【 Ep.2-015 平原からの撤退 】
「苦労したけどなんとか倒せたな……。」
盾を回収し終えたケントが口を開く。
「ですね。とは言えこれ以上の戦闘は避けたいところです。武器の刃先の状態がギリギリみたいです。」
「うちはマナには余裕あるけど、流石にこんなんが続くんならちょいきついなぁ。」
脚の関節部を断ち斬った刀の刃を日に照らしながらチグサが続き、マリーも気怠げな表情で続いた。
「日も傾いてきてるし、素材回収済ませたら村へ戻ろう。」
スィーダ平原の調査に入ってから半日も経っていないが、昼過ぎから調査に入った事もあり陽は大分傾いている。帰りの時間を考えればそろそろ引きあげねば野営をする羽目になる。
急ぎ倒したキラーアント達の回収可能な部位を其々インベントリへと収納し少し経った頃、地鳴りのような音が聞こえてきた。
「なんだ?」
「おいおいおい……マジかよ。全員急いでここから離れるぞ。」
一番身長のあるベネデクトがいち早くその存在を確認し、全員に撤収を指示する。
「ベネ?」
「群れだ……キラーアントのな。今までとは段違いの数だ、流石に俺達でも対処しきれんぞ。ほれ。」
「!?」
ベネデクトに担ぎ上げられたセラが彼の見遣った方向を見ると、蟻塚が見える方角より"一筋の黒い波"がうねりながら近づいてくるのが見えた。
「クロさん!リツ!全員に移動速度強化魔法を。回収しきれてない物はそのまま放棄、遭遇する敵は無視して丘陵地帯を越えるまで逃げるよ!!」
言うや否やすぐにリツとクロさんがバフを全員にかけ、直ぐにその場を離れて駆け出した。そのままその場に留まれば、1.2分であの蟻の群れに飲み込まれるのは間違いない。
こちらに向けて黒い筋が伸びてきている光景は、正しく蟻の行列そのもので、往復点の対象がボク達であるのは疑いようが無い。
先頭を鼻が利くシキが走って極力他のモンスターと遭遇しないルートをとりながら丘陵地帯を駆け抜ける。
「まだ追ってきてる?」
「距離は離れているが、まだ数十匹しつこい奴が追っかけてきているな。」
「オフィサーはいますか?」
「いや、あそこまでのデカイ奴は見えん。だが、ソルジャーだったか?そいつらは数匹追ってきてる集団の中にいるぞ。」
殿を務めるベネデクトにセラとチグサが状況確認を取る。先程の場所より大分距離を取ったがそれでも尚追いすがってくるキラーアント達のしつこさはもはや執念と表現して差支えがないだろう。
「このまま振り切りたいけどこの調子だと丘陵地帯を越えても追ってくる奴が出そうだね。」
「私のバフもその辺りで切れてしまうと思います。」
後ろを振り向きながらリツとクロさんが懸念を伝えてくる。確かにこのままの状況で推移したらあまり好ましくない状況で戦闘に入るという可能性が出てくる。万全の状態でないまま、未だ数が多いキラーアントの群れと相対するなど自殺行為そのものだ。
何かいいアイデアはないか……走りながらセラは思考する。
(蟻が行列を乱れずに作れるのはフェロモンのおかげだとかいうの、何かで見たことあるなぁ……。あの集団でここまで追跡できるって事は、ボク達に何らかのフェロモンが付いているって可能性があるんじゃないか?――となると、みんなは嫌がりそうだけど全員水を被って付着物を洗い流すのが効果あるんじゃないかな……このままバフ切れからの戦闘になるよりかはマシだろうし。)
思いついたら即実行するための行動に移る。即断即決こそ今求められる能力であるのは間違いない。
「みんな、走りながら聞いて欲しい。多分だけど、あのアリ達がボク達を追跡してきているのはボク達の身体に付着したキラーアントのフェロモンが原因じゃないかと思うんだ。」
