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ノア

空が青白くなった頃ノアは目を覚ました。いつもより早く目が覚め、再び眠る気にもなれなかったため、任務の時間まで散歩をすることにした。


空気は冷たいが寒くはなく少し涼しい。ノアは大きく空気を吸い込み、背伸びをした。


「気持ちがいいなぁ。先生の里はもっと空気が澄んでてほんっとに気持ちよかったなぁ。」


通りには誰もおらず店も開いていない。静寂がノアを包み込み、ただただ歩いていく。


次第に空は明るくなり、歩いている人も見かけるようになった。


ノアは挨拶をされ、挨拶を返す。


これがずっと続けばいいのにと、ノアは笑みを零した。だが、自分は遠くない未来に居なくなるのだ。今日か明日か数ヶ月後か、残された時間が如何程かは分からない。その時間で蛇を倒せればいいのだが……。


日が昇りきった空を見上げ、ノアは息を吐いた。


「そろそろ行くか。」


ノアは振り返り城壁へ向かった。


ノアが城壁に着くと夜の哨戒をしていた騎士たちがいた。


「お、ノア。早いな。」


「お疲れ様です。ちょっと早く起きてしまって。様子はどうですか?」


「休むの仕事の内だぞ。特にお前は1番動いてるんだし、この国の切り札だ。いざという時に動けませんなんてのはよしてくれよぉ?

と、それはそれとして、問題はなかったぞ。数匹の堕鎮が寄ってきて撃退しただけだ。」


「そうですか。やっぱり数が減ってきてますね。」


「あぁ、だが一体一体の強さが増してきているような気がする。お前が報告してくれた堕鎮の集合体なんてのも今の所は出てないが、そんなもんが集団で攻めてきたら防げる自身ないぞ。」


その騎士は、はぁぁぁぁぁぁぁと長いため息をつき、ノアと交代し帰っていった。




数時間後、ノアは攻めてきた堕鎮の群れを迎撃していた。


「やっぱり昼間の方が多いのかもな。数えてないけど、今ので100いっただろ。」


その後も次々に堕鎮が押し寄せてきた。


ノアは単身最前線で迎撃し、ノアが取りこぼした数匹を後ろの部隊が撃退する流れだ。


昼過ぎ、ようやく堕鎮の攻勢が止んだ。


「あ〜、やっと休める…。」


ノアはふらふらと城壁に向かい歩きだす。


「怪我人はいないですか?」


ノアが部隊に呼びかける。


「あぁ、お前がほとんど倒してくれたお陰で怪我人ゼロだよ。ありがとうな。少し休んでていいぞ。」


「ありがとうございます。じゃあ5分だけ休ませていただきますね。」


ノアが小休止しようと城壁に近づこうとした時、空気と大地が大きく揺れた。


「この殺気、蛇だ!みんな後退して!急いで結界の中に入って!!」


ノアの掛け声で他の騎士たちが結界内へ退避した。


城壁から1キロ程離れた場所に大きな黒い影が現れた。


「久しぶりだな、蛇。」


「ノア。やはりお前は初めに会った時に殺しておくべきだった。今ここでなんとしてでも消そう。」


「お前の本体に必ずとどめを刺す。待っていろ、すぐに行ってやる。」


「楽しみにしておくよ。」


舐められたもんだ、とノアは腹が立った。


ノアは剣を取り蛇に突っ込んでいく。


それに応じ、蛇は無数の黒い光線を放った。


それを剣で容易く弾き、ノアは真っ直ぐに蛇を見据えさらに速度を上げ突き進む。


蛇の足元まで近づいた瞬間、3倍程に増えた光線がノアの周囲を包み襲う。


蛇の足元で大爆発が起き、ノアの姿が見えなくなった。


「────クッッ!!!」


土煙の中からボロボロに傷ついたノアが走り出てきた。


「隙だらけだな。」


頭の中まで響くような蛇の低い声が聞こえた次の瞬間、ノアを漆黒の煙が包み込む。ノアの身体は黒く染まり、堕鎮のようになった。


「────っ!!!!」


ノアの意識が途切れた。





気がつくと、ノアは眩い光の世界にいた。


「ここは、知っている気がする。」


辺りを見回すと3m程離れた所から人間の青年がこちらを見ていた。ノアはその青年に見覚えがあった。


「あなたは、森で気を失った時に会った…。」


「うん。あの時は危なかったから、少し干渉させてもらったんだ。でもそれが君の異常の悪化をさらに進めることになってしまった。すまない。」


「じゃあ、俺の傷を治してくれたのはあなただったんだ。」


「うん。でも、君の身体の異常の原因を作ったのも俺なんだ。」


ノアは「やっぱりか」というような表情をし、何も言わなかった。


「俺はノア。ノア・ハーツ。魂が機械に移される際、俺の魂は分裂した。その片方が君だ。俺は今までずっと傍観しかできなかった。

だが、いつからか君の魂に干渉できるようになった。おそらく、魂が元に戻ろうとしているんだろう。

主となる意識は俺だから、元に戻ったら君の意識はこの世から無くなる。」


2人の距離が離れ始めた。


「待って!どこに行くの!?」


自分の意識とは関係なく、まるで空間が動いているかのように離れる距離を縮めようとノアは前に出るが、進むことができない。


「動いているのは俺じゃなくて君だよ。君の魂が蛇に引っ張られているんだよ。」


「っ!!俺は、養分にされるの…?」


「うん。でもそうすると君の身体は堕鎮となり、俺が使える身体が無くなってしまう。

だから、今は俺が君の魂をなんとか繋ぎ止めている。」


「つまり、俺があなたの中に戻ればあなたは俺の身体を使えるようになるということ?」


「うん、そうなる。」


「────戻る以外に、俺が俺のままいれる方法はないの…?」


「────無い。」


「俺が消えれば、あなたはあの蛇を、倒せるの?」


「倒すよ。」


「────分かった。

後はよろしくお願いします。世界を、トーマスを、みんなを、助けてください────。」


「任せろ。お前の願いは、きちんと繋ぐ。」


ノア・ハーツはもう1人の自分の最後の笑顔を忘れることはないだろう。

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