第二章 第十六幕 仕切り直し
朱莉の命がけの術にて、新たな村ができた。
武田軍の非道・猛攻の前に落城した志賀城の生き残りが住む村だ。
豊受気媛を祀り、外敵からの侵入は防げるという。
家族も幸せに暮らしていけるだろう。
俺という存在は家族にすら記憶になくなり、旅の仕切り直しとなる。
だいだらぼっちという、古代の巨人を目覚めさせた朱莉。
彼女は俺の背中で安心した顔をしながら気持ちよさそうな寝息を立てている。
本当にありがとう。疲れ切っているだろうし、ゆっくり休んでもらいたい。
そして、目が覚めたらおいしいものでも食べてもらいたい。まだ、軽い少女を背負い山道を下る。家族ではなく、仲間を守ることを決意する。
怒涛の一か月で考える余裕も無かったが、正直ねぐらや拠点が欲しい。良い手はないものだろうか?
小休止の時、蓉子は天使オルルーンから貰った箱を物色していた。箱は、ゲームで言うアイテムボックスの様な物だ。
いくらでも物が入る。蓉子は箱の中からある物を見つけ、ニヤリと笑う。
二本の針金と筒を加工して、ダウジング棒を作る。本当に効果があるのだろうか?一時、流行ったことを思い出すも、忘れていた道具だった。
さて、と朱莉を背負いなおし宛てもなく郷から離れようとする。蓉子が待ってと声をかける。
「こちらに何かあるみたいよ?」
ダウジングの反応を見て、歩き出した。ちょっと待てよと声をかけるも、無視され進んでいく。
葵衣と顔を合わせ、ついていく。行く当てもないのだから、これもいいか。生き生きと歩く蓉子の後を追って歩く。
しばらく歩くと、そこには廃寺があった。ダウジング、バカにできないな。
「蓉子さん、すごいじゃない!」
葵衣も興奮している。
ここなら、雨風も防げるし当分はゆっくりできるだろう。これから行うべきことは山ほどあると思うが、まずは一息つく。
朱莉を寝かせ、異常がないか一回りする。
今までの疲労が一気にでたのか、葵衣がこっくりをし始め、俺も眠気が襲ってきてその場で寝てしまった。
はっと目が覚め、辺りを見回す。
どれくらい寝ていたのだろうか。葵衣も横になり、気持ちよさそうに寝ていた。
蓉子は、てきぱきと動いている。なんだかんだで結構いいやつなんだな。
「いろいろありがとう」
蓉子に声をかけると、フイと顔を背け朱莉の面倒を見ている。
葵衣も目が覚め、疲れもとれたようだ。
朱莉も夕方には目を覚ました。
豊受気媛から貰った袋から、食材と調味料を取り出し葵衣が料理を作ってくれた。朱莉には初めての味だったらしく感動している。蓉子は・・・酒を呑んでご機嫌だ。
ここまでは、彼女たちに頼りっぱなしだった。ここからは俺も頑張ろう。そう、ここで仕切りなおすのだ!