「あー、なんか聞いたことあるなそれ!」
「フェ、フェロモンっすか?この体になって嗅覚には自信あるんすけど、流石にそこまでは判んないっすね……。」
「シキ以上の嗅覚があると思うと中々侮れませんね。」
セラの言葉にケントがまず反応し、続いて先頭を走るシキが嗅覚では感じなかった事を報告してチグサがフォローを入れる。そのやりとりを見ていたシオンが次に言われるであろう言葉を予想して顰め面を浮かべた。
「確認なんだけど、そのフェロモンさえどうにかすれば追跡を撒けるって事よね?」
「確証はないけど多分それで追跡は撒けると思う。」
「……その方法は?」
「ボクとセトがみんなに<洗浄>を掛けて全身洗い流す。」
「だよねー……はぁ……。」
「乾燥は私が<乾風>でやるから、とりあえず状況の打破を優先しよう。」
「うん、ありがと。」
フェロモンを消す方法にシオンが大きな溜息をつくが、リツが生活魔法の<乾風>を掛ければそこまで水に濡れた状態は続かないだろう。
「セト、手分けして掛けていくよ。<洗浄>!」
「<洗浄>!」
「ぶわっ!」
ザバァッ!っとバケツをひっくり返したかのような水が先頭のシキから順に襲っていく。襲うと言っても所詮は生活魔法、なのでダメージは発生しないのだがそれでも些か水量が多めだったためかシキが少し咽てしまった。
シキから順にリツが<乾風>を掛けていき、それぞれに優しい風が纏わりついていく。衣服に染み込んだ水分を風が優しく弾き飛ばしていき、濡れた全身をさっぱりと乾燥させていく感覚は中々に心地の良いものだった。
「あ、そうだマリー。ベネにあれ試してみていい?さっきギ酸浴びてたし他より念入りにしておきたい。」
「お~、アレかぁ。ええんとちゃう?」
「なんで本人無視して話を進めるんだ……。で、アレってなんなんだ?」
「言うてええん?セラ。」
「いいよ。」
「いやな、昨日お風呂に入ってる時にセラに湯ぅ沸かしてもらってたんやけど、水場やから水属性の生活魔法色々試してたんよ。ほんでその時に基本的な生活魔法を同時使用してみたんよ。所謂"合体魔法"ってやつ。基礎生活魔法派生の<泡>と<霧>を組み合わせて<泡霧>が使える様になったんよ。まぁそれを使ってみようって事。」
「ほう……。そういう所の研究力は相変わらずなんだな。まぁ分かった、試してみてくれ。」
ソルジャーとの戦闘の際、ギ酸を浴びたベネデクト。回復魔法で傷そのものは癒えたが、付着したギ酸に含まれるフェロモン物質がどうなっているかわからない為、セラが昨晩お風呂場で編み出した生活魔法の合体魔法で念入りに除去を試みる。
「顔に掛からないように気を付けるけどちょっと我慢してね。<泡霧>!」
「お、おぉ……。」
セラの詠唱でベネデクトの身体を泡の霧が包み込んでいく。大小様々な泡が霧状となりベネデクトの身体に纏わりついては弾けて消えていく。傍目から見れば何かもこもこした泡から厳つい牛獣人の男の生首が生えていて、前を行く集団を追いかけているという中々シュールな状態だ。幸いな事にこの周囲のエリアにプレイヤーをはじめとした冒険者達の姿はない。
体の表面でプチプチと弾けていく泡になんとも言えない感覚を味わいながら、ベネデクトは皆から遅れまいと後方にも気を払いつつその巨体を走らせた。
*****
ベネデクトを<泡霧>で洗い流して以降、あれ程しつこかったキラーアント達の追跡はピタリと止んだ。
やはり推測通りフェロモンによる追跡方法だったのだと一安心したところで丘陵地帯を無事抜ける事が出来た。駆ける事をやめ、みな息を整えながら歩を進め村へと進路をとる。
「いやー中々怖い目に遭ったな。」
