな冷たい子に産んだ覚えはありません。お父さん、悲しい」

「いやいやいや。誰がお父さんよ。産んでもらった覚えもないわ」


 海斗は相変わらず透けたままだけど、普段通りの軽口の応酬に、ゆかりは肩をすくめた。



 「ゆかり姫」とは、海斗がゆかりをからかう時に使う呼び方だ。

 去年――高一のときの文化祭でじゃんけんで負けたゆかりは、なぜかお姫様のコスプレをさせられた。その時思いきり塩対応していたらなぜかウケてしまい、結果、学祭投票でクイーンになってしまった(解せぬ)。

 以来海斗は、それを揶揄しているのだ。


(やっぱりふざけてるんじゃない)


 高等部から入学した海斗は常にゆかりの一歩前にいる存在で、テストではいつも僅差で負けている。全然勉強をしている素振りを見せないくせに首席だなんて、ふざけているにもほどがある。

 中等部からコツコツと首席を維持し続けてきたゆかりにとって、ちゃらちゃら遊んでいるようにしか見えない海斗は、ただただ腹が立つ存在でしかない。

 長い髪も、軽い話し方も、すべてが気に障って仕方がない男なのだ。


 なのにことあるごとにちょっかいを出されるわ、何かと一緒に行動する羽目になるわと、常に視界に入っている――そんな存在だ。

 一年生では共にクラス委員に任命され、今年は文化祭委員。その後はお互い各寮の寮長になることまで決定済み。周りは、ゆかりと海斗でワンセットだとでも思ってるのかしら? とさえ考えてしまうくらいだ。


 しばらくの間顔を見なくて済むと思った矢先、よりによってゆかりの嫌いなオバケになって出てくるなんて!


「カメラはどこ? 誰といたずらを仕掛けてるの?」

 文化祭の余興で隣のクラスの子が何か撮ると言ってたことを思いだし、がらりと窓を開けた。棒を使ってカメラを構えてるのかと思ったのだけど、何もない。

(あれ?)

「カメラなんてないよ。ゆかり姫の撮影なら喜んでするけどねぇ」

「そういうのいいから」


 いつもの楽し気な表情を浮かべた海斗は、「反応が予想外すぎる」と呟いた。

「いったい私に、どんな反応を期待してたのよ」

 そりゃあ驚いたけど。

 透けて見える仕掛けも分からないけど。


「え……。そりゃあ、普通悲鳴上げるとかさぁ。海斗くんっ、なんで死んじゃったのって泣くとかさぁ。まあ、色々あるんじゃないかと。――ほら。やっぱあれだ。私、あなたが好きだったのにぃ、みたいな?」

 わざとらしくクネクネと小芝居を披露する海斗に、ゆかりの目がこれでもかというくらい冷たくなった。


「なにそれ、趣味悪い。そもそもあんた、死んでないじゃない」

 ゆかりがすげなく言い返すと、彼は「へっ?」っと間抜けな声を出した。

「俺、死んでないの?」

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