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43  初めてのデート

忙しかったけど、なんとか間に合いました!



土曜日の午前九時。

未来さんとの待ち合わせの場所は、二人の最寄り駅だった。


今朝からそよりと吹く風は少し雨の匂いがする。

もしかしたら、今日はひと降りあるかもしれない。


折角のデートなんだから勘弁してくれよ。晴れ間でらんらん気分で過ごしてたいんだよ。頼むよ。


どうにもならない天候に悪態をついていると、スマホがブルっと揺れる。どうやら、メールを着信したらしい。



スマホを開くと送り主は未来さんだった。


――――――


未来さん


すみません。あと少しで到着します。


凪  了解です。気をつけて!


―――


なんてことない普通の返信をして、スマホを再びズボンのポケットに入れた。

はぁ……いよいよか。なんか緊張してきた。


今日、身を包む私服を眺める。


目に映るはジーパン、白のTシャツ。そして、首からかけるワンポイントのアクセサリー。

とてもありふれたコーディネートだが、

海知いわく、simple is the best らしい。


気取りすぎても俺にとっては馬子にも衣装だし、このくらいがちょうどいいと自分でも思ってる。

それにちゃんと髪の毛はセットしてきたしな。


やっぱり王道のセンター分けよ。動画見てかなり練習した。

自分では合格点に到達するレベルだとは思うが、どうだろうか……大丈夫だろうか。


不安と緊張でソワソワしながら待っていると、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「凪くーん!すみません、お待たせしましたぁ!」


声の方を見ると、少し息を切らしながら小走りでこちらに向かってくる未来さんがいた。


「はぁはぁ……すっ、すみませんっ!お待たせしました」


「いや、今来たところです!俺もギリギリでした!」


これはお決まりである。実際、髪のセットでギリギリだったしな。


「そ、そうですか。それはよかったです」


ホッとした様子で上がった息を整える未来さんを見る。


黒色のフレアスカートにグレーのTシャツ。髪はハーフアップにして、初夏らしい装いをしている。


「ど、どうでしょうか………?」


控えめにスカートを揺らし俺を覗き込んで尋ねてくる。

ここで、『何が?』なんて聞くほど俺も無頓着な人間ではない。


「も、もちろん、とっても似合ってますよ。普段からある未来さんの大人の雰囲気がより増して、その…キレイです」


風で揺れる黒髪。俺だけに見せるとっても優しい眼差し。

そして、いつも以上に色っぽい装いに、当然ながらドキドキしっぱなしだった。


「えへへ、凪くんに褒めてもらえると頑張った甲斐がありました」


にっこりと未来さんは笑う。とても満足した表情だった。


「未来さんはファッションセンスありすぎます……俺ももうちょっとファッション学ばないとなぁ……」


ファッションセンスが雲泥の差でますます悲しくなってくる。

しかも、海知のレンタルでこれなんだから、自前だったらどうなっていただろう。考えたくもない。


「別に、気にするほどではないと思いますけど…?」


「いやいや、未来さんがかわいすぎるから隣に立つためにはもうちょっと努力が必要だと思っただけ」


「そ、そうですか」


「そうですよ。だって未来さんかわいいんだもん」


「………そんなことないです。凪くんも…カッコいいです……」


未来さんは頬を染めて俯いた。

うん、天使。


「じゃあ、行きましょっか。どうします?買い物とは聞いてますけどどこから行きます??」


今回は完全に未来さんの主導のデートだった。


あの後も、メールしていたのだが期待していてとのことで、非常にワクワクしている。

どんなもの買いに行くんだろう?


「まずは、水着買いに行きたいです」


「水着ですか……??」


あれ……以前と言うか昨日もだけど未来さんはちゃんとスク水をきていた。アレで問題ないと思ってたのに、本当はキツキツだったりしたのだろうか?


「はい……その……ビキニを」


なんでこんなもじもじとされなきゃいけないんだろう。

察し悪すぎてわからない。だけど、未来さんが何か訴えているのはわかる。


「あの……何故…」


想像力の惨敗。わからん。


「えっと……その……だから…」


口をぱくぱくさせて、必死に言おうとしている。

だが、恥ずかしいからかその先が出てこない。


うーん……ビキニ……


どこで……あっ!!

やっとわかった。

そうして、未来さんと視線を合わせようとするとぷぃっと晒される。前の俺ならこれで怒らせたと思っているだろう。

だが、今の未来さんは完全に、、、


「夏休み、海行きませんか……?」


「遅いです……乙女がビキニならそれしかないでしょう」


「すみません……でも、何故俺を?あまりセンスはよくないですが……?」


すると、未来さんはまた視線を逸らしてこう言った。


「――だって、カレシの好きなビキニ着ていきたいじゃないですか……」

明日も投稿します!



新作投稿しました!!

『幼馴染体験をしてる白咲さんが『幼馴染」を使って距離感バグらせてくる件』です。

ストックもあるので、ぜひ、よろしくお願いします!!

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