「そうですね。とは言えそのおかげで大分データは集める事が出来ました。」
「なんにせよみんな無事で済んで良かったよ。ベネが酸攻撃食らった時なんて生きた心地がしなかったんだから。」
「せやせや!うちらが後ろにいるからって、そのまま素受けするアホがおるか!うちに心配かけよって……。」
「あれはああする以外なかったんだから仕方ないだろう。それにな、俺は傷が治るとわかっていても、女の肌に傷がつくのを良しとは思わねぇんだよ。」
「は〜〜〜、妻帯者は言う事が違うっすねぇ〜……。」
「なーに言ってんだ。お前もそういう時が来れば自然と体が動くさ。」
「いやぁ……どうっすかねえ……。」
ケントが会話の口火を切り、チグサ、シオン、マリーと続く。話題に上がったベネのあの場面はボクでも普通に心配した程だ。妻を守る為、仲間を守る為と言えども口で言うほど簡単にできる行為ではない。加えて言うならベネのあの巨体が無ければ、後ろにいたシオンやマリーも少なくないダメージを負う羽目になっていたに違いない。
かっこいいセリフを自然に口に出したベネに対し、やや僻みっぽい口調でシキが感心した声を出すと、ベネは可愛い後輩を見るかの様な表情でシキの背中を軽く叩きながら励ましていた。シキの尻尾がゆっくり振られているので彼自身顔には出さないものの嬉しいのかもしれない。ま、天兎の中の最年長で親父ポジだからなぁベネは。
そんな調子で会話を楽しみながら村に着いたのは赤く燃えるような夕日が沈み、二つの月が支配する夜の世界へと変わる頃合いだった。簡単な身分チェックを受けて村の中へ入り、冒険者ギルドへ向かおうとしたところでセラが口を開いた。
「村に戻ってこれたけど、冒険者ギルドに行く前にモーリィの所に行って素材の仕分け済ませよう。」
「ギルドへの納品素材とは別の収集品は此方の自由で決めれますしね。」
「結構倒しましたしねー。みんなの収納分考えたら結構な量の素材溜まってんじゃないっすか?」
「特にキラーアントの素材は多くとれたよね。私は使いたいとは思わないけど。」
「そう言ってもさー、今日一日で考えても俺達の装備結構ガタがきてるのもあるし、使えるもんは使っていかねーとシオンやリツの負担軽くできねぇからな?」
「うっ……。そう言われると流石に言い返せないわ。」
ケントの言うようにチグサの刀を筆頭に、幾つかガタのきた装備が各自にある。ベネはギ酸で革鎧がボロボロになっているし、セトのダガーも刃こぼれが目立っている。ケントに至っては革鎧だけではなく盾も少し歪んでいる状態だ。
「なんにせよ、モーリィに見せて何に使えるか判断してもらってからって感じだね。」
「私やシオン向けの素材が見つかればいいんだけどね。」
「最悪何もなければ素材を売ったお金で商店から購入すればいいよ。」
「おっ?言質取ったからねー?」
「はいはい。分かったから尻尾触るのやめてよ、リツ。」
「ん~、なんかええなぁこういうの。」
魔道具のランプの灯りが照らす大通りをワイワイ言いながらモーリィの居る製作施設に着くと、中では小柄なドワーフが只管無心で切り分けた木材を削っては磨いているところだった。
「モっさーん、帰ったぞー!」
「ん……?おぉ、お前達か。見たところ全員無事だが……何人かひでぇ装備の奴がいるな?」
「まぁ今日も色々あってね。それよりもモーリィ、取ってきた素材で何か作れないか見てほしいんだ。」
「ほぅ……そりゃ丁度いい時に帰ってきたな?」
「……?どう言う事?」
「いやぁ、ついさっきの話なんだがな、馬鹿みてぇにモノ造り過ぎたおかげかよぉ【鍛冶師の慧眼】っつー<天恵>を取得できたんだわ。」
落ち着いて周りを見れば、先んじて渡してあったトレントウッドで作ったであろう木工細工やウッドシールド等がそこかしこ無造作に置かれている。日用品である櫛だけでも相当な量がある。
忘れてたけどモーリィも夢中になると歯止めが利かないタイプの人間だった。……今はドワーフだけど。これだけの量を昨日も含めて集中して作ったっていうんなら、<天恵>が発露するのも不思議ではないと思った。
「おぉ、すっげぇな!!で、それどんな効果があるんだ?」
「ああ、それがな、眼にした物に意識を傾けるとそれが完成物ならば構成する材質や構造、材料などが分かり、素材であればどういった物の材料として使えるかなんてもんがわかるんだわ。ま、完成品の知識とかないと不完全なイメージになっちまうんだがな。」
「所謂"鑑定眼"と呼ばれるものの一種ですかね。」
「多分な。まぁ戦闘系じゃないってのが俺らしいな。さ、ここに来たってこたぁあるんだろ?使えそうなブツがよ。」
「うん。みんなインベントリから素材周り出して。」
セラの呼び掛けでそれぞれインベントリに収納していた素材を床に纏めて取り出していく。
ジャイアントロリポリの甲殻、グラスイーターの翅と腱、ギガヤンマの頭と大翅、キラーアントの胸部、キラーアントソルジャーの飾り殻、キラーアントオフィサーの頭部等討伐系素材がその大半を占めている。
「こりゃまた……とんでもねぇ量持って帰ってきたなお前ら。だがうん……ふむむ、状態がいいものが多いな。なるほど、こいつぁ使えるな……。ん?!おおっ、これは……!」
「なんやー?なんかええのんあったんか?」
「ああ、すまねぇ。ちと夢中になり過ぎてた。良いも何もこのでっけぇ蟻んこの頭ァ、こいつぁかなりの上等品だ。それに他の素材も悪い状態のもんのがすくねぇくらいだ。」
オフィサーの頭をコンコンと叩きながらモーリィは興奮気味に語る。
「なら納入したら結構ボーナスつくんじゃねーの?」
「そりゃ付くだろうよ。ただ、それでもそのまま納入するよりかは加工した方が付加価値が着くだろうな。」
「だってさ、セラ。どうする?」
「モーリィ、依頼の納入分を引いたものでどれくらいの収益が見込める?」
「ん?んーそうだなァ……何に加工するかにもよるが、そのまま納入した場合の金額と比較して、加工用素材諸々も計算にいれてっと……大体素材状態から最低1.6倍からってとこだろうな。」
ケントの素朴な、それでいて少し欲の面が貼った言葉にモーリィも同意するが、手を加えた方が高く売れると述べた。実際その通りで自前で加工できるのであれば材料費などを差し引いても十分な利益が出る。だがモーリィとしてはそれは副次的な産物であり、彼自身は初めて触る新しい材料を自身の手で好きにしたいという欲から出た言葉だった。
セラもその辺りは製作関係が好きなので分かっているのだが、モーリィの顔を立てるという意味合いでもどれだけの儲けが出るかと金銭面中心で会話を進めた。
「決まりだね。」
「なら納入する分は仕舞っておいてくれ。それとお前らの得物と防具俺に一度見せて見ろ。あー、セラはいい。そいつはまだ俺の手には負えねぇし、耐久度減少無効の効果が付いているしな。」
依頼達成に必要な分をインベントリに収納しつつ、各自武器と防具を並べていく。流石にローブ等の防具はそのままだが、こうして並べてみると前衛メンバーの武具の痛みが激しい。
「野郎どもの装備がどいつもこいつもひでぇな。逆に女どもの装備は綺麗なもんだ。これならそんな手入れする必要はねぇ。……しっかしケント、おめぇの盾ドロップ品のそれなりにいいやつだったはずだろ。それがもうこんな状態かよ?」
「そう言われてもなぁ。守りに専念してたらこうなってたんだからさ。」
「盾はそんななのに剣は比較的綺麗なもんだな……。お前いっそ盾そのもんを武器にもしちまったらどうだ?」
「できんのか?!そんな事。」
「そこのでっけぇ蟻の頭使えば多分な。それとベネの斧は研げば大丈夫だが、チグサの刀は駄目だなぁこりゃ。刃こぼれが酷過ぎるし打ち直し……いや、元の素材もそれほど良くねェから新しいの買った方が良いな。作ってやりてぇとこなんだが、流石にそこまで素材がないんでな。同じ理由でセトのダガーもガタがきてやがる。ただこっちはソルジャーの素材でいいもんが作れると思う。」
「やはり駄目でしたか……。」
「まァ初期装備の刀にしては頑張った方じゃねェか?後は鎧に関しちゃぁベネのやつはもう駄目だ。酸でも浴びたのか腐食がだいぶ進んじまってる。」
それぞれの装備をチェックしながらモーリィが状態の良し悪しを付けていく。ケントの盾は酷使していたせいでかなり状態が悪くなっていたし、チグサの刀もかなりギリギリだったのは撤退する前に見ていた事もあり驚きはしない。
しかし見ただけでベネが酸攻撃を受けたと判断したのは流石と言うべきだろう。
「とりあえずだ、女ども……あー、リツの装備は大丈夫だからそのまま持って行って構わねェ。シキも問題ねェ。だが、ケント、チグサ、ベネ、セト、お前らの装備は新調すべきだ。そうだな……チグサの得物に関しちゃぁ今回はどうしようもできねェが、とりあえずこんだけ素材がありゃぁ明日の朝までにゃ一通り装備仕立ててやらぁ。特にケント、お前には攻防両用の盾をな。」
「マジで!?」
「ああ、元があのでけェ蟻の頭を使うから使い勝手に関しては保証は出来んがな。ま、ベースにはそのボロボロの盾も使うがな。」
「しかしいいのですか?今から取り掛かるにしても夜通ししなければならない作業量でしょう。」
「別に一徹くらいで死にやしねェよ。それに仕上げた後に寝りゃぁいい話だ。それにここに籠ってる俺よかお前らの装備の方が大事だろうが。物事の優先順位考えたらそれがベターだろ、そうだろセラ?」
「そうだけどさ、無理はするなよ?」
「っは!いってくれるじゃねェか。心配すんな、任せとけ。ほら、ギルド行って精算して来い。」
セラを除いた全員の装備のチェックを終えたモーリィが軽く息を吐き、装備新調が必要なメンバーの装備の製作に取り掛かると言う。
単純なケントは喜ぶが、作業量を考えたチグサが心配して大丈夫かと問うもののモーリィ自身既にそのモードにスイッチが入っているので問題ないと返す。
確かに彼が言うようにパーティの要になるケントの装備がこのままでは、今後の戦闘時にそこから崩れてパーティ全体が危険に晒される。チグサの武器については商店で買い求める事は可能だが、ケントの盾についてはこの調子だと市販品では既に力不足なレベルになっている。
そういった状況を考えれば、今のうちに偶然入手する事が出来たキラーアントオフィサーの頭部から作る攻撃にも使える盾は、今後の事も考えれば作っておいて間違いはないだろう。
他にもベネデクトの戦斧の研ぎなおしや、前衛メンバーの防具の更新等やっておくに越したことはない。どっちにしてもモーリィのスイッチが入ってしまった以上余程の事が無い限り彼を止める事などできない。彼はそういう性格なのだ。
「じゃあ俺達ギルドで精算してから宿に戻るからさ、モっさんも根詰めすぎんなよ?」
「わかったわかった。さっさと行って飯食って寝てろ。」
手で払う様な動きをして作業に取り掛かったモーリィを後にして、ボク達は冒険者ギルドへと向かって調査に関連して受注していた依頼を精算し、調査レポートは翌日提出するという伝言を頼んでから宿へと帰った。




